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塩野義製薬のニュース
*13:31JST ファンペップ Research Memo(1):塩野義製薬とオプション契約を締結、国内だけで数百億円の売上ポテンシャルに
■要約
ファンペップ<4881>は大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドの研究成果を実用化する目的で、2013年に設立されたバイオベンチャーである。独自開発した機能性ペプチドをベースとした抗体誘導ペプチド技術により、高額な抗体医薬品の代替となる医薬品の開発に取り組んでいる。また、2022年10月にアンチエイジングペプタイド(株)(現 (株)ファンペップへルスケア)を子会社化し、化粧品向けなど医薬以外の事業分野の育成にも乗り出している。
1. 塩野義製薬と「FPP004X」のオプション契約並びに資本業務提携契約を締結
2024年3月に花粉症を対象疾患として開発を進めている「FPP004X」に関して、塩野義製薬<4507>との全世界を対象とした独占的開発及び商業化権のオプション契約締結を発表した。契約締結に伴う一時金として3億円、オプション権が行使された場合のライセンス契約一時金及び開発・販売の進捗に応じたマイルストーンとして最大178億円と販売額に応じたロイヤリティを獲得することになる。また、併せて塩野義製薬に対する第三者割当増資を実施し、約2億円を新たに調達した。今後、両社で協議を行い2025年の第1相臨床試験開始を目指す。潜在需要は大きく国内だけで数百億円のポテンシャルがあり、順調に開発が進めば2032年頃にも上市できる可能性があると弊社では見ている。
2. その他開発パイプラインの状況
尋常性乾癬を適応症とした抗体誘導ペプチド「FPP003」は、第1/2a相臨床試験の結果が2023年12月に発表された。高用量群の被験者9人中7人で抗体価の上昇を確認し、観察期間終了時点の120日までその効果が持続したこと、また安全性及び忍容性に問題はなかったことが確認された。一方、探索的評価項目としていた有効性については、症状の改善を示す指標において、ベースライン(治験薬投与前)やプラセボ群と比較して改善傾向が認められたが、症例数が少なかったこともあって有効性を明確に判断するまでには至らず、その他の臨床試験結果も踏まえて開発方針を決定することになった。2022年に第3相臨床試験を終えた皮膚潰瘍(褥瘡、糖尿病性潰瘍)を対象疾患とする「SR-0379」については、対象患者の条件を絞り込んだうえで再度臨床試験を実施する方向でライセンス契約先の塩野義製薬※と協議のうえ方針を固め、PMDA((独)医薬品医療機器総合機構)との相談も近々開始して、2025年の第3相臨床試験開始を目指すことになった。そのほか、新たにアルツハイマー病や心不全を対象とした抗体誘導ペプチドについてアカデミアとの共同研究を開始しており、有望なリード化合物が見つかれば2024年にも前臨床試験が開始される可能性がある。
※塩野義製薬と全世界を対象としたライセンス契約を2015年に締結した(契約総額は100億円)。
3. 業績動向
2023年12月期の連結業績は、事業収益で0.5百万円(前期実績は1百万円)、営業損失で994百万円(同1,169百万円の損失)となった。事業収益は化粧品分野向け機能性ペプチドの販売収入が顧客の在庫調整により減少した。費用面では、「SR-0379」の臨床試験費用が減少したことで研究開発費が前期比231百万円減少し、営業損失の縮小要因となった。2024年12月期の業績見通しについては未定としているが、研究開発費で500百万円、販管費で300百万円を見込んでおり、損失計上は続く見通しだ。なお、塩野義製薬からのオプション契約締結に伴う契約一時金を受取る見込みだが、収益計上時期は検討中としている。2023年12月期末の現金及び預金は1,793百万円で、事業活動資金として2~3年分を目安に確保する意向である。このため、今後も大型ライセンス契約などがなければ財務状況を見ながら株式市場から資金調達を実施していくものと予想される。
4. 今後の成長戦略
同社は今後も独自技術である抗体誘導ペプチドの優位性を生かして、抗体医薬品が既に発売されている「炎症領域」を中心に、2年に1本のペースでパイプラインを追加する予定である。抗体誘導ペプチドの開発対象領域における抗体医薬品の市場規模は大きく、年間500億米ドルを超える規模に達している。低コスト化が可能な抗体誘導ペプチドで医薬品の開発に成功すれば、患者だけでなく医療財政の負担軽減にもつながることから、同社の企業価値も飛躍的に向上することが予想される。今回、「FPP004X」が前臨床試験段階であるにもかかわらずオプション契約を締結できたことは、同社の抗体誘導ペプチド技術に対する評価が高まっている証左とも捉えられ、今後追加されるパイプラインについてもライセンス契約交渉がスムーズに進むものと期待される。
■Key Points
・花粉症ワクチンは国内で数百億円のポテンシャル、2025年の第1相臨床試験開始を目指す
・アルツハイマー病、心不全を対象としたワクチンの共同研究をアカデミアと開始
