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ミツバのニュース
―低PBR株の宝庫+業績回復局面入り、新年度相場入りを契機に見直し人気に乗る―
東京株式市場は4月新年度入りとともに再び株高の号砲が鳴った。日経平均は彼岸底の相場格言通り3月下旬に大幅な下落を余儀なくされたものの、その後は見事に立ち直り、4月に入ってから2営業日で一気に3万円大台が視界に入る水準まで切り返してきた。株式需給面からは機関投資家のニューマネーの流入が見込まれ、ファンダメンタルズ面でも超金融緩和環境の継続と景気回復への期待という2つの強力な追い風が強気相場を演出する。半導体関連株が満を持して再浮上に転じてきたことなどが、市場のセンチメント改善に一役買っている。しかし、注目すべきセクターは他にもある。
●自動車販売好調で周辺株に見直し機運
相場全般が上げ潮ムードに乗るなか、ここからの水準訂正妙味の大きいセクターはどこかといえば、それはずばり自動車部品業界だ。自動車販売はウィズコロナの環境下で米国や中国を中心に復調著しいものとなっている。自動車メーカーが潤えば、当然ながらそこに部品や部材を提供している企業にも商機が巡ることになる。
今週1日に発表された3月の日銀短観では、大企業・製造業の景況感を示す景況判断指数(DI)はプラス5と昨年12月の調査から15ポイント上昇し、2019年9月以来1年半ぶりのプラスとなった。つまり、製造業については“ビフォーコロナ”の水準まで回復したということになる。そして、注目すべきは大企業・製造業の主要業種のうち、自動車のDIがプラス10だったことで、これは更に半年さかのぼった19年3月以来2年ぶりの高い水準である。
●究極の割安圏に放置されている銘柄群
自動車業界は半導体不足で当面は生産調整を強いられる状況にあるが、自動車の販売需要そのものは極めて旺盛である。収益面では、前期を引き継ぐ形で今期こそ書き入れ時を迎えることになる。足もとでの半導体不足の問題は自動車を買う側に順番待ちの整理券を渡すようなもので、需要自体に水を差すものではなく、中期的な視点で自動車メーカー及びその周辺企業の業績回復に向けたレールはしっかりと敷かれた状態だ。
外国為替市場で1ドル=110円台に入るなどドル高・円安基調にあることも、為替感応度の高い自動車セクターにはポジティブ材料であり、海外機関投資家はいったんは持ち高調整の売りを出したトヨタ自動車 <7203> やホンダ <7267> 、日産自動車 <7201> といった大手自動車株に改めて視線を向けることが予想される。そして、その脇を固める数多くの自動車部品メーカーが恐ろしく割安に放置されていることにも気づく可能性がある。
●再編の動きと超低PBRの実態が共鳴
自動車部品業界は昨年の1~3月にコロナ禍によって世界各地の生産ラインがストップし、その影響が収益を直撃した。しかし、ワクチンが世界的に普及加速局面を迎えた今、その時の強烈な逆風にもはや晒されることはない。そして、電気自動車(EV)や次世代技術領域であるCASEに対応した研究開発の動きも再び加速し始めている。
機動的な商品開発や業務提携など経営戦略に向けた意思決定の迅速化、生産コスト合理化などを背景としたグループ再編の思惑も自動車部品メーカーの株価を強く刺激することになる。1株純資産に対して現在の株価がどのくらいに評価されているかを示すPBRは多くの企業が会社解散価値(経営活動を停止し純資産をすべて売却した価値)を下回っている。自動車部品セクターのPBRの低さは際立っており、買収や経営統合する際に、まさにバーゲンハントといっても過言ではない株価水準に放置された銘柄がゴロゴロしている。
今回の特集では自動車部品セクターにスポットライトを当て、EVシフトや再編思惑を背景として、ここから水準訂正に向け本格的な上値追いが期待できる“赤札銘柄”を5銘柄選抜した。
●この5銘柄がハンターチャンス!
