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アトラグループ Research Memo(2):ほねつぎのチェーン展開をはじめ、鍼灸接骨院経営を総合的に支援(1)

配信元:フィスコ
投稿:2022/11/16 17:32
■会社概要

1. 会社概要
アトラグループ<6029>は「世界中の人を健康にしたい。」という企業理念のもと、柔道整復師、はり師・きゅう師を主要顧客として鍼灸接骨院経営を支援するサービスを総合的に提供している。柔道整復師、はり師・きゅう師とは、大学や養成施設等に入学し、解剖学、生理学、一般臨床医学などを学んだうえで国家試験に合格した者だけが得ることができる施術資格である。同社の事業セグメントは、鍼灸接骨院支援事業と玩具販売事業の2つに大別することができる。鍼灸接骨院支援事業においては、同社ブランドである「ほねつぎ」のチェーン展開を中心に、付随する鍼灸接骨院支援サービスを提供している。鍼灸接骨院経営で必要となる機材の販売や療養費の請求を代行するサービスなどが該当する。玩具販売事業は、子会社のペリカンが担っており、西日本を中心に玩具販売の実店舗を36店舗展開している。一見、鍼灸接骨院支援事業と玩具販売事業の間に関連はないように見えるが、鍼灸接骨院支援事業で培った実店舗の経営指導ノウハウを活用し、既存店舗の生産性の向上と販売の拡大に取り組んでいる。

2. 事業内容
鍼灸接骨院経営を総合的に支援している同社の事業は、大きく鍼灸接骨院支援事業と玩具販売事業の2つに分けることができる。

(1) 鍼灸接骨院支援事業
鍼灸接骨院支援事業では、鍼灸接骨院のブランドである「ほねつぎ」と同社が独自開発した鍼灸接骨院院内管理システムである「A-COMS」を中心に顧客の経営を総合的に支援するサービスを提供している。

a) ほねつぎチェーン
同社は、日本全国で184院(2021年12月末時点)の鍼灸接骨院を「ほねつぎ」のブランド名でチェーン展開している。同事業においては、鍼灸接骨院業界未経験の顧客が新規参入した場合でも成功することができるよう充実したサポート体制を構築し、新規参入フランチャイジーの拡大を図っている。同時に、既存のフランチャイジーに対しては、複数店舗の開設を推進している。同社独自の研修メニューでは、開設時に 顧客が柔道整復師を雇用した後、柔道整復師に対して自費施術などの研修を同社が約1ヶ月間行う体制を取っている。開院した後も定期的にスーパーバイザーが経営の指導を行うほか、自費施術に関する研修も実施している。これにより、技術や知識に関するアップデートを定期的に行い、常に最新の施術を利用者に提供することが可能となる。開設前から開設後に至るまで継続した支援を行うことによって、業界未経験者でも成功できる仕組みを構築している。
「ほねつぎ」の加盟院に対しては、同社が独自開発した鍼灸接骨院経営支援システムである「A-COMS」を通じて、「アトラ請求サービス」「HONEY-STYLE」「アトラアカデミー」「アトラストア」のすべてのサービスを提供している。そのほか、ほねつぎの加盟院以外の顧客の要望に合わせてサービス単体や組み合わせでの提供も行い、顧客のニーズに柔軟に対応している。

収入モデルは、イニシャルの加盟金などに加えて、ロイヤリティ収入とシステム利用料を売上として計上する仕組みとなっている。

b) 機材、消耗品販売
同社は、ほねつぎチェーンの加盟院とそれ以外の鍼灸接骨院を顧客として、自費施術で必要となる機材の販売を実施している。具体的には、新規加盟院や既存加盟院が鍼灸接骨院を開設する際やアトラアカデミー(柔道整復師、はり師・きゅう師を対象に有益な情報の提供やセミナーの開催を行うポータルサイト)でセミナーを受講した新規顧客に対して機材を販売している。販売した後も機材の使用方法や自費施術に関して研修を実施し、顧客満足度の向上を図っている。また、自費施術で使用する機材の発掘や開発にも積極的に取り組んでおり、フランチャイジーと患者にとって訴求力のある機材の販売・開発に注力している。同社は、自費施術用の機材としてインナーマッスルとアウターマッスルを同時に鍛えることができる「複合高周波EMS」、手技や大型機材ではアプローチするのが難しい繊細な部分の骨に対応できる「M.Iインパクト」、水素を体内に取り入れ、悪玉活性酸素と反応して水に替える「Co.UP」などを扱っている。「複合高周波EMS」で独占販売の契約を結んでいるほか、「M.Iインパクト」「Co.UP」は同社のオリジナル商品だ。

消耗品の販売では、鍼灸接骨院向けECサイトである「アトラストア」を通じてテーピング・包帯から掃除洗濯用品に至るまで豊富な商品を販売しており、各種キャンペーンやポイント制度を活用した販促活動を積極的に実施している。また、PB商品の開発や新商品の発掘にも注力し、鍼灸接骨院にとって訴求力のあるECサイトを構築している。

