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*14:34JST 国内株式市場見通し:上昇一服か、日柄調整が必要な局面
■需給悪化懸念や米追加利上げ観測が重し
今週の日経平均は800.62円安の32388.42円で終え、反落。週明けは564.29円高と大幅に反発し、終値でバブル崩壊後高値を更新した。四半期末に伴う年金基金の持ち高調整が一巡し、あく抜けが意識されたほか、6月の日銀全国企業短期経済観測調査(短観)で大企業・製造業の業況判断指数(DI)が予想以上に改善したことなどが好感された。しかし、日経平均はその後週末まで4日続落。高値警戒感が意識されたほか、7日、10日に予定されている上場投資信託(ETF)運用会社による分配金捻出に伴う換金売りなど需給悪化が懸念された。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や米雇用関連の指標を受けて追加利上げ観測が急速に高まったことも重石となった。
■国内3-5月期決算や米物価指標に注目
来週の東京株式市場は一進一退か。国内では月次売上動向で既に警戒感が高まっているファーストリテイリング<9983>をはじめ3-5月期決算の発表が終盤に入る。個別株物色の活発化が全体を下支えすることに期待したい。また7日引け後に発表された安川電機<6506>の第1四半期決算で四半期受注の底入れ感が確認されており、今後の主力製造業決算に対する期待も全体相場を支えそうだ。
一方、米6月雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったが、依然としてコロナ前の水準を上回っており、また失業率は低下、平均賃金の伸びは予想に反して加速した。予想を2倍以上も上回ったADP雇用リポートと合わせて総じて逼迫した労働市場が続いていることが示唆され、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測が高まっている。米10年債利回りは6日に4%を超え、3月2日以来の高水準にまで上昇。米10年債利回りから期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた米10年実質金利は6日に1.77%と、2009年8月以来の高水準にまで上昇した。金利高がハイテク・グロース(成長)株の調整を招くようであれば、今週末に25日移動平均線を割り込んだ日経平均の調整色が濃くなる可能性がある。
12日に米6月消費者物価指数(CPI)、13日には米6月卸売物価指数(PPI)が発表される。CPIは前年比+3.1%と5月(+4.0%)から鈍化する見込みだが、前月比では+0.3%と5月(+0.1%)から加速する見込み。一方、食品・エネルギーを除いたコア指数では前年比+5.0%、前月比+0.3%とそれぞれ5月(+5.3%、+0.4%)から鈍化する予想。PPIも総合およびコア指数はともに前年比では鈍化する見込みだが、前月比はプラスが予想されている。
CPIおよびPPIの前年比での伸び鈍化は強い雇用関連の指標を受けてから強まっているFRBの追加利上げ観測を緩和させるほどの影響があるかは微妙なところだ。むしろ、下振れた場合は想定線、上振れた場合はネガティブに捉えられる展開に注意を払っておく必要があろう。
週末には米国でJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループなど銀行の決算発表が始まる。預金や貸出、貸倒引当金の動向から経営陣の先行きの景気見通しなどが注目され、結果を見極めたいとの思惑から、週末まで市場の方向感は出にくいかもしれない。
国内では週明けに発表される景気ウォッチャー調査に注目したい。国内景況感の改善が続いてきたが、前月分から現状判断DIおよび先行き判断DIともに低下に転じており、今回も揃って前月から低下が予想されている。連続しての低下は景況感の改善基調の一服感をより強く示唆することになり、海外投資家が日本株を買う理由の一つとして挙げてきた相対的な景況感の強さが弱まることになろう。
また、米金利が上昇するなかでも為替が円高気味にあることも短期的には日本株の上値抑制要因となりそうだ。日本銀行の内田副総裁が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正について「バランスをとって判断していきたい」と言及したことなどから、今月27-28日に開催される日銀金融政策決定会合での政策修正が意識されていることが背景にあるようだ。金融政策決定会合で改めて政策の現状維持が決まれば円安進行は再開するだろうが、それまではしばらく為替が株価をサポートする展開は期待しにくいだろう。
■グロース株決算に注目、中国関連には要注意
小売企業に加えて、Sansan<4443>やSHIFT<3697>、ベイカレント・コンサルティング<6532>などグロース株の筆頭格とされる企業決算も多く予定されている。足元では、FRBの追加利上げ観測の高まりなどから、グロース株の株価チャートでトレンドが崩れているものが散見される。チャートから窺える投資家心理からみて決算のハードルは高そうで、今後の物色動向を占ううえでも株価反応に注目したい。また、中国貿易収支や工作機械受注が発表される予定で、弱い結果となった場合、関連株の下落につながる可能性があり注意したい。
■景気ウォッチャー、工作機械受注、中国貿易収支、など
