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セブン工業のニュース
―「ウッドショック」も見直しの契機に、オフィスビルやマンションなど採用続く―
木材需要が高まりをみせている。足もと米国を中心とした 住宅市況の好調が主な要因で、今春には世界的な木材価格の高騰「ウッドショック」が株式市場でも話題にのぼった。他方で、 脱炭素の観点から建築物に木材を多く活用する動きが広がっており、中長期的な木材需要の増加とともに関連市場の拡大が見込まれている。目先、脚光を浴びた木材関連株だが、脱炭素に絡み活躍の舞台が広がっており、今後息の長いテーマとして関心を集めることになりそうだ。
●木造ビル建設続々、政府は国産材利用後押し
三菱地所 <8802> は10月1日、札幌市に高層ハイブリッド木造ホテル「ザロイヤルパークキャンバス札幌大通公園」を開業した。地上11階建てで、9~11階が純木造、8階が鉄筋コンクリートと木材によるハイブリッド構造となっており、床材には従来の木材パネルより強度が高いCLT(直交集成板)を使った。北海道産の木材を多く活用し、建物の構造躯体における木材使用量は国内最大規模を誇る。
木造の中高層ビルでは、ヒューリック <3003> が東京・銀座に手掛ける耐火木造12階建ての商業施設が話題を呼んでいるほか、来年以降に三井不動産 <8801> が木造のマンションやオフィスビル、大林組 <1802> が横浜市に11階建ての高層純木造耐火建築物、野村不動産ホールディングス <3231> は東京・外苑前に鉄骨造と木造のハイブリッド構造を採用した中高層オフィスビルをそれぞれ竣工予定にある。また、東急不動産ホールディングス <3289> も渋谷区道玄坂にハイブリッド構造による13階建てオフィスビルを建設予定で、2022年度の竣工を目指す。
ここ各社が木造ビルの建設を進める背景には、脱炭素社会の実現に向けた木材利用推進の流れがある。年月を経て二酸化炭素の吸収量が落ちた木を伐採し、再び苗木を植えるなど人の手を入れることで森林の若返りを図るとともに、伐採した木を建材として使用することで木材に含まれる炭素を長期にわたって固定化することができ、こうしたことが脱炭素化に貢献することになる。加えて国内林業の活性化にもつながるだけに、政府も取り組みを後押しする構えで、10月から国産材の利用を促す改正木材利用促進法が施行されたほか、6月に見直した新たな「森林・林業基本計画」では30年の国産材の供給量を19年比で約4割増とする目標を掲げている。
●住友林のほかナイス、山大に着目
木材関連の代表格に挙げられるのが住友林業 <1911> だ。木材・建材卸や戸建て注文住宅の建築請負、海外住宅事業をはじめ、国内外で森林経営を行うなど幅広い分野で事業を展開する。前述の野村不HDが手掛けるオフィスビル建設プロジェクトにおいて、17年に資本・業務提携した熊谷組 <1861> とともに参画している。直近4-6月期業績は、米住宅市況の好調を追い風に売上高4割増、営業利益3.2倍増と急拡大した。
ナイス <8089> は住宅関連商社で、木材市場業界では最大手。主力の建築資材事業において国内外の木材製品を全国に供給しているほか、国産材を使った独自製品の開発なども手掛ける。5月に策定した中期経営計画では、国産材を中心とする木材の更なる利用促進をグループ戦略の一つに掲げており、24年3月期に売上高2300億円(22年3月期予想比12.2%増)、営業利益50億円(同56.3%増)の達成を目指す。
山大 <7426> [JQ]は、資材販売と木材加工を主力とする宮城県地盤の住宅関連総合商社。県産杉を使った製材品を展開するほか、住宅設備の断熱・省エネルギー化や太陽光発電などを活用したZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)の拡販も図っている。22年3月期は売上高16%増、営業利益は4期ぶりの黒字転換を見込む。
●木材関連全般に追い風、住宅メーカーなども
住宅関連資材大手の大建工業 <7905> は国産材の活用に向けた取り組みを進めており、住宅をはじめ公共・商業施設向けで多くの実績を有する。同じく建材メーカーでは、ノダ <7879> [東証2]、永大産業 <7822> 、ウッドワン <7898> などがある。
また、直近通期見通しの上方修正を行いマーケットの関心が集まった中質繊維板(MDF)最大手のホクシン <7897> に加え、木材加工と地盤改良を主力とする兼松サステック <7961>、プレカット木材の加工販売や建築請負事業などを行うシー・エス・ランバー <7808> [JQ]などにも注目。集成材を手掛けるセブン工業 <7896> [東証2]、木質廃棄物の加工建材「パーティクルボード」製造大手の東京ボード工業 <7815> [東証2]のほか、工務店を中心に独自の木造建築システムを提供するエヌ・シー・エヌ <7057> [JQ]なども面白い存在といえる。
更に、木造化推進の流れは住宅メーカーやデベロッパーなどの商機拡大にもつながることになる。大和ハウス工業 <1925> や積水ハウス <1928> 、オープンハウス <3288> をはじめ、ケイアイスター不動産 <3465> 、タマホーム <1419> 、三栄建築設計 <3228> など。このほか、日本ハウスホールディングス <1873> 、和田興産 <8931> [東証2]、土屋ホールディングス <1840> [東証2]などをマークしておきたい。
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