c) アトラ請求サービス
同社は、ほねつぎチェーンの加盟院とそれ以外の鍼灸接骨院に対して、療養費請求代行サービスを提供している。国や各社健康保険組合などの保険者に対して療養費を請求するという煩雑な作業を同社が代行することによって、鍼灸接骨院が施術に専念できる環境を実現している。アトラ請求サービスの会員となった顧客は、先述の「A-COMS」を利用して療養費支給申請書の作成を行うことができる。また、開設届作成のフォロー、療養費支給申請書の点検・提出、療養費支給申請書返戻対応、療養費の入金・送金処理、データ保管、会員の問い合わせに応えるコールセンターなどのサービスを利用することも可能だ。さらに、同サービスのオプションとして「A-COMSファイナンスサービス(療養費早期現金化サービス)」も提供している。保険者に請求した療養費相当額を鍼灸接骨院に対して融資することによって、療養費が入金されるまでの3~4ヶ月の資金繰りをサポートするサービスだ。その他、請求サービスのシステムだけを顧客に提供している。システムのみを安価に提供することによって顧客の裾野を広げ、同システムを入口に同社が提供する他サービスへと誘導していく戦略だ。同サービスでは、療養費請求額に応じた手数料と定額のデータ保管料を顧客から徴収している。

d) HONEY-STYLE
d-1) HONEY-STYLE
同社は鍼灸接骨院の口コミ/予約システムである「HONEY-STYLE」の運営を行っている。利用院である鍼灸接骨院は、HONEY-STYLE上で美容や健康をテーマにした自費施術メニューや院内で販売できる健康関連商品の購入も行うことができる。購入に際してはポイントシステムを導入しており、接骨院で販売する商品をリーズナブルな料金で購入することができる。また、鍼灸接骨院は、HONEY-STYLEに蓄積された利用者のデータを活用することにより、利用者の管理を効率化することができる。さらに、HONEY-STYLEの会員である利用者に対して直接メールを送ることもでき、利用者との有用なコミュニケーションツールとして利用することができるシステムだ。会員となった一般の利用者は、システムを通じて鍼灸接骨院の予約を行うことができるほか、ポイントシステムを活用して院内で販売されている健康関連商品を安く購入することが可能になる。収益モデルとしては、HONEY-STYLE申込時の導入料金、毎月のシステム利用料、年1回のサーバー利用料を売上として計上している。また、利用院に対して販売した自費施術メニューや健康関連商品も同社の売上として計上される。

d-2) アトラアカデミー
同社は、「アトラアカデミー」というポータルサイトを企画・運営し、柔道整復師、はり師・きゅう師、あん摩マッサージ指圧師に対して役立つ情報をWeb・メールマガジンを通じて提供している。会員となった利用者は、施術に関する知識や各種最新トレンド、調査・研究データなどを閲覧することができる。また、自費施術、院経営に関するセミナーも開催しており、セミナーへの参加者に対して自費施術用の機材の販売を行っている。

e) 介護支援
同社は、柔道整復師が利用者に対して施術を行う「ほねつぎデイサービス」をフランチャイズ展開している。柔道整復師の施術を受けることによって、デイサービス利用者は継続してリハビリや身体機能の維持・向上に取り組むことができる。「来たときよりも健康になるデイサービス」をテーマに運営をしており、高齢者のケアプランを作成するケアマネージャーからの評価も高い。鍼灸接骨院と同じ施術をデイサービスで受けることができるという点が利用者に対する訴求力になっていると言えるだろう。

また、鍼灸接骨院チェーンのブランドである「ほねつぎ」と同様に新規参入でも成功できる仕組みを構築している。柔道整復師がデイサービス事業を展開する際の負担を軽減するため、開業及び運営に必要なノウハウをすべて盛り込みパッケージ商品として提供している。同社は、新規のフランチャイズ獲得に加えて、既存加盟院が新店を開設する際の有力な選択肢としてデイサービス事業を提案している。高齢化のなかでニーズが旺盛であるほか、既存の鍼灸接骨院との親和性も高いためだ(鍼灸接骨院の利用者が要介護になった後も併設するデイサービスで施術を受けるケースなどが想定される)。高齢化という外部環境の追い風に加えて、柔道整復師が施術を提供することや新規参入でも経営を可能にするパッケージ化されたノウハウなどの競争優位を有しており、今後の業績拡大に期待したい。

f) フィットネス関連
同社は、「ワンサードフィットネス」というブランド名で24時間365日利用可能なフィットネスジムを展開している。直営・フランチャイズ両方の形態をとっており、今後はフランチャイズ形態での店舗拡大に注力していく方針だ。鍼灸接骨院業界においては、患者の再発予防のためのフィットネス利用促進が課題の1つとなっている。その意味でフィットネスジムは鍼灸接骨院との親和性が高い。上記の介護支援事業と同じく、今後注力していく事業領域の1つであり、新規フランチャイジーの獲得に加えて、既存加盟院の新店舗開設の際の有力な選択肢として積極的に提案営業を実施している。

g) その他
上記以外にも同社は、鍼灸接骨院支援事業として設備の賃貸・物件の工事、福祉車両の販売などの事業も展開している。

(2) 玩具販売事業
同社は、ペリカンの買収により参入した、実店舗による玩具販売事業も展開している。「ペリカン」という名前で西日本に36店舗を展開している。少子化が進むなかでも玩具市場は拡大傾向にあり、安定した市場ということができる。また、首都圏や大都市においてはECを通じた玩具購入が多くなってきているものの、地方都市においては子ども家族が帰省した際に祖父母が店舗に出向いて孫に玩具を買うなどのケースが根強く残っており、実店舗での購入はまだまだ多い。今後は実店舗であるという特徴を生かして、顧客の潜在需要を掘り起こしていくことを計画している。また、鍼灸接骨院支援事業で培った実店舗に対する経営指導のノウハウをペリカン店舗にも活用し、各店舗の生産性の向上や業績の拡大を実現していく構えだ。

(執筆:フィスコ客員アナリスト 清水陽一郎)

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配信元: フィスコ
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