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*13:38JST 1stコーポ Research Memo(8):収益基盤を多様化し、中期経営計画の達成を目指す
■今後の展開
1. ウェルビーイングシティ構想と分譲マンション自社ブランド「CANVAS」の推進
ファーストコーポレーション<1430>が今後注力していく領域として最初に取り上げたいのが「ウェルビーイングシティ構想」である。この構想に基づいた分譲マンション自社ブランド「CANVAS」を立ち上げ、現在、第1号案件の「CANVAS南大沢」の分譲が行われている。
「CANVAS」は人生100年時代に対応した、「住む」という目的だけに留まらない、「豊かな暮らしを実現するための様々なサービスを提供し続けることで、持続的かつ多面的に満たされる暮らしを提供し、持続可能な社会の構築に貢献する」というコンセプトに基づいている。こうした物件は従来、高齢者のみを対象にしたシニアマンションが中心だったが、「CANVAS」では全世代を対象にしている点が最大の特徴である。コロナ禍の影響により、多様な働き方を実現したいと考える単身世帯、若い家族世帯など、様々なニーズが存在する現在において、外部の機関と連携しニーズを満たす多様なサービスを提供していく全世代型マンションは、今後のマンション形態のメインストリームになる可能性が十分にあると弊社は考えている。
2. アクティブシニア向けマンション
同社の将来的な成長を考えるうえで注目すべき領域は、健康な高齢者向けのマンション、いわゆるアクティブシニア向けマンションだ。高齢者向けのマンションでは、多くの業者が展開しているのは介護付きのサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)であり、アクティブシニア向けを手掛ける業者は少なく、同社はこの分野で先行している。アクティブシニア向けは、そもそも通勤仕様ではないため、駅前立地でなくて良い。さらに、温泉やジムなど付帯設備の建設で単価がアップできるなど、利益面でも期待できる案件だ。東京都稲城市のダイヤモンドライフ若葉台も、アクティブシニア層を主要ターゲットとしたマンションとして共同事業で行った案件であり、完売している。
大型案件のなかには、デベロッパーと共同事業で行うケースもある。2024年5月期第2四半期末時点でも、複数の案件が施工・分譲されている状況である。共同事業は効率的に収益をあげられることから、同社の今後の業績に安定した売上と利益をもたらすと期待できる。今後もデベロッパーとジョイントする案件が多くなると考えられ、同社業績のさらなる拡大に期待がかかる。
また、顧客となる取引先が増加している点にも注目したい。2020年5月期の取引先は31社だったが、2021年5月期には三菱地所レジデンス(株)、野村不動産(株)、2022年5月期には(株)フージャースコーポレーション、2023年5月期には大和ハウス工業<1925>、ナイス<8089>、2024年5月期第2四半期中にはヤマイチ・ユニハイムエステートとの取り引きを開始し、取引先は37社まで拡大している。このほか、具体的な取引先としては、(株)アーネストワン、東京建物<8804>、中央日本土地建物(株)、日鉄興和不動産(株)、三井不動産レジデンシャル(株)、阪急阪神不動産(株)、(株)中央住宅といった大手デベロッパーが多く名を連ねている。今後も取引先が拡大するとともに、ビジネスの幅も広がっていきそうだ。
再開発事業の開花によって収益は上昇基調に
3. 再開発事業
さらに同社は、再開発事業にも注力している。この分野では現在、JR前橋駅北口地区第一種市街地再開発事業に事業施行者として参画し、地上27階建ての施設を建設するなど、同社にとって大きな案件だ。2020年に着工し、2024年3月に竣工・引渡しを計画している。このプロジェクトで高層建築の実績を作り、今後のタワーマンションへの展開に弾みをつけたい考えだ。
さらに、再開発事業に関しては、青森県弘前市でも既に用地を取得するとともに、準備組合に加盟するなど事業計画の具体化に向けて取り組んでいる。また、横浜市緑区でも大規模事業に参画しており、デベロッパーとジョイントで計画を具現化していく。将来的にこれらの再開発ビジネスが次々に開花すれば、同社の収益は上昇基調を確実なものにすると思われる。
郊外の好立地案件に引き続き注力
4. アフターコロナへの対応
コロナ禍によって普及したテレワークなどを始めとする新しい生活様式は、マンション販売動向にも影響を及ぼした。アフターコロナに移行した現在は出社回帰などの流れはあるものの、マンションの販売価格は、都心部の高価格帯物件と郊外のリーズナブルな物件の二極化が進んでいる。好立地の郊外案件に対するニーズが旺盛な状況が継続しているなか、同社は引き続き郊外の案件に注力する考えだ。
コロナ禍にあっても同社は、主力のマンション建設に加え、自社ブランドの分譲マンション事業、アクティブシニア向けマンション事業、再開発事業を新たな軸に事業の拡大に注力してきた。今後も各事業を着実に成長させ、後述する中期経営計画「Innovation2023」の実現を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
