2,183円
岩谷産業のニュース
■事業概要
TOKAIホールディングス<3167>は静岡県を地盤にLPガスを中心とした「エネルギー・住生活関連事業」と「情報通信事業」を主軸に事業を展開しており、経営ビジョンとして「Total Life Concierge(TLC)」構想を掲げている。暮らしに関わるあらゆるサービスをワンコントラクト、ワンストップ、ワンコールセンターで総合的に提供し、顧客やその先の地域・社会・地球環境とのつながりを深めながら、人々の豊かな生活、地域社会の発展、地球環境保全に貢献し、日本を代表する生活総合サービス企業に成長していくことを目指している。
現在の事業セグメントは、「ガス及び石油事業」「情報及び通信サービス事業」「CATV事業」「建築及び不動産事業」「アクア事業」「その他」の6つに分けて開示している。事業セグメント別の売上構成比(2019年3月期第3四半期累計)で見ると、祖業である「ガス及び石油事業」が39.6%、「情報及び通信サービス事業」が27.5%、「CATV事業」が16.5%となっており、これら3事業で全体の80%を超える水準となっている。事業セグメント別の内容は以下のとおり。
1. ガス及び石油事業
ガス及び石油事業では、売上高の約85%をLPガス事業、約15%を都市ガス事業で占めている。主力のLPガス事業は(株)TOKAIで家庭・産業用を主に展開している。サービスエリアは静岡や関東圏が中心だが、2015年以降は南東北エリアや中部・東海、中国、九州エリアなど他エリアにも順次進出している。契約件数は2018年12月末時点で620千件となっており、直販では岩谷産業<8088>、日本瓦斯<8174>に続く3番手となる。市場シェアは、地盤である静岡県で約2割とトップで、競争の激しい関東圏でも1割弱と2番手に位置する。LPガス利用世帯数は全国で約2,000万世帯あるため、全国シェアで見るとまだ約3%の水準だが、今後、営業エリアの拡大やM&Aの推進によりシェアを拡大していく戦略となっている。
一方、都市ガス事業は東海ガス(株)が静岡県の焼津市、藤枝市、島田市で都市ガスの供給を行っている。サービスエリアが限定されるため契約件数もほぼ一定で、2018年12月末時点で55千件とここ数年は安定して推移している。都市ガスについては全国で200事業者あり、このうち大手4社を除けば地域の中小規模事業者がほとんどとなっている。同社は2017年4月にガス小売りの自由化が開始されたことを契機に、M&Aにより各地域の事業者をグループ化し、顧客件数を拡大していく方針を打ち出している。その第1弾として群馬県の下仁田町が運営するガス事業※を譲受け、2019年4月よりサービスを開始する予定となっている。
※顧客件数1,336件、2016年度の年間売上高143百万円
2. 情報及び通信サービス事業
(株)TOKAIコミュニケーションズで展開する情報及び通信サービス事業には、コンシューマー向けのISP(インターネットサービスプロバイダ)事業、モバイル事業(携帯電話販売事業)と、法人向けの通信回線提供サービス、システム開発事業で構成されている。2019年3月期第3四半期累計の売上構成比で見ると、コンシューマー向けで61%、法人向けで39%となっている。
ISP事業は、全国をサービスエリアとする「@T COM(アットティーコム)」と静岡県をサービスエリアとする「TOKAIネットワーククラブ(TNC)」の2つのサービスを展開しており、静岡県内でのシェアは約23%とトップを占める。また、2015年2月よりNTT(日本電信電話<9432>)から光回線の卸提供を受け、自社の光インターネット接続サービスとセットで提供する光コラボサービス(「@T COMヒカリ」「TNCヒカリ」)の提供も開始している。2018年12月末の顧客件数は、従来型ISPサービス等で430千件、光コラボサービスで328千件となっており、従来型ISPサービスから光コラボサービスへの転換が進んでいる。ただ、合計では758千件と光コラボサービス開始直後である2015年3月末時点の863千件から減少傾向が続いている。これは、NTTの光回線卸の開始によって大手携帯電話事業者が携帯電話料金も含めたセット割引販売を展開したことで、新規顧客の獲得を上回るペースで顧客流出が続いていることが要因となっている。
モバイル事業では、ソフトバンク<9434>の代理店として静岡県内を中心にモバイルショップ12店舗を展開しており、2018年12月末の顧客件数は220千件と2016年3月末の236千件をピークに減少傾向が続いている。また、2017年2月よりMVNO事業※として格安スマートフォンサービス「LIBMO」の販売を開始しており、2018年12月末の顧客件数は39千件と着実に増加している。
