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ワコムのニュース
■要約
ワコム<6727>はペンタブレット市場の世界トップメーカー。クリエイターを対象とする市場では世界シェア約90%を誇る。自社ブランドでペンタブレット製品等を販売するブランド製品事業と、デジタルペンやタブレットのコンポーネントを完成品メーカー向けにOEM供給するテクノロジーソリューション事業の2セグメントで事業を展開している。
1. 2020年3月期第2四半期決算はテクノロジーソリューション事業の伸長により増収増益で着地
同社の2020年3月期第2四半期決算は、売上高46,932百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益3,010百万円(同10.1%増)と増収増益で着地した。期初予想との比較でも売上高・営業利益ともに計画を上回った。事業セグメント別内訳を見ると、ブランド製品事業で苦戦が続き、それをテクノロジーソリューション事業の収益拡大でカバーして前期比増収増益及び期初予想の達成へとつなげた構図となっている。同社の目下の最大の課題はブランド製品事業の収益力の回復であり、それが遅れているという点では100点満点とは言い難い決算だったというのが弊社の評価だ。
2. ブランド製品事業の収益力立て直しで3つの課題が浮上。中計の着実な遂行で解決を目指す
同社は2018年5月に4か年中計『Wacom Chapter 2』を発表し、現在それに取り組んでいる。前述のようにブランド製品事業の収益力立て直しが遅れているが、2020年3月期第2四半期決算を終えて1)製品ラインアップの変革、2)内部体制の強化、3)市場創造力の強化、の3点が課題として浮上した。しかしこれらは、中計に掲げる1)テクノロジー・リーダーシップ、2)アイランド&オーシャン、3)エクストリーム・フォーカス、の3つの全社戦略がターゲットとする内容のもので、すでに着手されている。今後のポイントは課題解決のスピード感であり、中計の後半2年間で巻き返すには2020年3月期下期に具体的な道筋をつけることが重要になってくる。業績数値にもましてこの点が最大の見どころになると弊社では考えている。
3. 2020年3月期通期はブランド製品事業の年末商戦がカギ。課題解決のスピード感に注目
2020年3月期通期について同社は、売上高94,000百万円(前期比5.0%増)、営業利益5,200百万円(同25.2%増)を予想している。上期(第2四半期累計期間)までの進捗からは十分達成可能な収益水準ではあるが、決して楽観視はできないと弊社では考えている。下期は事業セグメントの動向が上期と180度転換し、ブランド製品事業が収益を伸ばす計画となっている。年末商戦の存在がその背景にあるが、上期の苦戦とその原因を考えれば決して楽観はできない。前述のように、同社はブランド製品事業の収益力立て直しに向けて3つの課題の解決に向けて取り組んでおり、これが順調に進捗するか見守りたい。
■Key Points
・ブランド製品事業の収益力立て直しは中計の基本戦略の着実な実行がカギ
・“ユーザーファースト”の視点で製品ラインアップを再構築へ
・“テクノロジー・リーダーシップ”による新たな価値や価値観の提案に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
<MH>
ワコム<6727>はペンタブレット市場の世界トップメーカー。クリエイターを対象とする市場では世界シェア約90%を誇る。自社ブランドでペンタブレット製品等を販売するブランド製品事業と、デジタルペンやタブレットのコンポーネントを完成品メーカー向けにOEM供給するテクノロジーソリューション事業の2セグメントで事業を展開している。
1. 2020年3月期第2四半期決算はテクノロジーソリューション事業の伸長により増収増益で着地
同社の2020年3月期第2四半期決算は、売上高46,932百万円(前年同期比1.4%増)、営業利益3,010百万円(同10.1%増)と増収増益で着地した。期初予想との比較でも売上高・営業利益ともに計画を上回った。事業セグメント別内訳を見ると、ブランド製品事業で苦戦が続き、それをテクノロジーソリューション事業の収益拡大でカバーして前期比増収増益及び期初予想の達成へとつなげた構図となっている。同社の目下の最大の課題はブランド製品事業の収益力の回復であり、それが遅れているという点では100点満点とは言い難い決算だったというのが弊社の評価だ。
2. ブランド製品事業の収益力立て直しで3つの課題が浮上。中計の着実な遂行で解決を目指す
同社は2018年5月に4か年中計『Wacom Chapter 2』を発表し、現在それに取り組んでいる。前述のようにブランド製品事業の収益力立て直しが遅れているが、2020年3月期第2四半期決算を終えて1)製品ラインアップの変革、2)内部体制の強化、3)市場創造力の強化、の3点が課題として浮上した。しかしこれらは、中計に掲げる1)テクノロジー・リーダーシップ、2)アイランド&オーシャン、3)エクストリーム・フォーカス、の3つの全社戦略がターゲットとする内容のもので、すでに着手されている。今後のポイントは課題解決のスピード感であり、中計の後半2年間で巻き返すには2020年3月期下期に具体的な道筋をつけることが重要になってくる。業績数値にもましてこの点が最大の見どころになると弊社では考えている。
3. 2020年3月期通期はブランド製品事業の年末商戦がカギ。課題解決のスピード感に注目
2020年3月期通期について同社は、売上高94,000百万円(前期比5.0%増)、営業利益5,200百万円(同25.2%増)を予想している。上期(第2四半期累計期間)までの進捗からは十分達成可能な収益水準ではあるが、決して楽観視はできないと弊社では考えている。下期は事業セグメントの動向が上期と180度転換し、ブランド製品事業が収益を伸ばす計画となっている。年末商戦の存在がその背景にあるが、上期の苦戦とその原因を考えれば決して楽観はできない。前述のように、同社はブランド製品事業の収益力立て直しに向けて3つの課題の解決に向けて取り組んでおり、これが順調に進捗するか見守りたい。
■Key Points
・ブランド製品事業の収益力立て直しは中計の基本戦略の着実な実行がカギ
・“ユーザーファースト”の視点で製品ラインアップを再構築へ
・“テクノロジー・リーダーシップ”による新たな価値や価値観の提案に注目
(執筆:フィスコ客員アナリスト 浅川裕之)
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