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―都は25年4月の施行を視野、他の自治体が追随する可能性も―
東京都は2025年4月から新築住宅に太陽光パネルの設置を義務化する方針だ。12月の都議会に条例改正案を提出し、条例可決後、2年程度の準備周知期間を設けたうえで施行するとしている。小池百合子知事は9月9日の会見で「屋根が発電するのが当たり前という気運を醸成したい」と述べ、都の政策主導で都市部での 太陽光発電を普及させる意向を示した。こうした動きをみて追随する自治体が増えることが予想されることから関連銘柄に注目してみたい。
●カーボンハーフ実現のカギ握る
東京都は30年までに温室効果ガスの排出量を00年比で半減する「30年カーボンハーフ」を目指しているが、都内の二酸化炭素(CO2)排出量の7割超が建物でのエネルギー使用に起因しており、業務・家庭部門の対策強化が急務となっている。50年時点で建物ストックの約半数(住宅は7割)が今後新築される建物に置き換わる見込みで、新築建物への対策が極めて重要となっている。
こうしたことを踏まえて都は新たな制度を設ける計画だ。9月9日に都環境局が公表した「カーボンハーフ実現に向けた条例制度改正の基本方針」によると、断熱・省エネ性能の確保、再生可能エネルギー(太陽光発電)やZEV(ゼロエミッション車)充電設備の設置などの義務を規定した「建築物環境報告書制度(仮称)」を創設する方針。義務づける対象は住宅を購入する個人ではなく、一定の中小規模の新築建物(住宅、ビル)を供給する住宅メーカー(年間供給総延床面積2万平方メートル以上の事業者)とし、これらメーカーが1年間に建てる戸建ての約半数に当たる2万4000棟が該当する見通しだ。
このペースで増やしていけば、都が掲げる「30年の都内太陽光発電設備導入量200万キロワット以上」の目標達成がみえてくる。都では事業者単位で総量として太陽光発電設備の設置義務を課すことで、設置を標準化した魅力ある商品ラインアップの拡充が期待できるとともに、日照などの立地条件や住宅の形状などを考慮しながら実効性を確保することができるとみている。
●大和ハウスは建設する全物件に提案
ウエストホールディングス <1407> [東証S]は、住宅向け太陽光発電サービス「みらくる!」を展開している。太陽光発電を家庭に導入する際にネックとなるのが高額な初期費用とメンテナンス費用だが、「みらくる!」は太陽光発電設備を購入せずに、定額サービスを利用するビジネスモデル。初期費用がかからないほか、定額サービス料金も太陽光発電によって削減できた電気代と売電収入で賄うことができるので家計への負担が軽減できるという。
大和ハウス工業 <1925> [東証P]は再生可能エネの供給を加速するため、10月から自社が建設及び開発する商業施設や事業施設のすべての新築建築物の屋根に太陽光発電システムの提案を開始した。顧客から注文される通常の請負方式に加え、同社が屋根を借りて太陽光発電システムを無償で設置し、発電した電力を供給するオンサイトPPA方式も活用。26年度までに700億円を投資し、電力供給などで260億円の売上高を見込むとしている。
オープンハウスグループ <3288> [東証P]は、自社の新築戸建て住宅向け太陽光サービスで東京ガス <9531> [東証P]とタッグを組んでいる。このサービスは設置工事費のみの初期費用で太陽光発電設備を導入でき、月々定額のサービス料を支払うことで、同設備で発電した電気を家庭内で利用できるというもの。電力会社から購入する電力量を減らせることで毎月の電気料金を抑えられるほか、計画停電や災害による停電の際に発電していれば電気を使用することができることがメリットだ。
フジプレアム <4237> [東証S]は精密貼合技術を活用した薄型テレビ用光学フィルターなどの製造・販売が主力で、太陽光パネルなど住宅用太陽光発電システムなども手掛けている。超軽量太陽電池モジュール「希」をはじめ、モジュール製造においても精密貼合技術を生かした画期的な製造技術を誇り、同社ならではの独自性・先進性を発揮。標準的なシリコン結晶太陽電池モジュールや、建材一体型太陽電池モジュールも製造しており、フジプレアムブランドとして太陽光発電システムの設計・施工・販売を行っている。
このほかでは、太陽光パネル付き住宅を販売するフィット <1436> [東証G]、金属製屋根のノウハウを生かした太陽光発電工事で実績のある三晃金属工業 <1972> [東証S]、太陽電池アレイ支持架台を提供する日創プロニティ <3440> [東証S]、太陽光モジュールを扱うAbalance <3856> [東証S]、住宅用太陽光発電システムを展開するサニックス <4651> [東証P]などが関連銘柄として挙げられる。
●ペロブスカイト太陽電池に注目
太陽の光エネルギーで発電する太陽光発電は、原料採鉱・精製から廃棄に至るまでを含めてもCO2排出量が非常に少ない再生可能エネだが、主流となっているシリコン系太陽光パネルはシリコンが厚く、曲げることができないことから設置場所が制限されていた。そこで注目されているのが次世代の太陽電池とされるペロブスカイト太陽電池で、薄くて軽く柔軟性があることが特長だ。
積水化学工業 <4204> [東証P]は、JR西日本 <9021> [東証P]が開業を目指す「うめきた(大阪)駅」にフィルム型ペロブスカイト太陽電池を提供、設置することが決まっている。同社は既に発電効率15.0%のフィルム型ペロブスカイト太陽電池の製造に成功しており、現在は製造プロセスの確立、耐久性や発電効率の更なる向上を目指し、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)のグリーンイノベーション基金も活用して開発を加速させている。
カネカ <4118> [東証P]もNEDOグリーンイノベーション基金事業を活用して実用化技術の開発に取り組んでいるほか、日本精化 <4362> [東証P]は産業技術総合研究所と共同でペロブスカイト太陽電池の耐久性向上につながる新規有機ホール輸送材料の開発に成功している。また、21年にペロブスカイト太陽電池事業に参入したホシデン <6804> [東証P]にも目を配っておきたい。
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