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佐鳥電機のニュース
■事業概要
1. 事業内容及びセグメント別概要
萩原電気ホールディングス<7467>の主たる事業は、マイクロコンピューター(マイコン)や各種半導体等を半導体メーカーから仕入れ、販売する電子部品商社としての機能であるが、それに加えIT機器の仕入れ、販売やインテグレーション、産業用電子機器の開発、製造、販売も行っている。売上高の約85%が自動車関連企業向けであり、単なる部品や部材の販売だけでなく、商品企画・設計段階から参画して、顧客企業の要望に沿ったスペックのマイコンや周辺デバイスの提供、システム開発なども行っている。ハイブリッド車や電気自動車(EV)の普及に伴う電装化の高まりが同社の成長を支えているが、今後は自動車での更なる自動化(自動運転、自動ブレーキ等)や製造現場でのIT化の波も同社にとって追い風となる。
同社は、2018年4月1日から持株会社制へ移行したが、これに伴いセグメントの名称も「デバイス事業(旧デバイスビジネスユニット事業)」と「ソリューション事業(旧ソリューションビジネスユニット事業)」へ変更した。また重要な社内組織として「開発生産本部」が関わっている。概要は次のとおり。
(1) デバイス事業(2020年3月期売上高比率80.9%)
主に自動車関連企業向けに、マイコン、カスタムLSI、アナログ・パワー半導体、コンデンサ、リレー、コネクタなどの電子部品の販売を行う。また、FPGAを中心としたカスタムLSIの設計や組込ソフトウェア/ハードウェア開発支援などの技術サポートビジネスも展開する。
具体的には、次世代車の企画時に顧客メーカーの機能的要望を聞き取り、それを実現する最適なマイコンを含めた周辺デバイスを提案している。またデバイスの開発時には、マイコンの性能や各種開発ツールの技術面でのサポート、デバイスの動作確認や評価を行い、量産時にはそのデバイスを適時供給するというワンストップソリューションを提供する。
(2) ソリューション事業(同19.1%)
IT機器、組込機器及び計測・FAシステムの販売とITプラットフォーム基盤構築を核とし、自社製品である産業用コンピュータの開発、製造、販売も手掛け、これらを組み合わせた各種ソリューションを提供する。また、自動車をはじめとする製造業を中心にFA領域のシステムやIoTプラットフォームなどソリューション提案型のビジネスを行っている。
2020年1月よりAI/IoTの分析技術、分析教育、データ統合等のサービス及びソフトウェア販売を行うパートナー企業と資本・業務提携し、AI分野でのビジネス強化を図っている。
(3) 開発生産本部
ソリューション事業セグメントの中に含まれ、同事業配下の1つの事業部門として分かれている。電子・情報プロダクツの開発、製造に取り組むメーカー部門である。
同部門では、各産業分野に対応したタイムスケールを最重要課題とし、効率と環境を追求した信頼できる電子機器や組込みソリューションを提案する。同社が長年携わってきた産業機器・計測制御機器の開発における経験を新しい技術と融合させ、多岐にわたる分野に応用している。
2. 特色、強み
同社の主力事業はルネサスエレクトロニクス<6723>から半導体を仕入れ、主にトヨタグループ企業に販売する「商社機能」であるが、同社の場合は単に商品を右から左へ流す商社機能だけでなく、以下のような特色や強みを持っている。
(1) 提案力・開発力
同社は自社内に開発、技術サポート部門(技術者)を有していることから、提案力・開発力に優れている。特にトヨタグループと密接であることから、同グループのニーズを的確に把握し、その内容を半導体メーカーにフィードバックすることで最適なデバイスを提供することが可能になっている。
また、独自の知識や技術を結集し、ユーザーのニーズに最適な製品やモジュール等を提案するほか、顧客の要求に応じ開発支援も行っている。同社は顧客に対して「提案できる」、さらに顧客が求める製品を「開発できる」商社と言えるだろう。
(2) トヨタグループとの太いパイプ
