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―衛星通信による「緊急SOS」にも対応、電子デバイスメーカーへの注目度高まる―
米アップル
●中国ではアクセス集中しサーバーダウン
アップルは日本時間の9月8日午前2時から、新製品発表イベント「Far Out.」を開催した。iPhone 14 ProとiPhone Pro Maxには新開発の半導体「A16」が採用されている。発表会において「写真の新時代を切り開く」と同社の担当者が述べただけあって、メインカメラには4800万画素のイメージセンサーを採用(従来は1200万画素)。特に変化したのは、夜間や室内での撮影性能で、従来機種の2倍という。
また、その他の目玉要素として、iPhone 14シリーズ全機種を衛星通信による「緊急SOS」に対応させることも明らかにした。電波がない場所からも事故や犯罪などの緊急通報が可能になり、アップル側が救助などの依頼を行う。11月に米国とカナダで先行してスタートする計画(最初の2年間は無料、日本での導入計画には言及なし)にある。なお、iPhone 14シリーズ以外には「Apple Watch」や「AirPods Pro」の新製品も同時に発表された。特に「AirPods Pro」については、2019年10月に同製品が登場して以来、3年ぶりのアップデートとなるため、買い替えという意味でもユーザーの購買意欲が高まりやすい。
世界を見渡してみれば、中国ではアクセス集中でアップルのサーバーがダウンしたが、アップルに詳しい著名アナリストのミンチー・クオ氏によれば、中国における事前予約状況(店頭など)は、上位機種(iPhone14 ProとPro Max)の合計で約85%に達しているとのポジティブな観測もある。他にも海外の金融大手アナリストたちも軒並み強い需要を指摘している。このように抜群のコンテンツパワーで海外での需要は健在のようだ。一方、日本においては直近で急激に円安が進行するなか、多くの企業と同様にアップルも値上げに踏み切っており、需要動向に注目が集まっている。
●波乱相場でもiPhone14はテーマ性発揮
米国株式市場では注目度が高かった「8月消費者物価指数(CPI)」だが、同経済指標が予想を上回る伸びとなったことから、連邦準備制度理事会(FRB)の利上げペース加速懸念が強まり、今月13日の米国市場でNYダウ、ナスダック総合株価指数ともに急落した。こうした全体相場の流れには逆らえず、アップルの株価もここ最近は冴えない。
しかし、iPhone14シリーズ発表直後は強い反応を見せていたことは認識しておきたい。今後のアップル関連の材料としては、10月下旬に発表予定の第4四半期決算と10月にも開催することが期待されている新製品発表イベントの2つが挙げられる。また、この2つの直近材料の他に、MR(複合現実)のヘッドセットという超ド級の期待材料も同社は内包しており、今後関連銘柄に市場の視線が向かう局面も想定される。
今回のトップ特集ではアップル関連の銘柄に注目。iPhone14の目玉的要素である「衛星通信」に関連した銘柄もマークが必要となる。荒れ模様の全体相場を乗りこなすのに苦労している投資家も多い状況下ではあるものの、今後の値動きに注目しておく価値がある。
●村田製、ヒロセ電、NISSHAなどに活躍余地
村田製作所 <6981> [東証P]~世界最小サイズの積層セラミックコンデンサー (MLCC)を手掛けており、スマートフォン1台当たり800~1000個が搭載されている。小型大容量積層セラミックコンデンサーの提供により、電子回路の省スペース化を促進するほか高機能化を実現させる。ミドル・ローエンドスマホ向けの需給は足もとで弱含んでいるが、ハイエンドスマホ向けのコンデンサーや高周波モジュール、SAWフィルターは増加傾向にある。
ヒロセ電機 <6806> [東証P]~コネクター専業メーカーであり、基板対基板用コネクター、基板対ケーブル用コネクター、FPC(フレキシブルプリント配線板)/FFC(フレキシブルフラットケーブル)用コネクター、メモリーカード用コネクターなどで主力製品群を構成。高速伝送化や耐環境性能などの需要が高まるなか、ビジネスチャンスが拡大している。
TDK <6762> [東証P]~スマホ向けソリューションではHDDヘッドで培った薄膜技術を応用した磁気センサーのほか、デバイスの方向、回転、位置を高精度に検知できる先進の3軸・6軸・9軸モーションセンサー、また、MEMS技術を用いた気圧センサーや音響特性を向上させたマイクロフォンなどを手掛けている。なお、スマホ電源回路用インダクター「TFM201208BLEシリーズ」を開発し、6月より量産を行っている。
NISSHA <7915> [東証P]~視認性や操作性に優れる静電容量方式フィルムタッチセンサーを手掛けており、2点以上の接触や接点の移動をスムーズに検知できることから、スマホやタブレットのほか、携帯ゲーム機や産業用端末(物流関連)、モビリティーなどに幅広く採用されている。
日本特殊陶業 <5334> [東証P]~ICチップを保護したり、電気信号を伝達したりする半導体パッケージを手掛ける。スマホやタブレット、パソコン向けでは、過酷な環境に耐えるセラミック材料で作られた高温同時焼成セラミックパッケージ・基板や高気密封止対応で小型軽量、低背化に対応した表面実装用セラミックパッケージなどを扱う。
デクセリアルズ <4980> [東証P]~樹脂の中に導電粒子を分散させ、導通と絶縁の特性を兼ね備えたフィルム型の接合材料「異方性導電膜(ACF)」、タッチパネル表面に使用できる「反射防止フィルム」、ディスプレーの視認性と薄型化を実現する「光学弾性樹脂(SVR)」などを手掛ける。リチウムイオン電池の充放電を制御する1次保護が正しく機能せずに過充電・過電流が発生した際、回路を遮断する2次保護用の表面実装型ヒューズであるセルフコントロールプロテクター「SFS-0830A」を7月に製品化、既に複数の急速充電対応スマホでの採用が決定しているという。
●この他にも関連有力企業が目白押し
これ以外では、AGC <5201> [東証P]はガラスフィルムや強化ガラスを手掛け、アルプスアルパイン <6770> [東証P]はオートフォーカスカメラ機構に使われるVCMアクチュエーターを製造し小型化ニーズのほか、大口径レンズの搭載にも対応する。フジクラ <5803> [東証P]は、電子機器内配線に使われるフレキシブルプリント配線板(FPC)、日本航空電子工業 <6807> [東証P]は、5Gミリ波アンテナモジュールの中継に最適な高周波・フルシールドタイプの基板対基板(基板対FPC)用コネクターを開発している。ジャパンディスプレイ <6740> [東証P]は、スマホ、タブレット、ノートパソコンなど、モバイル製品の液晶モジュールを製造する。
京セラ <6971> [東証P]は、CMOSセンサーなどの半導体と基板をつなぐ台座となるセラミックパッケージ、ミネベアミツミ <6479> [東証P]は、オートフォーカスや手ブレ補正を行うための小型アクチュエーターや急速充電性能を最大化した電池保護ICなどを製造。NOK <7240> [東証P]は、柔軟性のある回路基板「フレキシブルサーキット」。ルネサスエレクトロニクス <6723> [東証P]は、スマホ向け半導体を手掛け、ローム <6963> [東証P]は、液晶の色味を最適な状態へ補正するカラーセンサーIC、シャープ <6753> [東証P]は液晶パネルの製造などを手掛ける。更にスマホ向けCMOSイメージセンサーで高い商品競争力を持つソニーグループ <6758> [東証P]の存在も見逃せない。
株探ニュース
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