776円
セーフィーのニュース
日経平均は続落。100.41円安の30139.65円(出来高概算6億9000万株)で前場の取引を終えている。
週明け27日の米株式市場でNYダウは4日続伸し、71ドル高となった。米国の新型コロナウイルス感染者数の減少で経済活動再開への期待が高まった。8月の耐久財受注(速報値)が市場予想を上回ったほか、金利上昇や原油高もあって景気敏感株に買いが入った。ただ、ハイテク株には売りが出て、ナスダック総合指数は0.5%の下落。本日の東京市場でも値がさの半導体関連株などで売りが先行し、日経平均は97円安からスタート。また、本日は9月末の配当等の権利付き最終売買日となるが、権利落ちを前に海運株などで売りがかさみ、日経平均は朝方に一時30001.99円(238.07円安)まで下落する場面があった。ただ、ファーストリテ<9983>やソフトバンクG<9984>が堅調で、日経平均は3万円台を維持して前引けにかけて下げ渋った。
個別では、郵船<9101>、川崎船<9107>、商船三井<9104>といった海運株が揃って急落し、売買代金上位と下落率で東証1部上位に顔を出している。値がさ株ではレーザーテック<6920>が3%超下落し、キーエンス<6861>や任天堂<7974>、東エレク<8035>も軟調。あさひ<3333>は決算を嫌気した売りがかさみ、上場廃止に係る猶予期間入り銘柄となったグリーンズ<6547>はストップ安を付けている。一方、前述したファーストリテやソフトバンクG、それに東証株価指数(TOPIX)への寄与が大きい時価総額上位のトヨタ自<7203>やメガバンク株が堅調。原油高でINPEX<1605>は3%超上昇している。JR西<9021>など経済活動の正常化に期待のかかる銘柄も引き続き買い優勢。また、業績上方修正のジューテック<3157>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、海運業、その他製品、精密機器などが下落率上位。一方、鉱業、輸送用機器、銀行業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の66%、対して値上がり銘柄は30%となっている。
本日の日経平均は朝方に下げ幅を200円超に広げる場面もあったが、そこから底堅さを発揮して3万円台を維持している。米長期金利の上昇による値がさグロース(成長)
株の下落はある程度想定されただろうが、高配当利回りの海運株が権利落ちを前に大きく売られたのには意外感があるかもしれない。ただ、以前当欄でも述べたが、信用買い残の増加やネット証券での売買動向などを見ると、短期志向の個人投資家の買いもかなり入っている印象を受けた。荒い値動きとなる場面が出てくるのもやむを得ないだろう。一方、指数寄与の大きいファーストリテやソフトバンクG、それに時価総額上位銘柄の堅調ぶりには日本株の先高観の根強さが感じられる。トヨタ自は連日で取引時間中の上場来高値更新だ。ここまでの東証1部売買代金は1兆7000億円強で、前日までと変わらぬペース。
新興市場ではマザーズ指数が-2.54%と大幅続落。やはり新興株でも米長期金利の上昇が重しとなっているが、直近安値を割り込む展開とはなっていない。本日は9月後半のIPO(新規株式公開)でもピークとなる4社が新規上場。ロボペイ<4374>はなお買い気配が続いているが、その他3社は公開価格を3割強上回る初値を付けた。いずれも小型のマザーズIPOだったものの、複数同時上場による投資資金の分散が初値を抑制したようだ。このところ「初値トレード」はまずまず活発だが、初値後軟調な銘柄も多かった。しかし、キャッシュレス決済システムのジィ・シィ企画<4073>は前引け時点でストップ高。明日は監視カメラシステムの有力スタートアップ企業として知られるセーフィー<4375>など2社が新規上場し、IPO銘柄の動向が一段と注目されそうだ。
ちなみにセーフィーは公募・売出し規模が252億円とマザーズIPOとしてはかなり大きかったが、同社指定の海外ファンドへの販売分を含め、公開株の68.4%が海外販売分となった。ブックビルディングでは海外投資家の需要が旺盛だったもよう。短期的に金利上昇などの上値抑え要因があるとはいえ、日本のテック企業に対する海外からの評価の高さは捨てたものではない。
さて、金融市場全体としては中国恒大集団に続く中国不動産会社の資金繰り問題の表面化、米国では長期金利の急ピッチの上昇に連邦政府の債務上限問題と、海外情勢に不透明感が残る。また、国内では明日29日に自民党総裁選の投開票が予定され、株式市場でも9月末の配当再投資需要の発生(市場推計で8000億円程度)、日経平均の銘柄入れ替えに伴う売り需要の発生(同5000億円程度)と需給イベントが相次ぐ。日本株は根強い先高観に支えられつつも、短期的に上下に振らされる場面が多く出てくるだろう。
このうち、米長期金利の動向を巡っては、今晩の米国でパウエル連邦準備理事会(FRB)議長やイエレン財務長官の議会証言、それに7年物国債の入札などが予定されているため、トレンドに変化が出てくるか注視したい。21~22日の米連邦公開市場委員会
(FOMC)の内容がタカ派的と受け止められて金利水準の訂正が急速に進んでいるが、米国内外で懸念がくすぶるなか景気拡大期待が高まっているとも言えず、前日に一時上回った1.5%が目先の上限と予想する向きは多い。
中国不動産会社の債務問題を巡っては、中国人民銀行が「不動産市場の健全な発展を守る」と表明したことが安心感につながったようで、本日の香港ハンセン指数は大幅続伸している。後場の東京市場は香港株高を支えとしつつも、国内外の重要イベントを前に様子見ムードが強まる可能性がある。