【住友理工は劇的回復で自動運転でも戦略商品】
住友理工 <5191> は2月初旬に急動意し市場の注目を集め、その後はいったん下降トレンドに入ったものの3月に入り仕切り直しの買いが流入、下値切り上げ波動を形成中だ。住友電工系の自動車用防振ゴム最大手でトヨタを主要顧客としている。21年3月期は営業損益が22億円の赤字となる見通しながら当初予想は129億円の赤字予想であったから、そこから100億円以上も損益見通しが改善した。22年3月期については自動車販売拡大の恩恵に加え、中国向け建機部品が増勢で収益を押し上げ、営業損益は130~140億円の黒字とV字回復以上の変貌を遂げる可能性がある。また、同社が開発した「ステアリングタッチセンサー」は自動運転から手動への切り替え時に重要な役割を担い、日産自のEV向けに採用されている。
【愛三工は最強トヨタ恩恵で収益大復活へ】
愛三工業 <7283> は2月初旬にマドを開けて上放れ、その後は調整色をみせるもマドを埋めることなく切り返し、3月23日には725円の年初来高値を形成した。早晩これを奪回し上値指向を強める展開が想定される。トヨタが筆頭株主で、同社との取引関係も厚く、売り上げ全体の6割を占めている。世界的な電動車シフトの動きが加速しているが、トヨタはEVやHVへの展開力で群を抜いており、これはEVやHVの電動車制御システム事業化に注力する同社にとっても収益機会の拡大を約束するものだ。業績面では21年3月期は営業5割減益の36億円予想と急減するが、合理化努力に伴い収益体質が引き締まったことで22年3月期は急回復が見込まれる。新車販売回復の恩恵を競争力抜群のトヨタ経由で享受する。
【エイチワンはPBR0.3倍台で超割安圏】
エイチワン <5989> の水準訂正余地は大きく、800円近辺で売り買いを交錯させている今はチャンスとみたい。配当利回りが高いにもかかわらずPBR0.3倍台はあまりに評価不足といえる。アンダーボディー骨格部品を主力とする自部品専業メーカーだが、売り上げの実に約9割が筆頭株主のホンダ向けであることは特筆される。中国の自動車販売回復の恩恵をホンダ経由で獲得しており、21年3月期営業利益は従来予想の16億円から25億円に増額している。増額後でも前の期比で3割減益となるが、その分回復の伸びしろは大きく、22年3月期は45~50億円と今期推定比で倍増する可能性がある。株価は12月中旬の高値926円が当面の目標となるが、仮にこの水準まで買われてもPBRは0.4倍強に過ぎない。
【ミツバは電装品回復で長期トレンド転換へ】
ミツバ <7280> は早晩、年初来高値更新から強調展開となる可能性が高く、600円台後半の株価は強気に対処して報われよう。信用取組は直近データで信用倍率1倍弱と需給妙味がある。ワイパーモーターなどを強みとする自動車電装品メーカーでホンダ向けを主力に取引先を幅広く確保している。21年3月期は営業利益段階で60億円予想と前の期比3割程度の減少となる見込みながら、22年3月期は米国向けや中国向けなどを中心とした自動車販売好調の恩恵を享受し、売上高、利益ともに急回復に向かう公算大。株価は17年の年央から3年半以上にわたる下降トレンドに入っていたが、それも今年に入って大底を確認し、24ヵ月移動平均線を上回ってきたことから長期トレンドでも大転換を果たしたとみてよい。
【三光合成はEVシフトで成長余地広がる】
三光合成 <7888> の400円台後半のもみ合いは買い溜めるチャンスといえる。上下にやや値動きは荒いもののPER、PBRともに割高感はなく、中期的に13週移動平均線をサポートラインとした上値追いを期待。同社はバンパーをはじめとする自動車向け樹脂部品を手掛けるが、EVとの相性が良い。EVは内燃機関を持たず、車体軽量化が重視されるため、ガソリン車よりも樹脂部品の割合が増える傾向にあり、世界的なEVシフトは同社の成長余地を高めることになる。業績も米国や中国での受注拡大が予想以上でIoT活用により生産効率化への取り組みも結実しつつある。21年5月期営業利益は前期比2.9倍の20億円予想だが、進捗率から一段の上振れも。22年5月期も2ケタの利益高成長路線を維持する公算が大きい。
株探ニュース
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