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■コロナ感染など不透明感強く週後半に失速
今週の日経平均は週前半に大きく反発するも後半にかけては軟調となり、結局、小幅反発にとどまった。週明け12日は、前の週末の米株式市場で、長期金利の反発とともに世界経済の減速懸念が和らぎ、主要株価3指数が揃って過去最高値を更新したことを背景に、日経平均は628.60円高と大幅に反発した。製造業決算の前哨戦に当たる安川電機<6506>が好決算を受けて大幅高となったことや、5月の機械受注統計が市場予想を大幅に上回ったことも投資家心理の改善に寄与した。
13日も引き続き米長期金利の低下に一服感が見られたことを背景に米主要株価3指数が過去最高値を更新したことを追い風に、日経平均は149.22円高と続伸した。しかし、高値では28852.31円と25日移動平均線を上回る水準にまで上昇したものの、引けにかけては戻り待ちの売りに押され、上げ幅を半分程までに縮小した。
14日以降は週末にかけて3ケタの下落が続いた。米国で、6月の消費者物価指数(CPI)が予想を大幅に上回ったことでインフレ高進への警戒感が高まったほか、主要株価指数の史上最高値付近での高値警戒感から利益確定売りが散見されるようになると、日経平均は前日までの800円近い反発に伴う戻り一服感から売り優勢となり109.75円安となった。
15日からは、25日線を手前にした日経平均の戻りの鈍さから、短期筋の先物売りに拍車がかかるなか、東京都で新型コロナウイルスの新規感染者数が1000人を超えるなど、東京五輪開催直前の感染第5波への警戒感が重しになった。また、4-6月期国内総生産(GDP)をはじめとした中国での主な経済指標はすべて概ね市場予想並みの水準となったが、米長期金利の反発が鈍いなか、くすぶる景気減速懸念も重しにつながった。
週末16日は、台湾積体電路製造(TSMC)が発表した4-6月期決算が市場予想を下回った悪影響が前日に続き半導体関連株の下落につながったほか、業績修正が嫌気されたファーストリテイリング<9983>の急落が指数の重しとなった。また、東京都で新型コロナ感染者が連日1000人を超えたことも警戒感として買い手控えムードにつながった。週末の日経平均は一時27847.35円まで下げる場面があったが、心理的な節目の28000円では押し目買いも入り、日経平均は結局、かろうじて28000円を維持して週を終えた。
■連休前や決算控えて手控えムード
来週の日経平均は上値の重い展開か。国内市場については週後半が祝日のため、月曜から水曜までの3営業日と取引が限られる。立会日数が少ないなか、翌週の7月最終週からは4-6月期決算が始まるほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)もあるため、各種イベント前に様子見ムードが一段と強くなりやすい。
東証1部などの主力株については、決算シーズン本格化を前に様子見ムードが強いなかではあるが、足元の動きは総じて良くない。9日に発表された製造業決算の前哨戦にも当たる安川電機の決算は、第1四半期実績および上方修正後の通期計画ともに市場予想を上回り、受注動向も含めて総じて良好な内容だった。しかし、株価は週明け12日こそは大きく上昇したものの、翌日から週末までは総じて冴えない動きとなり、結局、週初の上昇分をほとんど帳消しにしてしまった。あれだけの好内容でも株価の反応が冴えないとなると、今後の決算に対する期待値も上がりにくい。むろん、それがハードルを下げてくれることでポジティブな株価反応につながればよいが(その可能性は低いだろう)。
むろん、安川電機の株価反応については、東京五輪開催を目前にした新型コロナ感染再拡大やワクチン接種ペースの鈍化、今後の政局動向など、国内外部環境における不透明要素による部分が大きい。これらの要因を背景に海外勢が日本株を積極的に買ってこないがゆえに、買いが続かないとも考えられる。だとすれば、今後、ワクチン接種に再度弾みがつき、感染第5波も早期に収束できるのであれば、政権求心力も向上し、各種不透明要素の後退を通じて日本株に対する海外勢の見方も変わってくる可能性もあろう。ただし、それがあったとしても、4-6月期決算シーズンの7月下旬から8月中旬にかけて実現されるかについては時間的な問題から難しそうだ。
また、経済指標のピークアウト感も懸念されるなか、海外でもデルタ株の感染が拡大していることは気懸かりだ。不透明感が強まるなか連休前の手仕舞い売りなどにも警戒が必要だ。
■直近好決算銘柄、直近IPOなど
薄商いのなか、直近3-5月期決算が発表されたばかりの銘柄の中でインパクトのあったものや、値動きが軽くセカンダリーも好調な直近新規上場(IPO)銘柄などに物色の範囲も限られそうだ。このところ軟調な半導体関連株については、年後半からの在庫調整などへの懸念があったが、先日の決算でTSMCは「年後半にかけてメーカーは在庫積み上げに動く」と言及した。懸念要素が一部払拭されたことはポジティブに捉えたい。また、半導体関連のなかでもIoTなど産業向けも手掛けるルネサスエレクトロニクス<6723>や、電気自動車(EV)向けのパワー半導体を手掛ける富士電機<6504>などは底堅い動きを継続しており、関連株が軒並み売られているわけではない点にも留意したい
■決算:日本電産、ECB定例理事会、米6月住宅着工件数など
来週は決算では20日にディスコ<6146>、21日に日本電産<6594>、オービック<4684>、OBC<4733>、野村不HD<3231>などが、経済指標関連では19日に6月首都圏マンション発売、20日に6月全国消費者物価指数、米6月住宅着工件数、21日に日銀金融政策決定会合議事要旨(6月17日~開催分)、6月貿易収支、22日にECB定例理事会、米6月中古住宅販売などが予定されている。
