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日本アンテナのニュース
―さらば4G時代、5G商用サービス開始で上昇トレンドに向かう有望株を大発掘―
次世代通信規格である「5G」の国内商用化がついにスタートした。NTTドコモ <9437> は3月25日から、KDDI <9433> は26日から、ソフトバンク <9434> は27日から順次5Gサービスを開始しており、これに合わせて株式市場でも関連銘柄に熱い視線が向けられている。
人工知能(AI)や IoTの普及が進むなか、高速大容量、同時多数接続、超低遅延を3本柱とする5GはAIやIoTをつなぐ神経回路となり得るもので、その活躍の場はスマートフォンの映像ダウンロード能力を高めるといったこれまでの領域にとどまるものではない。工場の生産ラインや遠隔医療、自動運転などのあらゆる産業分野で5Gは大いに力を発揮し、高付加価値サービス創出の礎となる。5Gは通信規格として第5世代を意味するが、携帯電話の通信方式は、これまでほぼ10年タームで世代交代を続けてきた。初代は1980年代にスタートしたが、5Gの通信速度は初代比で実に100万倍の速さとなっており、それだけモバイル通信分野のサービスも高度なものが提供できるという理屈だ。
●GAFAを追う次なる主役登場の舞台
5Gは直近の4Gとの比較でも通信速度は100倍以上、更にIoTで必須となる多端末同時接続では1平方キロメートル当たり100万台と、これまでとはケタ違いのスピードとキャパシティーを持つ。例えば2時間の映画をダウンロードするのに4Gはおよそ5分間待つことになるが、5Gではわずか3秒に過ぎない。個別の端末機器と基地局の間の通信は1000分の1秒という超低遅延性も売り物だ。このタイムラグの解消は、遠隔地からの産業ロボットや建設機械などの操作性で重要となる。また、膨大な運行情報の受信・高速処理が要求される自動運転分野において、インフラ基盤としての5G環境は大前提となる。
4G時代に台頭したGAFA(グーグル=Google、アップル=Apple、フェースブック=Facebook、アマゾン=Amazon)と同様、5G時代にも新たなニューヒーローが輩出される可能性は高く、もちろん日本企業がその主役候補に躍り出ることもあり得る。株式市場で5Gが投資テーマとして脚光を浴び続けるゆえんである。
●2035年に1350兆円の経済効果
スウェーデンの通信機器大手エリクソンは5Gの契約数が2025年末までに世界で26億件に達するとの見通しを示している。また、英調査会社のIHSマークイットは5Gがもたらす経済効果について35年までに最大で12兆3000億ドル(約1350兆円)に達すると試算している。
更に通信キャリアではなく、企業あるいは地方自治体などが独自の5Gを活用したネットワークを構築できる5G周波数領域をローカル5Gと呼ぶが、日本は世界に先駆して同分野に取り組んでおり、少ない投資額で5G機能を享受できることから、企業の間でこれを導入する動きが相次いでいる。企業の生産現場などで今後普及が進んでいく公算が大きく、株式市場でも関連銘柄に光が当たり始めている。
●アンリツの上値追いに反映される5Gへの期待
個別株に目を向けると、通信計測器を手掛けるアンリツ <6754> は早い段階からこの5G分野の研究に取り組み、世界的な5G商用化元年となった19年から抜かりなく需要を確保して業績に反映させている。5G向けの計測器需要は長期的に取り込むことが可能との見方が強まっており、機関投資家とみられる継続的な買いが同社の株価を押し上げる格好となった。日経平均が1万8000円台を割り込み下値を試した3月13日以降の相場でも無類の強さを発揮した。
このほか主だった関連銘柄としては、基地局に特化した通信計測器メーカーのアルチザネットワークス <6778> [東証2]や、日本アンテナ <6930> [JQ]、原田工業 <6904> といったアンテナメーカー、5G向け電子デバイスを手掛けるsantec <6777> [JQ]、PALTEK <7587> [東証2]、双信電機 <6938> 、大真空 <6962> などが折に触れて動意をみせる。また、システム開発関連のアイ・エス・ビー <9702> 、アイレックス <6944> [JQ]、通信工事会社のコムシスホールディングス <1721> 、ミライト・ホールディングス <1417> なども注目度が高い。
●テレワークと5Gは表裏一体の投資テーマに
なお、直近では新型コロナウイルスの感染症拡大が足を引っ張り、米アップルが5G対応iPhoneの発売時期を当初予測されていた時期より数ヵ月延期するとの観測が浮上している。これが5Gの普及を遅らせるとの思惑も出ているようだが、中期的な成長シナリオに立てばこれは誤差の範囲であり大勢に影響はない。むしろ新型コロナによりテレワークなどの在宅勤務を推進する動きが加速するなか、5G環境の整備を急ぐ必要性がコンセンサスとして生まれ、政策面での後押しにつながる可能性がある。
