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星和電機のニュース
―10月7日の生理学・医学賞からスタート、科学技術力・日本の復権に期待膨らむ―
ノーベル賞の発表シーズンが迫っている。株式市場では、受賞候補者の研究テーマに関連する銘柄への注目度が高まりやすくなる時期でもある。2024年のノーベル賞は7日に生理学・医学賞が発表され、8日に物理学賞、9日に化学賞、10日に文学賞、11日に平和賞、14日に経済学賞と続く。英調査会社のクラリベイト
彦坂氏は視覚情報処理や眼球運動などの運動の制御で大きな役割を果たす「大脳基底核」の神経経路に関する研究に貢献。彦坂氏が受賞した際は市場ではブレインテック関連銘柄に注目が集まるとの指摘があり、脳機能の状態を可視化する機器を持つ島津製作所 <7701> [東証P]や、ブレインテック事業の強化を図るメディアシーク <4824> [東証G]などが注目される可能性があるようだ。
堂免氏は、太陽光を用いて水を酸素と水素に分解する「光触媒」と「人工光合成」に関連する研究領域に携わってきた。日本国内では企業連合の「人工光合成化学プロセス技術研究組合(ARPChem)」において、水素を製造するシステムの研究活動が進められており、三菱ケミカルグループ <4188> [東証P]やINPEX <1605> [東証P]、三井化学 <4183> [東証P]、デクセリアルズ <4980> [東証P]、フルヤ金属 <7826> [東証P]などが参画している。
●生理学・医学賞
生理学・医学分野で23年にクラリベイトが受賞候補に挙げた研究者の1人が、筑波大学・国際統合睡眠医科学研究機構の柳沢正史機構長である。睡眠・覚醒を制御する神経伝達物質のオレキシンを発見した。武田薬品工業 <4502> [東証P]は睡眠障害の治療薬として、オレキシン受容体を刺激して覚醒状態の改善を促す「TAK─861」の国際共同第3相臨床試験を開始。エーザイ <4523> [東証P]やネクセラファーマ <4565> [東証P]も、オレキシンに着目した新薬の開発を進めている。スリープテック関連として、不眠障害治療アプリのサスメド <4263> [東証G]などに思惑的な物色が向かう可能性がある。
京都大学高等研究院の森和俊特別教授も受賞候補者に挙げられる。細胞内の小胞体において異常なタンパク質の蓄積を防ぐ「小胞体ストレス応答」を解明。パーキンソン病など多くの病気の治療法の開発に貢献する研究功績を残した。坪田ラボ <4890> [東証G]とロート製薬 <4527> [東証P]が開発を進める近視進行抑制に向けた点眼薬は、小胞体ストレス応答に着目したものとされる。創薬研究用マウスを提供するトランスジェニックグループ <2342> [東証G]も関連銘柄と位置付けられる。
過剰な免疫反応を抑制する「制御性T細胞」を発見した大阪大学の坂口志文栄誉教授は大学発ベンチャーのレグセル(大阪府吹田市)を創業。同社には中外製薬 <4519> [東証P]などが出資する。中外薬の関節リウマチ治療薬「トシリズマブ(アクテムラ)」の開発に貢献したタンパク質「インターロイキン6(IL-6)」の発見には、阪大の岸本忠三特任教授と量子科学技術研究開発機構の平野俊夫初代理事長の存在がある。
今年の慶応医学賞の受賞者の1人となった京大の斎藤通紀教授は、マウスのiPS細胞から精子と卵子、受精卵を試験管内で作り、マウスの個体を育てることに成功した。iPS関連株としては、アイロムグループ <2372> [東証P]や免疫生物研究所 <4570> [東証G]、クオリプス <4894> [東証G]、ケイファーマ <4896> [東証G]、リプロセル <4978> [東証G]、Heartseed <219A> [東証G]などがある。
東京都医学総合研究所の脳・神経科学研究分野の長谷川成人分野長は筋萎縮性側索硬化症(ALS)などの発症に関わる「TDP─43」の存在を突き止めた。ALSによる機能障害の進行抑制につながる「メコバラミン」のエーザイや、治療薬の開発を進めるメディシノバ・インク <4875> [東証S]、オンコリスバイオファーマ <4588> [東証G]などが注目されそうだ。
国立がん研究センターの松村保広客員研究員は、薬物送達システム(DDS)の基礎となるEPR効果の発見に貢献。関連する銘柄としては、協和キリン <4151> [東証P]やNANO MRNA <4571> [東証G]、生化学工業 <4548> [東証P]などがある。ほかにもDDSに着目した製剤の受託開発を手掛けるNISSHA <7915> [東証P]、乳酸・グリコール酸共重合体(PLGA)を基剤とするナノ粒子を用いたDDSの研究を推進してきたホソカワミクロン <6277> [東証P]が脚光を浴びるとみられている。