<HH>
1. ウェルビーイングシティ構想と分譲マンション自社ブランド「CANVAS」の推進
ファーストコーポレーション<1430>が今後注力していく領域として最初に取り上げたいのが「ウェルビーイングシティ構想」である。この構想に基づいた分譲マンション自社ブランド「CANVAS」を立ち上げ、現在、第1号案件の「CANVAS南大沢」の分譲が行われている。
「CANVAS」は人生100年時代に対応した、「住む」という目的だけに留まらない、「豊かな暮らしを実現するための様々なサービスを提供し続けることで、持続的かつ多面的に満たされる暮らしを提供し、持続可能な社会の構築に貢献する」というコンセプトに基づいている。こうした物件は従来、高齢者のみを対象にしたシニアマンションが中心だったが、「CANVAS」では全世代を対象にしている点が最大の特徴である。コロナ禍の影響により、多様な働き方を実現したいと考える単身世帯、若い家族世帯など、様々なニーズが存在する現在において、外部の機関と連携しニーズを満たす多様なサービスを提供していく全世代型マンションは、今後のマンション形態のメインストリームになる可能性が十分にあると弊社は考えている。
2. アクティブシニア向けマンション
同社の将来的な成長を考えるうえで注目すべき領域は、健康な高齢者向けのマンション、いわゆるアクティブシニア向けマンションだ。高齢者向けのマンションでは、多くの業者が展開しているのは介護付きのサ高住(サービス付き高齢者向け住宅)であり、アクティブシニア向けを手掛ける業者は少なく、同社はこの分野で先行している。アクティブシニア向けは、そもそも通勤仕様ではないため、駅前立地でなくて良い。さらに、温泉やジムなど付帯設備の建設で単価がアップできるなど、利益面でも期待できる案件だ。東京都稲城市のダイヤモンドライフ若葉台も、アクティブシニア層を主要ターゲットとしたマンションとして共同事業で行った案件であり、完売している。
大型案件のなかには、デベロッパーと共同事業で行うケースもある。2024年5月期第2四半期末時点でも、複数の案件が施工・分譲されている状況である。共同事業は効率的に収益をあげられることから、同社の今後の業績に安定した売上と利益をもたらすと期待できる。今後もデベロッパーとジョイントする案件が多くなると考えられ、同社業績のさらなる拡大に期待がかかる。
また、顧客となる取引先が増加している点にも注目したい。2020年5月期の取引先は31社だったが、2021年5月期には三菱地所レジデンス(株)、野村不動産(株)、2022年5月期には(株)フージャースコーポレーション、2023年5月期には大和ハウス工業<1925>、ナイス<8089>、2024年5月期第2四半期中にはヤマイチ・ユニハイムエステートとの取り引きを開始し、取引先は37社まで拡大している。このほか、具体的な取引先としては、(株)アーネストワン、東京建物<8804>、中央日本土地建物(株)、日鉄興和不動産(株)、三井不動産レジデンシャル(株)、阪急阪神不動産(株)、(株)中央住宅といった大手デベロッパーが多く名を連ねている。今後も取引先が拡大するとともに、ビジネスの幅も広がっていきそうだ。
再開発事業の開花によって収益は上昇基調に
3. 再開発事業
さらに同社は、再開発事業にも注力している。この分野では現在、JR前橋駅北口地区第一種市街地再開発事業に事業施行者として参画し、地上27階建ての施設を建設するなど、同社にとって大きな案件だ。2020年に着工し、2024年3月に竣工・引渡しを計画している。このプロジェクトで高層建築の実績を作り、今後のタワーマンションへの展開に弾みをつけたい考えだ。
さらに、再開発事業に関しては、青森県弘前市でも既に用地を取得するとともに、準備組合に加盟するなど事業計画の具体化に向けて取り組んでいる。また、横浜市緑区でも大規模事業に参画しており、デベロッパーとジョイントで計画を具現化していく。将来的にこれらの再開発ビジネスが次々に開花すれば、同社の収益は上昇基調を確実なものにすると思われる。
郊外の好立地案件に引き続き注力
4. アフターコロナへの対応
コロナ禍によって普及したテレワークなどを始めとする新しい生活様式は、マンション販売動向にも影響を及ぼした。アフターコロナに移行した現在は出社回帰などの流れはあるものの、マンションの販売価格は、都心部の高価格帯物件と郊外のリーズナブルな物件の二極化が進んでいる。好立地の郊外案件に対するニーズが旺盛な状況が継続しているなか、同社は引き続き郊外の案件に注力する考えだ。
コロナ禍にあっても同社は、主力のマンション建設に加え、自社ブランドの分譲マンション事業、アクティブシニア向けマンション事業、再開発事業を新たな軸に事業の拡大に注力してきた。今後も各事業を着実に成長させ、後述する中期経営計画「Innovation2023」の実現を目指す。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)
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