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―EV向けパワー半導体が普及、最先端半導体の技術進化は不可逆的な潮流―
コロナ禍を経て 半導体不足が叫ばれた状況から一転、2022年はメーカーが在庫調整に直面する事態となり、米半導体大手のインテル
●世界半導体市場は4年ぶりに減速へ
主要な米国の半導体株で構成されるフィラデルフィア半導体株(SOX)指数は22年の年始から10月半ばまでに約45%下落した。同期間のナスダック総合指数(約34%安)よりも下落率は大きく、半導体市況に対する投資家の警戒感が裏付けられた格好だ。その後、米長期金利の上昇に歯止めがかかったことを背景に、グロース株が買い戻されてSOX指数は持ち直したが、浮揚力は乏しいままだ。
世界半導体市場統計(WSTS)によると、23年の世界半導体市場は前年比4.1%減の5565億ドルと、4年ぶりにマイナス成長となる見通しだ。前年の市況悪化の影響が続き、年前半は需要が低迷するとみられている。
一方、製品別の予測をみると、メモリーが17%減と大きく落ち込む半面、 パワー半導体を含む「ディスクリート」は2.8%増と底堅く推移する見込みだ。SiC(炭化ケイ素)製のパワー半導体は、電気自動車(EV)などへの出荷拡大が期待されており、23年の注目点のひとつとなるだろう。
半導体の「微細化」と「3次元積層」に向けた投資活動も、すぐに収縮するとは考えにくい。最先端品の回路線幅は5ナノ(ナノは10億分の1)メートルだが、台湾積体電路製造(TSMC)
もっとも微細化に関しては、物理的な面での「限界」も意識されている。中長期的な半導体の高性能化には、回路を立体的に積む3次元積層技術が不可欠となる。ここで商機が期待されるのが、ウエハーを完成品にする後工程に関わる製品群といわれている。
●タカトリなどに関心、レーザーテクは23年も主役か
SiCパワー半導体ではローム <6963> [東証P]の成長期待が高まっている。同社のSiCパワー半導体は日立Astemo(東京都千代田区)のEV用部品に採用された。タカトリ <6338> [東証S]はSiCの材料切断加工装置の大口受注を獲得し、投資家の大きな関心を引き付けた。測定装置などを手掛けるテセック <6337> [東証S]はパワー半導体向けを得意とする。エノモト <6928> [東証P]のリードフレームもパワー半導体向けの需要拡大に期待が膨らむ。
微細化の領域では、ウエハーに回路を形成する「前工程」の企業群に恩恵をもたらしそうだ。微細化の肝となる「EUV(極端紫外線)露光装置」を手掛けているのは、オランダの半導体製造装置大手ASMLホールディング
●後工程の新光電工やイビデンも注目
3次元積層化の流れでは、パッケージ工程で存在感の大きい新光電気工業 <6967> [東証P]やイビデン <4062> [東証P]の活躍が期待される。ダイシング装置のディスコ <6146> [東証P]や実装装置の芝浦メカトロニクス <6590> [東証P]、検査装置のアドバンテスト <6857> [東証P]も新たな技術潮流の恩恵を受けるに違いない。
このほか半導体市況に回復の兆しが出れば、シリコンウエハーの信越化学工業 <4063> [東証P]やSUMCO <3436> [東証P]の業績にポジティブに働くことが予想される。米中対立を背景とした半導体のサプライチェーン分散化の動きは東エレクの装置群のほか、成膜装置などを手掛けるアルバック <6728> [東証P]やサムコ <6387> [東証P]、洗浄装置のSCREENホールディングス <7735> [東証P]の活躍域を広げる公算が大きいといえそうだ。
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