※MVNO(Mobile Virtual Network Operator):携帯電話等の無線通信インフラを他社から借り受けてサービスを提供する事業者。
3. CATV事業
CATV事業はグループ会社9社で静岡県、東京都、神奈川県、千葉県、長野県、岡山県の1都5県をサービスエリアとして展開している。2018年12月末の顧客件数は、放送サービスで785千件、通信サービスで270千件、合計で1,055千件となっている。CATV視聴世帯数のシェアで見ると約3%と業界第6位のポジションだが、今後も積極的なM&Aによりシェアを拡大していく戦略となっている。
4. 建築及び不動産事業
建築及び不動産事業では、TOKAIが、戸建や集合住宅、店舗、オフィスビル等の設計・建築、建物管理サービス、住宅設備機器の販売、セキュリティサービス(ガス及び石油事業に区分)、保険代理店(その他事業に区分)、不動産の開発・売買等を行っている。また、TOKAIと東海ガスがリフォーム事業を展開している。
5. アクア事業
アクア事業(宅配水事業)は、2007年に静岡県内でリターナブル方式(ボトル回収型)のサービス提供を開始し、2011年から営業を開始した静岡県以外のエリアではワンウェイ方式(ボトル使い切り型)のサービス提供を行っている。富士山の天然水を静岡県内にある2つの工場で製造しており、合計で約18万件相当の生産能力を有する。2018年12月末の顧客件数は157千件となっている。業界全体の2018年末の顧客件数は385万件となっており、同社のシェアは約4%の水準となっている。
6. その他
その他には、TOKAIライフプラス(株)の介護事業、トーカイシティサービス(株)の婚礼催事事業、東海造船運輸(株)の船舶修繕事業などが含まれる。介護事業は2011年より開始しており、2018年12月時点で静岡県内にデイサービス施設6ヶ所、ショートステイ施設、介護付き有料ホームを各1ヶ所運営しているほか、ケアプランセンター2ヶ所を開設している。また、婚礼催事事業は静岡県内で1施設の運営を行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SF>
TOKAIホールディングス<3167>は静岡県を地盤にLPガスを中心とした「エネルギー・住生活関連事業」と「情報通信事業」を主軸に事業を展開しており、経営ビジョンとして「Total Life Concierge(TLC)」構想を掲げている。暮らしに関わるあらゆるサービスをワンコントラクト、ワンストップ、ワンコールセンターで総合的に提供し、顧客やその先の地域・社会・地球環境とのつながりを深めながら、人々の豊かな生活、地域社会の発展、地球環境保全に貢献し、日本を代表する生活総合サービス企業に成長していくことを目指している。
現在の事業セグメントは、「ガス及び石油事業」「情報及び通信サービス事業」「CATV事業」「建築及び不動産事業」「アクア事業」「その他」の6つに分けて開示している。事業セグメント別の売上構成比(2019年3月期第3四半期累計)で見ると、祖業である「ガス及び石油事業」が39.6%、「情報及び通信サービス事業」が27.5%、「CATV事業」が16.5%となっており、これら3事業で全体の80%を超える水準となっている。事業セグメント別の内容は以下のとおり。
1. ガス及び石油事業
ガス及び石油事業では、売上高の約85%をLPガス事業、約15%を都市ガス事業で占めている。主力のLPガス事業は(株)TOKAIで家庭・産業用を主に展開している。サービスエリアは静岡や関東圏が中心だが、2015年以降は南東北エリアや中部・東海、中国、九州エリアなど他エリアにも順次進出している。契約件数は2018年12月末時点で620千件となっており、直販では岩谷産業<8088>、日本瓦斯<8174>に続く3番手となる。市場シェアは、地盤である静岡県で約2割とトップで、競争の激しい関東圏でも1割弱と2番手に位置する。LPガス利用世帯数は全国で約2,000万世帯あるため、全国シェアで見るとまだ約3%の水準だが、今後、営業エリアの拡大やM&Aの推進によりシェアを拡大していく戦略となっている。
一方、都市ガス事業は東海ガス(株)が静岡県の焼津市、藤枝市、島田市で都市ガスの供給を行っている。サービスエリアが限定されるため契約件数もほぼ一定で、2018年12月末時点で55千件とここ数年は安定して推移している。都市ガスについては全国で200事業者あり、このうち大手4社を除けば地域の中小規模事業者がほとんどとなっている。同社は2017年4月にガス小売りの自由化が開始されたことを契機に、M&Aにより各地域の事業者をグループ化し、顧客件数を拡大していく方針を打ち出している。その第1弾として群馬県の下仁田町が運営するガス事業※を譲受け、2019年4月よりサービスを開始する予定となっている。
