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ワコムのニュース
■今後の見通し
● 2020年3月期通期見通し
(1)業績見通しの概要
ワコム<6727>は2020年3月期通期見通しについて、2019年8月の第1四半期決算時の修正に続き、同年10月の第2四半期決算に際しても再度修正を行った。最新となる10月予想は、売上高94,000百万円(前期比5.0%増)、営業利益5,200百万円(同25.2%増)、経常利益4,800百万円(同15.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,200百万円(同16.9%減)となっている。親会社株主に帰属する当期純利益の減益は、前期は法人税等還付額や法人税等調整額によって法人税等の負担額が171百万円と大幅に圧縮されて利益が膨らんだことの反動が理由だ。
売上高の予想は94,000百万円で8月予想の95,500百万円から1,500百万円引き下げられた。事業セグメント別の内訳を見ると、ブランド製品事業は8月予想の48,650百万円から46,500百万円に2,150百万円引き下げられた。一方、テクノロジーソリューション事業は46,850百万円から47,500百万円に650百万円引き上げられ、全社ベースでは1,500百万円の引き下げとなった。
利益面では営業利益の予想は5,200百万円で8月予想から横ばいとなった。但しその中身は、売上高見通しの変動に伴って同様に修正されており、ブランド製品事業のセグメント利益が3,300百万円から2,800百万円に引き下げられる一方、テクノロジーソリューション事業のセグメント利益は6,200百万円から6,700百万円と引き上げられている。
上期(第2四半期累計期間)と下期の内訳を見ると、全社ベースの下期売上高は47,068百万円と上期比増収となっている。これは、ブランド製品事業が最大需要期である年末商戦によって第3四半期の売上高が拡大する影響が大きい。ブランド製品事業の2020年3月期下期の売上高は前年同期比9.6%増収、上期比40.6%(7,842百万円)増収の27,171百万円が予想されている。
一方、テクノロジーソリューション事業の下期の売上高は前年同期比では7.8%増ながら上期比では27.9%(7,706百万円)減収の19,897百万円が予想されている。これは、Galaxy Note 10向け需要の早期化で上期の売上高が膨らんだ反動が主因だ。
下期の営業利益も、上述の売上高の動向を反映して、ブランド製品事業では前年同期比と上期比に両方で大幅増益になる予想であるのに対して、テクノロジーソリューション事業では前年同期比、上期比ともに大幅減益の予想となっている。
弊社では、2020年3月期通期見通しについて、十分達成可能な水準ではあるものの、決して楽観視はできないと考えている。上述のように、下期は事業セグメントの動向が上期と180度転換する予想となっている。弊社が警戒するのはブランド製品事業だ。上期の苦戦ぶりを考えると、下期の年末商戦についても警戒心を解くべきではないであろう。テクノロジーソリューション事業については、下期の予想が厳しすぎる印象を持つ向きもあろう。しかしこの点も、タブレット・ノートPC向け売上高が前年同期の実績に比べて25%超の大幅増収を予想していることから、決して安心はできないと考えている。
第2四半期業績に影響を与えた米中貿易摩擦や為替レートについても警戒を継続すべきであろう。現時点(11月初旬)では米中貿易摩擦は緩和方向に向かって動き出したとの報道がなされ、売上高に影響するドル円の為替レートも下期前提よりは円安方向にある。しかしながら、ここまでこじれた米中貿易摩擦が一足飛びに解決されると考えるのは安易に過ぎよう。一方、営業利益への影響が大きいユーロ円は引き続きやや円高方向にある。ブレグジットや再燃しつつある米EU貿易摩擦の動向など、欧州経済への懸念材料は残ったままだ。
同社の業績が一時期の苦境を脱して回復基調にあることは疑いない。しかしこれが“本物”で、中計で掲げる、“2022年3月期の営業利益100億円”を着実に達成できるか、については依然として予断を許さない状態が続いている。業績数値もさることながら、当面、同社を見る視点は2つの事業、とりわけブランド製品事業の、収益体質の質的変化の進捗に置かれるべきであると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<MH>