トヨタグループとの密接な関係も同社の強みだ。単に生産面での恩恵(生産増→同社売上増)だけでなく、ハイブリッド車、EVなどの次世代自動車で高い技術を有するトヨタグループとのビジネスで、同社自身の技術力・開発力・提案力にも一段と磨きがかかるだろう。
将来はこの技術力・開発力・提案力を自動車業界だけでなく各種の産業用機器やFA機器、生産システム、検査システムなどに応用することで事業の拡大が可能になってくる。要求が世界で最も厳しいと言われるトヨタグループと関係があること自体が、同社の財産とも言える。
一方で、売上高の多くをトヨタグループに依存していることはリスクが高いとの見方もあるが、必ずしもそうではない。現在、トヨタは世界市場での勝ち組であり、そのトヨタグループ向けの売上高が多いことは、同社にとってプラスと考えられる。
(3) 非自動車向けの技術力
同社の売上高の約15%は非自動車業界向けだが、この大部分は単なる商社機能ではなく、むしろIT企業としてのシステム構築等によるものである。特に生産現場でのシステムや検査工程でのシステム構築などに強い。ソリューション事業の売上規模(年間24,500百万円超)は、一般的な上場システムインテグレーター(SI)企業の売上規模に匹敵し、このようなSI機能を持っていることも同社の特色であり、強みでもある。
以上のように同社は、単にデバイスを右から左へ流す商社機能だけでなく、「付加価値を付ける」ことができる商社である。これは売上総利益率の高さからもうかがえる。同社の売上総利益率(2020年3月期)が9.9%だったのに対し、同じようにルネサスエレクトロニクスの製品を多く扱う主な半導体商社の売上総利益率は、三信電気<8150>が9.1%(同)、新光商事<8141>が9.6%(同)、グローセル<9995>が9.0%(同)、佐鳥電機<7420>が8.7%(2019年5月期)となっている。同社が持つ技術力・開発力・提案力によって「付加価値」がオンされた結果と言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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1. 事業内容及びセグメント別概要
萩原電気ホールディングス<7467>の主たる事業は、マイクロコンピューター(マイコン)や各種半導体等を半導体メーカーから仕入れ、販売する電子部品商社としての機能であるが、それに加えIT機器の仕入れ、販売やインテグレーション、産業用電子機器の開発、製造、販売も行っている。売上高の約85%が自動車関連企業向けであり、単なる部品や部材の販売だけでなく、商品企画・設計段階から参画して、顧客企業の要望に沿ったスペックのマイコンや周辺デバイスの提供、システム開発なども行っている。ハイブリッド車や電気自動車(EV)の普及に伴う電装化の高まりが同社の成長を支えているが、今後は自動車での更なる自動化(自動運転、自動ブレーキ等)や製造現場でのIT化の波も同社にとって追い風となる。
同社は、2018年4月1日から持株会社制へ移行したが、これに伴いセグメントの名称も「デバイス事業(旧デバイスビジネスユニット事業)」と「ソリューション事業(旧ソリューションビジネスユニット事業)」へ変更した。また重要な社内組織として「開発生産本部」が関わっている。概要は次のとおり。
(1) デバイス事業(2020年3月期売上高比率80.9%)
主に自動車関連企業向けに、マイコン、カスタムLSI、アナログ・パワー半導体、コンデンサ、リレー、コネクタなどの電子部品の販売を行う。また、FPGAを中心としたカスタムLSIの設計や組込ソフトウェア/ハードウェア開発支援などの技術サポートビジネスも展開する。
具体的には、次世代車の企画時に顧客メーカーの機能的要望を聞き取り、それを実現する最適なマイコンを含めた周辺デバイスを提案している。またデバイスの開発時には、マイコンの性能や各種開発ツールの技術面でのサポート、デバイスの動作確認や評価を行い、量産時にはそのデバイスを適時供給するというワンストップソリューションを提供する。
(2) ソリューション事業(同19.1%)