<FA>
今週の日経平均は週前半に大きく反発するも後半にかけては軟調となり、結局、小幅反発にとどまった。週明け12日は、前の週末の米株式市場で、長期金利の反発とともに世界経済の減速懸念が和らぎ、主要株価3指数が揃って過去最高値を更新したことを背景に、日経平均は628.60円高と大幅に反発した。製造業決算の前哨戦に当たる安川電機<6506>が好決算を受けて大幅高となったことや、5月の機械受注統計が市場予想を大幅に上回ったことも投資家心理の改善に寄与した。
13日も引き続き米長期金利の低下に一服感が見られたことを背景に米主要株価3指数が過去最高値を更新したことを追い風に、日経平均は149.22円高と続伸した。しかし、高値では28852.31円と25日移動平均線を上回る水準にまで上昇したものの、引けにかけては戻り待ちの売りに押され、上げ幅を半分程までに縮小した。
14日以降は週末にかけて3ケタの下落が続いた。米国で、6月の消費者物価指数(CPI)が予想を大幅に上回ったことでインフレ高進への警戒感が高まったほか、主要株価指数の史上最高値付近での高値警戒感から利益確定売りが散見されるようになると、日経平均は前日までの800円近い反発に伴う戻り一服感から売り優勢となり109.75円安となった。
15日からは、25日線を手前にした日経平均の戻りの鈍さから、短期筋の先物売りに拍車がかかるなか、東京都で新型コロナウイルスの新規感染者数が1000人を超えるなど、東京五輪開催直前の感染第5波への警戒感が重しになった。また、4-6月期国内総生産(GDP)をはじめとした中国での主な経済指標はすべて概ね市場予想並みの水準となったが、米長期金利の反発が鈍いなか、くすぶる景気減速懸念も重しにつながった。
週末16日は、台湾積体電路製造(TSMC)が発表した4-6月期決算が市場予想を下回った悪影響が前日に続き半導体関連株の下落につながったほか、業績修正が嫌気されたファーストリテイリング<9983>の急落が指数の重しとなった。また、東京都で新型コロナ感染者が連日1000人を超えたことも警戒感として買い手控えムードにつながった。週末の日経平均は一時27847.35円まで下げる場面があったが、心理的な節目の28000円では押し目買いも入り、日経平均は結局、かろうじて28000円を維持して週を終えた。
■連休前や決算控えて手控えムード
来週の日経平均は上値の重い展開か。国内市場については週後半が祝日のため、月曜から水曜までの3営業日と取引が限られる。立会日数が少ないなか、翌週の7月最終週からは4-6月期決算が始まるほか、米連邦公開市場委員会(FOMC)もあるため、各種イベント前に様子見ムードが一段と強くなりやすい。
東証1部などの主力株については、決算シーズン本格化を前に様子見ムードが強いなかではあるが、足元の動きは総じて良くない。9日に発表された製造業決算の前哨戦にも当たる安川電機の決算は、第1四半期実績および上方修正後の通期計画ともに市場予想を上回り、受注動向も含めて総じて良好な内容だった。しかし、株価は週明け12日こそは大きく上昇したものの、翌日から週末までは総じて冴えない動きとなり、結局、週初の上昇分をほとんど帳消しにしてしまった。あれだけの好内容でも株価の反応が冴えないとなると、今後の決算に対する期待値も上がりにくい。むろん、それがハードルを下げてくれることでポジティブな株価反応につながればよいが(その可能性は低いだろう)。
むろん、安川電機の株価反応については、東京五輪開催を目前にした新型コロナ感染再拡大やワクチン接種ペースの鈍化、今後の政局動向など、国内外部環境における不透明要素による部分が大きい。これらの要因を背景に海外勢が日本株を積極的に買ってこないがゆえに、買いが続かないとも考えられる。だとすれば、今後、ワクチン接種に再度弾みがつき、感染第5波も早期に収束できるのであれば、政権求心力も向上し、各種不透明要素の後退を通じて日本株に対する海外勢の見方も変わってくる可能性もあろう。ただし、それがあったとしても、4-6月期決算シーズンの7月下旬から8月中旬にかけて実現されるかについては時間的な問題から難しそうだ。
また、経済指標のピークアウト感も懸念されるなか、海外でもデルタ株の感染が拡大していることは気懸かりだ。不透明感が強まるなか連休前の手仕舞い売りなどにも警戒が必要だ。
■直近好決算銘柄、直近IPOなど
薄商いのなか、直近3-5月期決算が発表されたばかりの銘柄の中でインパクトのあったものや、値動きが軽くセカンダリーも好調な直近新規上場(IPO)銘柄などに物色の範囲も限られそうだ。このところ軟調な半導体関連株については、年後半からの在庫調整などへの懸念があったが、先日の決算でTSMCは「年後半にかけてメーカーは在庫積み上げに動く」と言及した。懸念要素が一部払拭されたことはポジティブに捉えたい。また、半導体関連のなかでもIoTなど産業向けも手掛けるルネサスエレクトロニクス<6723>や、電気自動車(EV)向けのパワー半導体を手掛ける富士電機<6504>などは底堅い動きを継続しており、関連株が軒並み売られているわけではない点にも留意したい
■決算:日本電産、ECB定例理事会、米6月住宅着工件数など
来週は決算では20日にディスコ<6146>、21日に日本電産<6594>、オービック<4684>、OBC<4733>、野村不HD<3231>などが、経済指標関連では19日に6月首都圏マンション発売、20日に6月全国消費者物価指数、米6月住宅着工件数、21日に日銀金融政策決定会合議事要旨(6月17日~開催分)、6月貿易収支、22日にECB定例理事会、米6月中古住宅販売などが予定されている。
<FA>
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