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伊藤忠エネクスのニュース
―コロナ・ショックなんのその、減配リスク少ない株でインカムゲイン戦略に舵を切れ―
新型コロナウイルスの感染拡大で世界の株式市場が大きく揺れている。2月最終週はNYダウが週間で3583ドルと過去最大の下落幅を記録したほか、東京市場では日経平均株価が2000円を超える下げとなった。3月相場入りした2日の日経平均は6日ぶりに反発に転じたものの、世界景気の先行きに対する警戒感は強く、今後も予断を許さない状況が続く。一方、中長期的な視点から見ると、急ピッチな株価下落局面はインカムゲインを狙うには拾い場となるケースが多い。そこで今回は相場急落で上昇している配当利回りに着目。3月期末に向けて関心が高まる高配当利回り株にスポットライトを当てた。
●時価総額が大きく減配リスクの少ない銘柄を抽出
上場企業は業績が伸び悩むなかでも配当金を増やし続けている。日本取引所グループ(JPX)の統計データによると、東証1部、2部、マザーズ、ジャスダックに上場する銘柄の18年度(18年4月期~19年3月期)の業績は最終利益段階で36兆9600億円(前の期比2%減)と3期ぶりの減益となった。一方、配当金総額は12兆円(同10%増)と9年連続で増加している。政府によるコーポレートガバナンス改革の推進などを経て、企業が株主への利益還元を強化する動きが鮮明となっている。
配当金は19年度も順調に伸びているものの、足もとで猛威を振るう新型コロナウイルスの企業業績への影響が懸念されるなか、配当減額に対する不安が大きく膨らんでいる。こうした状況を踏まえ、今回は減配リスクが少ないとみられる高配当利回り銘柄に注目。以下では時価総額が大きく、安定した収益基盤を持つ3月決算企業の中から、直近10年間に減配したことがなく、20年3月期の配当利回りが4%を超える6銘柄を紹介していく。なお、3月末決算銘柄の配当を獲得するには、権利付き最終日の27日に株式を保有していることが必須条件となる。
●アサヒHDは配当性向アップで注目度急上昇 [配当利回り5.19%]
アサヒホールディングス <5857> は金などの貴金属リサイクルと廃棄物処理を2本柱に事業を展開する。18年10月に配当性向を従来の30%から50%に引き上げたことで、高配当利回り銘柄としての注目度が一気に高まった。20年3月期は貴金属の回収量増加や価格上昇を背景に、売上高が1350億円(前期比4.9%増)、営業利益は190億円(同31.2%増)といずれも過去最高を更新する見通しだ。好調な業績動向を踏まえ、第3四半期決算発表と同時に、年間配当を従来予想の120円から130円に増額修正している。
●エネクスは3年連続で本決算発表時に配当増額 [配当利回り4.86%]
伊藤忠商事 <8001> 系のエネルギー商社である伊藤忠エネクス <8133> は11年3月期に実施した記念配当を除くと1978年の上場以来、40年以上も減配をしたことがない。20年3月期の年間配当は前期と同じ42円の計画だが、前期まで3年連続で本決算発表と同時に増額修正した経緯があり、好調な業績を背景に今年も増額が期待される。4-12月期(第3四半期累計)は電力小売りで家庭用などの低圧電力販売量が増加したうえ、電力卸売市場の安定で採算も改善した電力事業の収益が急増し、営業利益は前年同期比14.7%増の152億1900万円と2ケタ増益を達成している。
●オリックスは高配当の優待人気株 [配当利回り4.33%]
オリックス <8591> は配当利回りが4%超と高水準なうえ、株主優待でも高い人気を誇る。株主優待は100株以上を保有する株主に対し、全国各地のカタログギフト「ふるさと優待」と、グループ企業などの各種サービスを割引価格で受けられる「株主カード」を贈呈する。カタログギフトは3年以上継続保有すると内容がランクアップされる。足もとの業績は4-12月期まで最終増益を確保している。配当は前期まで10期連続増配中(今期予想は前期と同額の76円)であり、減配リスクは小さいとみられる。
●兼松エレクは業績・財務ともに抜群の安定感 [配当利回り4.01%]
兼松エレクトロニクス <8096> は仮想化ビジネスをはじめとしたITインフラ基盤の構築を手掛ける兼松 <8020> 子会社のITベンダー。20年3月期は営業利益ベースで9期連続の最高益更新見通しと安定成長を続けている。足もとでは製造業や流通業向け仮想デスクトップ案件に加え、企業内のデータ量増大に伴うストレージ基盤の構築ビジネスが伸びている。利益成長とともに配当金も増やしており、今期は130円と9期連続増配を計画する。無借金経営で財務面の健全性が高いことも注目ポイントだ。
●NTTドコモは1998年の上場以来減配なし [配当利回り4.07%]
NTTドコモ <9437> は高配当利回りに加え、業績、財務ともに安定感があるディフェンシブ株として人気が高く、株価は2月第3週まで約16年半ぶりの高値水準を走っていた。今期業績は通信料金の値下げやスマートフォンの販売減少で営業2ケタ減益を見込むが、3000億円規模の自社株買いを実施するほか、6期連続の増配方針を示すなど、株主還元に前向きな姿勢を崩していない。なお、配当は1998年の上場以来、一度も減配をしたことがなく安心感は強い。
●三菱UFJリースは21年連続増配へ [配当利回り4.0%]
リース大手の三菱UFJリース <8593> は今期予想を含めて21期連続増配と、全上場企業の中で5本の指に入る存在だ。リーマンショックの直撃で最終利益が4分の1に急減した09年3月期も増配した実績を持っており、減配リスクは少ないとみて良さそうだ。業績は好調で、4-12月期は不動産や航空関連の売却益が増加したことを背景に、営業利益は前年同期比3割を超える増益となっている。なお、同社と提携関係にある日立キャピタル <8586> も高配当株として知られており、併せてチェックしておきたい。
※配当利回りは3月2日終値ベースで算出
株探ニュース
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