がん抑制遺伝子の研究で功績を残した医薬基盤・健康・栄養研究所の中村祐輔理事長は、オンコセラピー・サイエンス <4564> [東証G]の創業に携わった。「機能的磁気共鳴画像装置」の原理を発見した東北福祉大学の小川誠二特別栄誉教授に関しては、キヤノン <7751> [東証P]や東陽テクニカ <8151> [東証P]といったMRI関連に加え、電波・磁気シールドを子会社で手掛ける技研ホールディングス <1443> [東証S]がピックアップされそうだ。
●物理学賞
名城大学の飯島澄男終身教授は「カーボンナノチューブ(CNT)」の研究で功績を上げた。CNT関連はレゾナック・ホールディングス <4004> [東証P]、GSIクレオス <8101> [東証P]、日本ゼオン <4205> [東証P]が筆頭格となる。東海理化 <6995> [東証P]は8月、名城大発スタートアップの名城ナノカーボン(名古屋市守山区)との資本・業務提携を発表。CNTを取り扱う企業としては高圧ガス工業 <4097> [東証P]や戸田工業 <4100> [東証S]、TPR <6463> [東証P]、分散液・分散剤を手掛ける第一工業製薬 <4461> [東証P]や星和電機 <6748> [東証S]などがある。
鉄系超電導体の発見で功績を上げた東京工業大学(現東京科学大学)の細野秀雄栄誉教授も注目されている。超電導体関連には住友電気工業 <5802> [東証P]や古河電気工業 <5801> [東証P]、フジクラ <5803> [東証P]、SWCC <5805> [東証P]といった電線メーカーとともに、グループで超電導の研究開発を進めるアイシン <7259> [東証P]も物色候補となる。
量子コンピューターの実用化につながる研究では、東京大学の古澤明教授、東工大(同)の西森秀稔名誉教授の名が挙がる。量子コンピューターの応用材料として期待される「六方晶窒化ホウ素(hBN)結晶」の製造技術を開発した物質・材料研究機構の谷口尚理事と渡辺賢司特命研究員も候補者とされている。量子コンピューター関連としてフィックスターズ <3687> [東証P]やエヌエフホールディングス <6864> [東証S]などが物色対象となりそうだ。hBNに絡んだ企業には、レゾナックやデンカ <4061> [東証P]がある。
大同特殊鋼 <5471> [東証P]の佐川眞人顧問はネオジム磁石で実績を残した。京都先端科学大学の松波弘之特任教授は炭化ケイ素(SiC)パワー半導体の開発に貢献。SiC半導体はローム <6963> [東証P]の成長の原動力となった。東大の香取秀俊教授による300億年で1秒のずれしか発生しない「光格子時計」の開発領域には、NTT <9432> [東証P]や島津、シグマ光機 <7713> [東証S]、アイシンが関わってきた。
●化学賞ほか
化学賞と生理学・医学賞の研究領域は重複部分がある。川崎市産業振興財団ナノ医療イノベーションセンター長の片岡一則氏は、DDSに関連する「ナノマシン」の研究に取り組んできた。片岡氏はナノMRNAの創業者として知られる。前述の堂免氏の研究テーマに関連する「人工光合成」領域での受賞候補者としては、大阪公立大学の神谷信夫特別招へい教授と岡山大学の沈建仁教授のほか、東京理科大学の藤嶋昭栄誉教授がいる。
東大の藤田誠卓越教授と京大の北川進特別教授も有力候補として期待されている。藤田氏は化学物質が自発的につながる「自己組織化」を応用した研究で実績を残した。自己組織化ペプチドを手掛けるスリー・ディー・マトリックス <7777> [東証G]が関連銘柄とされる。北川氏が研究に取り組んだ「多孔性配位高分子(PCP)」は、CO2の回収(CCS)や燃料電池分野での応用が見込まれている。北川氏が関わる京大発ベンチャーのAtomis(神戸市中央区)のパートナー企業にはクボタ <6326> [東証P]や長瀬産業 <8012> [東証P]、西部ガスホールディングス <9536> [東証P]のグループ会社などがある。
桐蔭横浜大学の宮坂力特任教授はペロブスカイト太陽電池の研究で知られている。積水化学工業 <4204> [東証P]やホシデン <6804> [東証P]、日本精化 <4362> [東証P]のほか、主原料のヨウ素を生産する伊勢化学工業 <4107> [東証S]、K&Oエナジーグループ <1663> [東証P]が物色人気化しそうだ。生理活性を持つペプチドの創製に変革をもたらした東大の菅裕明教授はペプチドリーム <4587> [東証P]の創業者だ。
ノーベル文学賞では今年も村上春樹氏と、ドイツ在住の多和田葉子氏らの受賞を期待する声が出ている。三洋堂ホールディングス <3058> [東証S]や文教堂グループホールディングス <9978> [東証S]、丸善CHIホールディングス <3159> [東証S]といった書店株の反応が注目される。経済学賞の候補では金融危機の理論を確立したと評価される米プリンストン大学の清滝信宏教授が、旧池田銀行(現池田泉州ホールディングス <8714> [東証P])の創業家の生まれだ。
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