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東都水産のニュース
■業績動向
2. 2020年3月期の業績見通し
2020年3月期の業績見通しについて、東都水産<8038>は売上高120,000百万円(前期比3.1%増)、営業利益1,200百万円(同11.9%減)、経常利益1,400百万円(同18.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,000百万円(同27.6%減)を見込んでいる。
厳しい事業環境のなか、同社は引き続き高収益構造と強固な財務体質の確立を推進する方針である。豊洲市場では、加工やピッキング、転配送など物流の多様なニーズへの対応や、高床・閉鎖型施設による徹底した衛生・温度管理が可能になった一方、移転による商流の変化や廃業者の増加など事業環境が徐々に変化している。加えて経費面では、市場開設者に支払う市場使用料の増加や市場が多層構造に変化したことによる物流費の増加、衛生・温度管理強化によるユーティリティコストの上昇など高コスト化している点が気掛かりである。また、2020年6月には改正卸売市場法が施行される予定で、取引ルールの緩和や開設者・卸売業者の許認可見直しによる流通の効率化や民間資本の参入拡大が進むと想定され、市場内外で競争が激化していくことが予想されている。
同社は、主力事業の水産物卸売事業の持続的成長を経営の最優先課題としている。そのため、強化すべき商品カテゴリーを見極め、新たな販売先を選定し、集荷力を強化することで、既存事業の売上総利益率の向上や直接販売経費の改善、業務の効率化などを推進、国内事業を拡大していく方針である。一方、水産物の国内需要が頭打ちとなるなか、海外事業の強化も進めており、海外事業部の積極拡大や、「波崎地区6次産業化推進プロジェクト」の運営会社であるトウスイを通じた取引拡大も図っている。さらに、AERO TRADINGでは北米や中国向け高単価商材の販売を強化する一方、漁業権を積極的に取得することで集荷力の強化を図り、商材供給を通じてグループ全体への収益貢献を拡大する考えである。
2020年3月期の売上高の見通しが例年に増して強いように見えるが、市場外取引の拡大や海外での売上増加などの戦略が当たっていること、スタートとなる4月の売上高が順調に立ち上がったことが背景にある。売上総利益率では、原料高に対して固定費対策を講じるなど若干の改善を見込んでいるようだ。一方、営業減益見込みとなっているのは、増収による変動費増、貸倒引当金の平常化、豊洲市場における夏季光熱費や共同物流コスト、不動産賃貸事業における老朽化対策費用など様々なコストプッシュを織り込んだためで、販売費及び一般管理費は保守的に最大限見込んだと言うことができる。ただし、増収による変動費増以外は一時的コストという見方ができるので、2021年3月期にはコストプッシュが弱まる可能性を期待したい。なお、新たな取り組みとして、地方市場の活性化と商品供給による販売拡大を狙って、子会社の川越水産市場で一般消費者向け小売店舗「生鮮漁港川越」の運営を開始した。同社がデベロッパーとなり、テナント方式で生鮮3品(鮮魚、青果、精肉)の販売を行うものである。地方市場における卸売業者による小売進出には慎重な見方もあるが、商品提供などを通じて地方市場の活性化とグループ全体の収益拡大につながることが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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2. 2020年3月期の業績見通し
2020年3月期の業績見通しについて、東都水産<8038>は売上高120,000百万円(前期比3.1%増)、営業利益1,200百万円(同11.9%減)、経常利益1,400百万円(同18.0%減)、親会社株主に帰属する当期純利益1,000百万円(同27.6%減)を見込んでいる。
厳しい事業環境のなか、同社は引き続き高収益構造と強固な財務体質の確立を推進する方針である。豊洲市場では、加工やピッキング、転配送など物流の多様なニーズへの対応や、高床・閉鎖型施設による徹底した衛生・温度管理が可能になった一方、移転による商流の変化や廃業者の増加など事業環境が徐々に変化している。加えて経費面では、市場開設者に支払う市場使用料の増加や市場が多層構造に変化したことによる物流費の増加、衛生・温度管理強化によるユーティリティコストの上昇など高コスト化している点が気掛かりである。また、2020年6月には改正卸売市場法が施行される予定で、取引ルールの緩和や開設者・卸売業者の許認可見直しによる流通の効率化や民間資本の参入拡大が進むと想定され、市場内外で競争が激化していくことが予想されている。
同社は、主力事業の水産物卸売事業の持続的成長を経営の最優先課題としている。そのため、強化すべき商品カテゴリーを見極め、新たな販売先を選定し、集荷力を強化することで、既存事業の売上総利益率の向上や直接販売経費の改善、業務の効率化などを推進、国内事業を拡大していく方針である。一方、水産物の国内需要が頭打ちとなるなか、海外事業の強化も進めており、海外事業部の積極拡大や、「波崎地区6次産業化推進プロジェクト」の運営会社であるトウスイを通じた取引拡大も図っている。さらに、AERO TRADINGでは北米や中国向け高単価商材の販売を強化する一方、漁業権を積極的に取得することで集荷力の強化を図り、商材供給を通じてグループ全体への収益貢献を拡大する考えである。
2020年3月期の売上高の見通しが例年に増して強いように見えるが、市場外取引の拡大や海外での売上増加などの戦略が当たっていること、スタートとなる4月の売上高が順調に立ち上がったことが背景にある。売上総利益率では、原料高に対して固定費対策を講じるなど若干の改善を見込んでいるようだ。一方、営業減益見込みとなっているのは、増収による変動費増、貸倒引当金の平常化、豊洲市場における夏季光熱費や共同物流コスト、不動産賃貸事業における老朽化対策費用など様々なコストプッシュを織り込んだためで、販売費及び一般管理費は保守的に最大限見込んだと言うことができる。ただし、増収による変動費増以外は一時的コストという見方ができるので、2021年3月期にはコストプッシュが弱まる可能性を期待したい。なお、新たな取り組みとして、地方市場の活性化と商品供給による販売拡大を狙って、子会社の川越水産市場で一般消費者向け小売店舗「生鮮漁港川越」の運営を開始した。同社がデベロッパーとなり、テナント方式で生鮮3品(鮮魚、青果、精肉)の販売を行うものである。地方市場における卸売業者による小売進出には慎重な見方もあるが、商品提供などを通じて地方市場の活性化とグループ全体の収益拡大につながることが期待される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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