● 2020年3月期通期見通し
(1)業績見通しの概要
ワコム<6727>は2020年3月期通期見通しについて、2019年8月の第1四半期決算時の修正に続き、同年10月の第2四半期決算に際しても再度修正を行った。最新となる10月予想は、売上高94,000百万円(前期比5.0%増)、営業利益5,200百万円(同25.2%増)、経常利益4,800百万円(同15.7%増)、親会社株主に帰属する当期純利益3,200百万円(同16.9%減)となっている。親会社株主に帰属する当期純利益の減益は、前期は法人税等還付額や法人税等調整額によって法人税等の負担額が171百万円と大幅に圧縮されて利益が膨らんだことの反動が理由だ。
売上高の予想は94,000百万円で8月予想の95,500百万円から1,500百万円引き下げられた。事業セグメント別の内訳を見ると、ブランド製品事業は8月予想の48,650百万円から46,500百万円に2,150百万円引き下げられた。一方、テクノロジーソリューション事業は46,850百万円から47,500百万円に650百万円引き上げられ、全社ベースでは1,500百万円の引き下げとなった。
利益面では営業利益の予想は5,200百万円で8月予想から横ばいとなった。但しその中身は、売上高見通しの変動に伴って同様に修正されており、ブランド製品事業のセグメント利益が3,300百万円から2,800百万円に引き下げられる一方、テクノロジーソリューション事業のセグメント利益は6,200百万円から6,700百万円と引き上げられている。
上期(第2四半期累計期間)と下期の内訳を見ると、全社ベースの下期売上高は47,068百万円と上期比増収となっている。これは、ブランド製品事業が最大需要期である年末商戦によって第3四半期の売上高が拡大する影響が大きい。ブランド製品事業の2020年3月期下期の売上高は前年同期比9.6%増収、上期比40.6%(7,842百万円)増収の27,171百万円が予想されている。
一方、テクノロジーソリューション事業の下期の売上高は前年同期比では7.8%増ながら上期比では27.9%(7,706百万円)減収の19,897百万円が予想されている。これは、Galaxy Note 10向け需要の早期化で上期の売上高が膨らんだ反動が主因だ。
下期の営業利益も、上述の売上高の動向を反映して、ブランド製品事業では前年同期比と上期比に両方で大幅増益になる予想であるのに対して、テクノロジーソリューション事業では前年同期比、上期比ともに大幅減益の予想となっている。
弊社では、2020年3月期通期見通しについて、十分達成可能な水準ではあるものの、決して楽観視はできないと考えている。上述のように、下期は事業セグメントの動向が上期と180度転換する予想となっている。弊社が警戒するのはブランド製品事業だ。上期の苦戦ぶりを考えると、下期の年末商戦についても警戒心を解くべきではないであろう。テクノロジーソリューション事業については、下期の予想が厳しすぎる印象を持つ向きもあろう。しかしこの点も、タブレット・ノートPC向け売上高が前年同期の実績に比べて25%超の大幅増収を予想していることから、決して安心はできないと考えている。
第2四半期業績に影響を与えた米中貿易摩擦や為替レートについても警戒を継続すべきであろう。現時点(11月初旬)では米中貿易摩擦は緩和方向に向かって動き出したとの報道がなされ、売上高に影響するドル円の為替レートも下期前提よりは円安方向にある。しかしながら、ここまでこじれた米中貿易摩擦が一足飛びに解決されると考えるのは安易に過ぎよう。一方、営業利益への影響が大きいユーロ円は引き続きやや円高方向にある。ブレグジットや再燃しつつある米EU貿易摩擦の動向など、欧州経済への懸念材料は残ったままだ。
同社の業績が一時期の苦境を脱して回復基調にあることは疑いない。しかしこれが“本物”で、中計で掲げる、“2022年3月期の営業利益100億円”を着実に達成できるか、については依然として予断を許さない状態が続いている。業績数値もさることながら、当面、同社を見る視点は2つの事業、とりわけブランド製品事業の、収益体質の質的変化の進捗に置かれるべきであると弊社では考えている。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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