※顧客件数1,336件、2016年度の年間売上高143百万円
2. 情報及び通信サービス事業
(株)TOKAIコミュニケーションズで展開する情報及び通信サービス事業には、コンシューマー向けのISP(インターネットサービスプロバイダ)事業、モバイル事業(携帯電話販売事業)と、法人向けの通信回線提供サービス、システム開発事業で構成されている。2019年3月期第3四半期累計の売上構成比で見ると、コンシューマー向けで61%、法人向けで39%となっている。
ISP事業は、全国をサービスエリアとする「@T COM(アットティーコム)」と静岡県をサービスエリアとする「TOKAIネットワーククラブ(TNC)」の2つのサービスを展開しており、静岡県内でのシェアは約23%とトップを占める。また、2015年2月よりNTT(日本電信電話<9432>)から光回線の卸提供を受け、自社の光インターネット接続サービスとセットで提供する光コラボサービス(「@T COMヒカリ」「TNCヒカリ」)の提供も開始している。2018年12月末の顧客件数は、従来型ISPサービス等で430千件、光コラボサービスで328千件となっており、従来型ISPサービスから光コラボサービスへの転換が進んでいる。ただ、合計では758千件と光コラボサービス開始直後である2015年3月末時点の863千件から減少傾向が続いている。これは、NTTの光回線卸の開始によって大手携帯電話事業者が携帯電話料金も含めたセット割引販売を展開したことで、新規顧客の獲得を上回るペースで顧客流出が続いていることが要因となっている。
モバイル事業では、ソフトバンク<9434>の代理店として静岡県内を中心にモバイルショップ12店舗を展開しており、2018年12月末の顧客件数は220千件と2016年3月末の236千件をピークに減少傾向が続いている。また、2017年2月よりMVNO事業※として格安スマートフォンサービス「LIBMO」の販売を開始しており、2018年12月末の顧客件数は39千件と着実に増加している。
※MVNO(Mobile Virtual Network Operator):携帯電話等の無線通信インフラを他社から借り受けてサービスを提供する事業者。
3. CATV事業
CATV事業はグループ会社9社で静岡県、東京都、神奈川県、千葉県、長野県、岡山県の1都5県をサービスエリアとして展開している。2018年12月末の顧客件数は、放送サービスで785千件、通信サービスで270千件、合計で1,055千件となっている。CATV視聴世帯数のシェアで見ると約3%と業界第6位のポジションだが、今後も積極的なM&Aによりシェアを拡大していく戦略となっている。
4. 建築及び不動産事業
建築及び不動産事業では、TOKAIが、戸建や集合住宅、店舗、オフィスビル等の設計・建築、建物管理サービス、住宅設備機器の販売、セキュリティサービス(ガス及び石油事業に区分)、保険代理店(その他事業に区分)、不動産の開発・売買等を行っている。また、TOKAIと東海ガスがリフォーム事業を展開している。
5. アクア事業
アクア事業(宅配水事業)は、2007年に静岡県内でリターナブル方式(ボトル回収型)のサービス提供を開始し、2011年から営業を開始した静岡県以外のエリアではワンウェイ方式(ボトル使い切り型)のサービス提供を行っている。富士山の天然水を静岡県内にある2つの工場で製造しており、合計で約18万件相当の生産能力を有する。2018年12月末の顧客件数は157千件となっている。業界全体の2018年末の顧客件数は385万件となっており、同社のシェアは約4%の水準となっている。
6. その他
その他には、TOKAIライフプラス(株)の介護事業、トーカイシティサービス(株)の婚礼催事事業、東海造船運輸(株)の船舶修繕事業などが含まれる。介護事業は2011年より開始しており、2018年12月時点で静岡県内にデイサービス施設6ヶ所、ショートステイ施設、介護付き有料ホームを各1ヶ所運営しているほか、ケアプランセンター2ヶ所を開設している。また、婚礼催事事業は静岡県内で1施設の運営を行っている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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