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エノモト Research Memo(5):荒波を乗り越えて経営を盤石化

配信元:フィスコ
投稿:2019/06/26 15:15
エノモト<6928>の業績動向

1. ヒストリカルな収益動向
この30年程度を俯瞰すると、起伏の多い業績となっている。「産業のコメ」と言われる半導体関連メーカー向けに電子部品を製造供給しているため、外部環境にある程度左右されるのは仕方なく、高い技術力と適応力でそうした荒波を乗り越えてきたと言うことができる。1990年代はパソコンの普及やデジタル化の流れのなかで半導体向け需要が拡大したが、2000年代に入るとITバブル崩壊により業績が低迷。その後LEDの普及とともに業績は改善していったが、2008年のリーマンショックを契機に再び業績が低迷した。リーマンショック後は業績回復に時間がかかったが、リーマンショック後の構造改革が東日本大震災によって後ろ倒しになったところに、急激な円高で中韓の電子部品メーカーが低価格で参入してきたためで、2013年3月期に巨額の当期純損失を記録する要因となった。このため2014年1月に改めて構造改革をスタート、1987年進出で老朽化していたシンガポール工場の解散を決議したほか、不採算の事業所や静岡工場を閉鎖して人員削減も行った。

こうした構造改革の甲斐あって固定費が削減されたが、そこへスマートフォン向けの需要が拡大し、円安の追い風も吹いた。低採算品の値上げ交渉や高品質電子部品の販路拡大も進展した。さらに、これまでの業界環境の悪化や価格競争により、市場を退出したメーカーが多かったことや、スマートフォンのハイスペック化に対応できる「メイドインジャパン」品質の電子部品を安定かつ大量に供給できる、同社のようなメーカーが少なくなっていたこともあり、営業利益率は急改善していった。顧客側からすると、歩留まりの高さなど技術力やニーズへの柔軟な対応力が、同社を選択する理由になったと思われる。現在、装置産業であることに加えて精密化やハイテクノロジー化により参入障壁が高くなったこともあり、「残存者メリット」を享受しやすい環境になったと思われる。さらに足もとは、LEDやスマートフォンに続いて、車載用やウェアラブルなど高精度化や超小型化へのニーズ拡大という波にも乗りつつある。

同社は、2017年に東京証券取引所JASDAQ(スタンダード)から東京証券取引所第2部へ市場変更、その1年弱後の2018年には東京証券取引所市場第1部への指定替えをスピード達成した。この間既に、人材の採用や外部プロジェクトへの参画などにおいて、1部上場によるステイタス向上の恩恵を受けているもようである。また、ガバナンス面では、執行役員制や監査等委員会制へ移行した。執行役員制への移行により、各部署に担当役員が配置されることになり、権限移譲が進んで意思決定のスピードが速くなった。監査等委員会制への移行とともに内部監査室を設置し、海外工場責任者や管理部門責任者の経験を有する者がその任に当たっており、リスク管理体制の強化も進めている。さらに、無理・無駄をなくすワークフローの改善や新規事業開発(後述するセパレータ等)など、経営の盤石化は足元も進行中である。


5G移行期のためスマートフォンが低迷
2. 2019年3月期の業績動向
2019年3月期の業績は、売上高21,047百万円(前期比4.8%減)、営業利益1,131百万円(同32.4%減)、経常利益1,260百万円(同21.3%減)、親会社株主に帰属する当期純利益912百万円(同26.8%減)となった。米中貿易摩擦問題などにより世界経済の緩やかな減速傾向が顕在化、中国経済では年度後半に自動車や民間設備投資の減速が顕著となった。そのような中、同社の属する電子部品業界では、自動車の電装化やデータセンターへの設備投資といったIoT関連需要が堅調に推移したものの、5Gへの移行期にあるモバイル関連が伸び悩んだ。中長期的には自動車の自動運転やウェアラブルの普及などによって、高精度化や超小型化といったニーズが高まることが予測されており、同社は、更なる品質の改善と製造工程の自動化・効率化による製造コスト低減を推進した。

売上高は、車載向け部品が引き続き堅調で、下期に調整局面に転じたLED向けも上期中心に競技場など大型ディスプレイ向けやアドバタイズメント向けに伸長した。モバイル向け部品では、ウェアラブル関連が予想を上回って好調で、スマートフォン部品の低迷を緩和した。利益面では、従来から製造工程の自動化や効率化によって製造コストの低減を進めているが、スマートフォンの量産効果の方が相対的に大きかったことから売上総利益率がやや低下し、販管費を抑制したものの営業利益以下各段階の利益で減益となった。なお、海外については、車載向け部品が堅調のフィリピンは、セブの金型工場をカビテに集約し合理化を推進したが、製造工程の改革が途上だったことに加え新工場の建物・設備の償却が増加したため、利益率は伸び悩んだ。中国では、2018年3月期に好調だった民生用機器向け部品が生産調整に入ったが、各種コネクタ部品が伸びて売上を支えた。なお、営業外収支でセブ工場売却に伴う受取配当金と外貨決済に伴う為替差益、特別利益で政策保有株式の売却に伴う投資有価証券売却益、特別損失で投資有価証券評価損などが発生した。

製品群別に関しては、IC・トランジスタ用リードフレーム製品群で、自動車向け部品の受注は変わらず堅調だったが、海外における民生用機器向け部品で一部受注が減少し、売上高は7,513百万円(前期比4.5%減)となった。オプト用リードフレーム製品群では、上期は自動車向け部品や大型ディスプレイ・アドバタイズメント設備向けLED用リードフレームの需要が好調だったが、年末以降在庫調整局面に転じ、売上高は2,926百万円(同4.1%減)となった。コネクタ用部品製品群は、自動車向け部品が堅調に推移した上、ウェアラブル端末向けなどで新たな需要の増加も見られた。しかし、5Gへの移行期となったモバイル端末向けの需要減少による影響が大きく、全体の受注が減少し売上高は9,753百万円(同6.9%減)となった。その他の製品群では、設備投資向け需要増でリレー用部品が好調に推移し、売上高は854百万円(同21.4%増)となった。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)


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配信元: フィスコ
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