・皮膚潰瘍向け治療薬は適応対象を絞り込み、2025年にも第3相臨床試験に再挑戦を検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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ファンペップ<4881>は大阪大学大学院医学系研究科の機能性ペプチドの研究成果を実用化する目的で、2013年に設立されたバイオベンチャーである。独自開発した機能性ペプチドをベースとした抗体誘導ペプチド技術により、高額な抗体医薬品の代替となる医薬品の開発に取り組んでいる。また、2022年10月にアンチエイジングペプタイド(株)(現 (株)ファンペップへルスケア)を子会社化し、化粧品向けなど医薬以外の事業分野の育成にも乗り出している。
1. 塩野義製薬と「FPP004X」のオプション契約並びに資本業務提携契約を締結
2024年3月に花粉症を対象疾患として開発を進めている「FPP004X」に関して、塩野義製薬<4507>との全世界を対象とした独占的開発及び商業化権のオプション契約締結を発表した。契約締結に伴う一時金として3億円、オプション権が行使された場合のライセンス契約一時金及び開発・販売の進捗に応じたマイルストーンとして最大178億円と販売額に応じたロイヤリティを獲得することになる。また、併せて塩野義製薬に対する第三者割当増資を実施し、約2億円を新たに調達した。今後、両社で協議を行い2025年の第1相臨床試験開始を目指す。潜在需要は大きく国内だけで数百億円のポテンシャルがあり、順調に開発が進めば2032年頃にも上市できる可能性があると弊社では見ている。
2. その他開発パイプラインの状況
尋常性乾癬を適応症とした抗体誘導ペプチド「FPP003」は、第1/2a相臨床試験の結果が2023年12月に発表された。高用量群の被験者9人中7人で抗体価の上昇を確認し、観察期間終了時点の120日までその効果が持続したこと、また安全性及び忍容性に問題はなかったことが確認された。一方、探索的評価項目としていた有効性については、症状の改善を示す指標において、ベースライン(治験薬投与前)やプラセボ群と比較して改善傾向が認められたが、症例数が少なかったこともあって有効性を明確に判断するまでには至らず、その他の臨床試験結果も踏まえて開発方針を決定することになった。2022年に第3相臨床試験を終えた皮膚潰瘍(褥瘡、糖尿病性潰瘍)を対象疾患とする「SR-0379」については、対象患者の条件を絞り込んだうえで再度臨床試験を実施する方向でライセンス契約先の塩野義製薬※と協議のうえ方針を固め、PMDA((独)医薬品医療機器総合機構)との相談も近々開始して、2025年の第3相臨床試験開始を目指すことになった。そのほか、新たにアルツハイマー病や心不全を対象とした抗体誘導ペプチドについてアカデミアとの共同研究を開始しており、有望なリード化合物が見つかれば2024年にも前臨床試験が開始される可能性がある。
※塩野義製薬と全世界を対象としたライセンス契約を2015年に締結した(契約総額は100億円)。
3. 業績動向
2023年12月期の連結業績は、事業収益で0.5百万円(前期実績は1百万円)、営業損失で994百万円(同1,169百万円の損失)となった。事業収益は化粧品分野向け機能性ペプチドの販売収入が顧客の在庫調整により減少した。費用面では、「SR-0379」の臨床試験費用が減少したことで研究開発費が前期比231百万円減少し、営業損失の縮小要因となった。2024年12月期の業績見通しについては未定としているが、研究開発費で500百万円、販管費で300百万円を見込んでおり、損失計上は続く見通しだ。なお、塩野義製薬からのオプション契約締結に伴う契約一時金を受取る見込みだが、収益計上時期は検討中としている。2023年12月期末の現金及び預金は1,793百万円で、事業活動資金として2~3年分を目安に確保する意向である。このため、今後も大型ライセンス契約などがなければ財務状況を見ながら株式市場から資金調達を実施していくものと予想される。
4. 今後の成長戦略
同社は今後も独自技術である抗体誘導ペプチドの優位性を生かして、抗体医薬品が既に発売されている「炎症領域」を中心に、2年に1本のペースでパイプラインを追加する予定である。抗体誘導ペプチドの開発対象領域における抗体医薬品の市場規模は大きく、年間500億米ドルを超える規模に達している。低コスト化が可能な抗体誘導ペプチドで医薬品の開発に成功すれば、患者だけでなく医療財政の負担軽減にもつながることから、同社の企業価値も飛躍的に向上することが予想される。今回、「FPP004X」が前臨床試験段階であるにもかかわらずオプション契約を締結できたことは、同社の抗体誘導ペプチド技術に対する評価が高まっている証左とも捉えられ、今後追加されるパイプラインについてもライセンス契約交渉がスムーズに進むものと期待される。
■Key Points
・花粉症ワクチンは国内で数百億円のポテンシャル、2025年の第1相臨床試験開始を目指す
・アルツハイマー病、心不全を対象としたワクチンの共同研究をアカデミアと開始
・皮膚潰瘍向け治療薬は適応対象を絞り込み、2025年にも第3相臨床試験に再挑戦を検討
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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