また、今回の新型コロナ・ショックによってスポットライトが当たった巣ごもり消費では、レジャー分野で動画配信やゲームに需要が高まるのは必然の流れだ。その際、5Gによるハイスペックなサービスはこれまでとは違う新たな刺激を消費者に与え、潜在的な需要を掘り起こす。新型コロナが収束に向かっても、今度は5Gが巣ごもり化の“張本人”となる可能性すらある。
●復活高に待ったなしの有望7銘柄はこれだ
今回は5G関連で、株価が底値圏を離脱し復活トレンドに向け走り始めた有望7銘柄をリストアップした。
【大井電気】
上値目標[1]2700円 上値目標[2]3300円
大井電気 <6822> [JQ]は三菱電機系の情報通信機器メーカーで、通信工事・メンテナンスにも展開。次世代通信規格5Gの中継機器を通信キャリア向けに手掛けており、基地局工事でも受注を獲得している。光伝送機器が収益に貢献し、20年3月期は増収を確保し営業利益段階からの黒字転換を視野に入れるが、5G関連機器や基地局工事などが後押しする形で21年3月期には回復が一段と本格化する見込み。昨年12月初旬から中旬にかけての急騰劇は注目を集め、株価は2週間余りで2倍以上に化けた。
【TDCソフト】
上値目標[1]900円 上値目標[2]1050円
TDCソフト <4687> は金融機関や流通向けを軸とする独立系システムインテグレーターで、独自開発により構築したEDIシステムなどクラウド時代に焦点を合わせた戦略で収益成長路線を走っている。ローカル5G関連の有力株としてマーケットの注目度が高く、昨年の秋には、高速大容量通信のプライベートLTEを展開するLTE-X(東京都品川区)と資本・業務提携を締結し協業体制でローカル5Gを活用した新サービスを展開している。株主還元にも前向きで配当利回りも高い。
【多摩川HD】
上値目標[1]2400円 上値目標[2]3000円
多摩川ホールディングス <6838> [JQ]はモバイル通信向け計測器を製造しており、デジタル信号とアナログ信号の変換機器などで実力が高い。5G向け機器ではミリ波に対応した無線機器の受託開発及び製造に乗り出し顧客開拓を進めており、マーケットの注目材料となっている。5G対応のアナログ高周波装置などに高水準の引き合いがあり収益成長への思惑につながっている。株価は急騰力があり、今年1月には4480円の高値をつけたが、時価はそこから半値以下の水準にある。
【ETS・HD】
上値目標[1]820円 上値目標[2]920円
ETSホールディングス <1789> [JQ]は送電線工事を主力とするが、高度な技術力に定評があり、通信工事の育成にも注力していることで5Gの普及局面で新たなビジネスチャンスを取り込むことへの期待が高まっている。昨年5月にはWi-Fi関連システムを手掛け5G基地局工事にも展開するナビック(東京都千代田区)と業務提携し業容拡大を図っている。株価は動き出すと連騰習性があり、目先5日・25日移動平均線のゴールデンクロス示現で上値への思惑が高まりつつある。
【サイバーコム】
上値目標[1]1750円 上値目標[2]2000円
サイバーコム <3852> は富士ソフト傘下で車載・通信向けを得意とするソフト開発企業であり、業績も好調に拡大基調を続けている。安定性が要求される通信基盤、クラウド対応の高機能情報端末などに搭載される通信端末、ネットワーク通信を行う通信アプリケーションの開発などで高い実績を有し、LTE監視制御システムなどで開拓した顧客基盤をベースに5G普及局面でも活躍が期待される。「楽々セキュアコネクト」など テレワーク分野でもサービスを展開している。
【フェローテク】
上値目標[1]700円 上値目標[2]800円
フェローテックホールディングス <6890> [JQ]は半導体向けデバイスの製造を手掛け、磁性流体の応用技術で強みを持ち、真空シールでは世界トップシェアを有する。5Gの普及局面で半導体需要が強く喚起されている。そのなか、5G基地局電源として パワー半導体が重要な役割を担うが、同社はパワー半導体基板で高い競争力を有している点がポイント。パワー半導体は30年までに45%の成長を遂げ市場規模は4兆円に及ぶと試算されている。また、同社が手掛けるサーモモジュールも5G向けで旺盛な需要があり注目だ。
【ネクストジェン】
上値目標[1]1700円 上値目標[2]2000円
ネクストジェン <3842> [JQG]はIP電話などの通信システムを手掛け、主力の通信システム開発のほか保守・サポートなどに展開する。協和エクシオ <1951> とは資本・業務提携を結んでおり、ローカル5G分野や音声AIクラウド分野で事業拡大を図っていく方針。また、働き方改革の推進や通信コスト低減に貢献するスマートフォン内線化ソリューションの提供もスタートさせている。同ソリューションはテレワークの導入にも有効性が高く、収益機会拡大への期待が大きい。
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