(小林大純)
<AK>
週明け27日の米株式市場でNYダウは4日続伸し、71ドル高となった。米国の新型コロナウイルス感染者数の減少で経済活動再開への期待が高まった。8月の耐久財受注(速報値)が市場予想を上回ったほか、金利上昇や原油高もあって景気敏感株に買いが入った。ただ、ハイテク株には売りが出て、ナスダック総合指数は0.5%の下落。本日の東京市場でも値がさの半導体関連株などで売りが先行し、日経平均は97円安からスタート。また、本日は9月末の配当等の権利付き最終売買日となるが、権利落ちを前に海運株などで売りがかさみ、日経平均は朝方に一時30001.99円(238.07円安)まで下落する場面があった。ただ、ファーストリテ<9983>やソフトバンクG<9984>が堅調で、日経平均は3万円台を維持して前引けにかけて下げ渋った。
個別では、郵船<9101>、川崎船<9107>、商船三井<9104>といった海運株が揃って急落し、売買代金上位と下落率で東証1部上位に顔を出している。値がさ株ではレーザーテック<6920>が3%超下落し、キーエンス<6861>や任天堂<7974>、東エレク<8035>も軟調。あさひ<3333>は決算を嫌気した売りがかさみ、上場廃止に係る猶予期間入り銘柄となったグリーンズ<6547>はストップ安を付けている。一方、前述したファーストリテやソフトバンクG、それに東証株価指数(TOPIX)への寄与が大きい時価総額上位のトヨタ自<7203>やメガバンク株が堅調。原油高でINPEX<1605>は3%超上昇している。JR西<9021>など経済活動の正常化に期待のかかる銘柄も引き続き買い優勢。また、業績上方修正のジューテック<3157>などが東証1部上昇率上位に顔を出している。
セクターでは、海運業、その他製品、精密機器などが下落率上位。一方、鉱業、輸送用機器、銀行業などが上昇率上位だった。東証1部の値下がり銘柄は全体の66%、対して値上がり銘柄は30%となっている。
本日の日経平均は朝方に下げ幅を200円超に広げる場面もあったが、そこから底堅さを発揮して3万円台を維持している。米長期金利の上昇による値がさグロース(成長)
株の下落はある程度想定されただろうが、高配当利回りの海運株が権利落ちを前に大きく売られたのには意外感があるかもしれない。ただ、以前当欄でも述べたが、信用買い残の増加やネット証券での売買動向などを見ると、短期志向の個人投資家の買いもかなり入っている印象を受けた。荒い値動きとなる場面が出てくるのもやむを得ないだろう。一方、指数寄与の大きいファーストリテやソフトバンクG、それに時価総額上位銘柄の堅調ぶりには日本株の先高観の根強さが感じられる。トヨタ自は連日で取引時間中の上場来高値更新だ。ここまでの東証1部売買代金は1兆7000億円強で、前日までと変わらぬペース。
新興市場ではマザーズ指数が-2.54%と大幅続落。やはり新興株でも米長期金利の上昇が重しとなっているが、直近安値を割り込む展開とはなっていない。本日は9月後半のIPO(新規株式公開)でもピークとなる4社が新規上場。ロボペイ<4374>はなお買い気配が続いているが、その他3社は公開価格を3割強上回る初値を付けた。いずれも小型のマザーズIPOだったものの、複数同時上場による投資資金の分散が初値を抑制したようだ。このところ「初値トレード」はまずまず活発だが、初値後軟調な銘柄も多かった。しかし、キャッシュレス決済システムのジィ・シィ企画<4073>は前引け時点でストップ高。明日は監視カメラシステムの有力スタートアップ企業として知られるセーフィー<4375>など2社が新規上場し、IPO銘柄の動向が一段と注目されそうだ。
ちなみにセーフィーは公募・売出し規模が252億円とマザーズIPOとしてはかなり大きかったが、同社指定の海外ファンドへの販売分を含め、公開株の68.4%が海外販売分となった。ブックビルディングでは海外投資家の需要が旺盛だったもよう。短期的に金利上昇などの上値抑え要因があるとはいえ、日本のテック企業に対する海外からの評価の高さは捨てたものではない。
さて、金融市場全体としては中国恒大集団に続く中国不動産会社の資金繰り問題の表面化、米国では長期金利の急ピッチの上昇に連邦政府の債務上限問題と、海外情勢に不透明感が残る。また、国内では明日29日に自民党総裁選の投開票が予定され、株式市場でも9月末の配当再投資需要の発生(市場推計で8000億円程度)、日経平均の銘柄入れ替えに伴う売り需要の発生(同5000億円程度)と需給イベントが相次ぐ。日本株は根強い先高観に支えられつつも、短期的に上下に振らされる場面が多く出てくるだろう。
このうち、米長期金利の動向を巡っては、今晩の米国でパウエル連邦準備理事会(FRB)議長やイエレン財務長官の議会証言、それに7年物国債の入札などが予定されているため、トレンドに変化が出てくるか注視したい。21~22日の米連邦公開市場委員会
(FOMC)の内容がタカ派的と受け止められて金利水準の訂正が急速に進んでいるが、米国内外で懸念がくすぶるなか景気拡大期待が高まっているとも言えず、前日に一時上回った1.5%が目先の上限と予想する向きは多い。
中国不動産会社の債務問題を巡っては、中国人民銀行が「不動産市場の健全な発展を守る」と表明したことが安心感につながったようで、本日の香港ハンセン指数は大幅続伸している。後場の東京市場は香港株高を支えとしつつも、国内外の重要イベントを前に様子見ムードが強まる可能性がある。
(小林大純)
<AK>
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