IT機器、組込機器及び計測・FAシステムの販売とITプラットフォーム基盤構築を核とし、自社製品である産業用コンピュータの開発、製造、販売も手掛け、これらを組み合わせた各種ソリューションを提供する。また、自動車をはじめとする製造業を中心にFA領域のシステムやIoTプラットフォームなどソリューション提案型のビジネスを行っている。
2020年1月よりAI/IoTの分析技術、分析教育、データ統合等のサービス及びソフトウェア販売を行うパートナー企業と資本・業務提携し、AI分野でのビジネス強化を図っている。
(3) 開発生産本部
ソリューション事業セグメントの中に含まれ、同事業配下の1つの事業部門として分かれている。電子・情報プロダクツの開発、製造に取り組むメーカー部門である。
同部門では、各産業分野に対応したタイムスケールを最重要課題とし、効率と環境を追求した信頼できる電子機器や組込みソリューションを提案する。同社が長年携わってきた産業機器・計測制御機器の開発における経験を新しい技術と融合させ、多岐にわたる分野に応用している。
2. 特色、強み
同社の主力事業はルネサスエレクトロニクス<6723>から半導体を仕入れ、主にトヨタグループ企業に販売する「商社機能」であるが、同社の場合は単に商品を右から左へ流す商社機能だけでなく、以下のような特色や強みを持っている。
(1) 提案力・開発力
同社は自社内に開発、技術サポート部門(技術者)を有していることから、提案力・開発力に優れている。特にトヨタグループと密接であることから、同グループのニーズを的確に把握し、その内容を半導体メーカーにフィードバックすることで最適なデバイスを提供することが可能になっている。
また、独自の知識や技術を結集し、ユーザーのニーズに最適な製品やモジュール等を提案するほか、顧客の要求に応じ開発支援も行っている。同社は顧客に対して「提案できる」、さらに顧客が求める製品を「開発できる」商社と言えるだろう。
(2) トヨタグループとの太いパイプ
トヨタグループとの密接な関係も同社の強みだ。単に生産面での恩恵(生産増→同社売上増)だけでなく、ハイブリッド車、EVなどの次世代自動車で高い技術を有するトヨタグループとのビジネスで、同社自身の技術力・開発力・提案力にも一段と磨きがかかるだろう。
将来はこの技術力・開発力・提案力を自動車業界だけでなく各種の産業用機器やFA機器、生産システム、検査システムなどに応用することで事業の拡大が可能になってくる。要求が世界で最も厳しいと言われるトヨタグループと関係があること自体が、同社の財産とも言える。
一方で、売上高の多くをトヨタグループに依存していることはリスクが高いとの見方もあるが、必ずしもそうではない。現在、トヨタは世界市場での勝ち組であり、そのトヨタグループ向けの売上高が多いことは、同社にとってプラスと考えられる。
(3) 非自動車向けの技術力
同社の売上高の約15%は非自動車業界向けだが、この大部分は単なる商社機能ではなく、むしろIT企業としてのシステム構築等によるものである。特に生産現場でのシステムや検査工程でのシステム構築などに強い。ソリューション事業の売上規模(年間24,500百万円超)は、一般的な上場システムインテグレーター(SI)企業の売上規模に匹敵し、このようなSI機能を持っていることも同社の特色であり、強みでもある。
以上のように同社は、単にデバイスを右から左へ流す商社機能だけでなく、「付加価値を付ける」ことができる商社である。これは売上総利益率の高さからもうかがえる。同社の売上総利益率(2020年3月期)が9.9%だったのに対し、同じようにルネサスエレクトロニクスの製品を多く扱う主な半導体商社の売上総利益率は、三信電気<8150>が9.1%(同)、新光商事<8141>が9.6%(同)、グローセル<9995>が9.0%(同)、佐鳥電機<7420>が8.7%(2019年5月期)となっている。同社が持つ技術力・開発力・提案力によって「付加価値」がオンされた結果と言えるだろう。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 寺島 昇)
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