来週は10日に6月景気ウォッチャー調査、中国6月消費者物価指数、11日に6月工作機械受注、12日に6月企業物価指数、5月機械受注、米6月CPI、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、13日に中国6月貿易収支、米6月PPI、14日に7月限オプション取引の特別清算指数(SQ)算出、米7月ミシガン大消費者調査、などが予定されている。
<FA>
今週の日経平均は800.62円安の32388.42円で終え、反落。週明けは564.29円高と大幅に反発し、終値でバブル崩壊後高値を更新した。四半期末に伴う年金基金の持ち高調整が一巡し、あく抜けが意識されたほか、6月の日銀全国企業短期経済観測調査(短観)で大企業・製造業の業況判断指数(DI)が予想以上に改善したことなどが好感された。しかし、日経平均はその後週末まで4日続落。高値警戒感が意識されたほか、7日、10日に予定されている上場投資信託(ETF)運用会社による分配金捻出に伴う換金売りなど需給悪化が懸念された。また、米連邦公開市場委員会(FOMC)議事要旨や米雇用関連の指標を受けて追加利上げ観測が急速に高まったことも重石となった。
■国内3-5月期決算や米物価指標に注目
来週の東京株式市場は一進一退か。国内では月次売上動向で既に警戒感が高まっているファーストリテイリング<9983>をはじめ3-5月期決算の発表が終盤に入る。個別株物色の活発化が全体を下支えすることに期待したい。また7日引け後に発表された安川電機<6506>の第1四半期決算で四半期受注の底入れ感が確認されており、今後の主力製造業決算に対する期待も全体相場を支えそうだ。
一方、米6月雇用統計は非農業部門雇用者数が市場予想を下回ったが、依然としてコロナ前の水準を上回っており、また失業率は低下、平均賃金の伸びは予想に反して加速した。予想を2倍以上も上回ったADP雇用リポートと合わせて総じて逼迫した労働市場が続いていることが示唆され、米連邦準備制度理事会(FRB)の追加利上げ観測が高まっている。米10年債利回りは6日に4%を超え、3月2日以来の高水準にまで上昇。米10年債利回りから期待インフレ率の指標とされる米10年物ブレークイーブン・インフレ率(BEI)を差し引いた米10年実質金利は6日に1.77%と、2009年8月以来の高水準にまで上昇した。金利高がハイテク・グロース(成長)株の調整を招くようであれば、今週末に25日移動平均線を割り込んだ日経平均の調整色が濃くなる可能性がある。
12日に米6月消費者物価指数(CPI)、13日には米6月卸売物価指数(PPI)が発表される。CPIは前年比+3.1%と5月(+4.0%)から鈍化する見込みだが、前月比では+0.3%と5月(+0.1%)から加速する見込み。一方、食品・エネルギーを除いたコア指数では前年比+5.0%、前月比+0.3%とそれぞれ5月(+5.3%、+0.4%)から鈍化する予想。PPIも総合およびコア指数はともに前年比では鈍化する見込みだが、前月比はプラスが予想されている。
CPIおよびPPIの前年比での伸び鈍化は強い雇用関連の指標を受けてから強まっているFRBの追加利上げ観測を緩和させるほどの影響があるかは微妙なところだ。むしろ、下振れた場合は想定線、上振れた場合はネガティブに捉えられる展開に注意を払っておく必要があろう。
週末には米国でJPモルガン・チェース、ウェルズ・ファーゴ、シティグループなど銀行の決算発表が始まる。預金や貸出、貸倒引当金の動向から経営陣の先行きの景気見通しなどが注目され、結果を見極めたいとの思惑から、週末まで市場の方向感は出にくいかもしれない。
国内では週明けに発表される景気ウォッチャー調査に注目したい。国内景況感の改善が続いてきたが、前月分から現状判断DIおよび先行き判断DIともに低下に転じており、今回も揃って前月から低下が予想されている。連続しての低下は景況感の改善基調の一服感をより強く示唆することになり、海外投資家が日本株を買う理由の一つとして挙げてきた相対的な景況感の強さが弱まることになろう。
また、米金利が上昇するなかでも為替が円高気味にあることも短期的には日本株の上値抑制要因となりそうだ。日本銀行の内田副総裁が長短金利操作(イールドカーブ・コントロール、YCC)の修正について「バランスをとって判断していきたい」と言及したことなどから、今月27-28日に開催される日銀金融政策決定会合での政策修正が意識されていることが背景にあるようだ。金融政策決定会合で改めて政策の現状維持が決まれば円安進行は再開するだろうが、それまではしばらく為替が株価をサポートする展開は期待しにくいだろう。
■グロース株決算に注目、中国関連には要注意
小売企業に加えて、Sansan<4443>やSHIFT<3697>、ベイカレント・コンサルティング<6532>などグロース株の筆頭格とされる企業決算も多く予定されている。足元では、FRBの追加利上げ観測の高まりなどから、グロース株の株価チャートでトレンドが崩れているものが散見される。チャートから窺える投資家心理からみて決算のハードルは高そうで、今後の物色動向を占ううえでも株価反応に注目したい。また、中国貿易収支や工作機械受注が発表される予定で、弱い結果となった場合、関連株の下落につながる可能性があり注意したい。
■景気ウォッチャー、工作機械受注、中国貿易収支、など
来週は10日に6月景気ウォッチャー調査、中国6月消費者物価指数、11日に6月工作機械受注、12日に6月企業物価指数、5月機械受注、米6月CPI、米地区連銀経済報告(ベージュブック)、13日に中国6月貿易収支、米6月PPI、14日に7月限オプション取引の特別清算指数(SQ)算出、米7月ミシガン大消費者調査、などが予定されている。
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