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エコモットのニュース
■中長期の成長戦略
1. 中長期的な成長戦略
エコモット<3987>は、10年後に「日本を代表するIoTリーディングカンパニー」となることを目指している。これからの3ヶ年を飛躍的成長に向けた経営基盤強化の時期と位置付け、人員・開発投資に注力する。そのため、利益率は圧迫される懸念がある。これからの3年の経営戦略は、収益基盤安定に向けた事業戦略、新規市場創造を視野に入れた新製品・サービスの開発推進、営業・開発体制強化に向けた人員採用強化で構成される。
4年目以降は、ソリューションの多様化による様々な社会課題の解決を提供することで、売上高の飛躍的成長と利益の急拡大を追求する。防災ソリューションやGPSソリューションなど季節性が少ない事業が拡大すれば、年間を通して安定的な収益を確保することになろう。
(1) 収益基盤安定に向けた事業戦略
経営戦略としては、収益基盤の安定を図るため、同社の独自性と強みを生かせるコンストラクションソリューションである「現場ロイド」と「防災ソリューション」に営業リソースを集中する。また、GPSソリューションも大きな成長ポテンシャルがある。
GPSソリューションは、前期にあった「Pdrive」の大口OEM供給案件が一巡するため、2019年3月期は一時的な減収を見込むが、中長的に有望な市場だ。カーテレマティクスサービス市場の中で、同社がターゲットしている法人用車両における「クラウド型車両管理・勤怠管理システム」はニッチであるものの、高い成長性が見込まれる。2016年の市場規模は約46万台で、同社のシェアは5%弱にとどまる。市場は、2022年に168万台、511億円へ成長すると予測されている。仮に5%のシェアでも25億円の売上高となる。2019年3月期のGPSソリューションの予想売上高が429百万円である。
(2) 新規市場創造を視野に入れた新製品・サービスの開発推進
a) 新しい通信サービス規格「LPWA」と「5G」
既存のICTインフラは、IoTを前提に構築されたわけではない。商用化が始まった新規格の通信サービスにより、IoT市場は爆発的に成長することが期待される。
M2Mに適した新たな通信サービスにLPWAがある。LPWAは、Low Power Wide Areaの略で、消費電力を抑えて、遠距離通信を実現する通信方式となる。通信速度は携帯電話の100分の1程度と遅いが、通信時の消費電力が少なく、端末の電池は使い方次第で10年間交換が不要となる。通信費用も1回線当たり年100円と、携帯電話の数10分の1と格安になる。M2Mアプリケーションに対応できるよう設計されており、京セラ<6971>やKDDIはLPWAを利用した水道の自動検針の商用化を進めている。ほかには、ガス検針、スマートグリッド、安全性監視、都市駐車場、自動販売機、都市照明など幅広い分野での利用が予想される。
寒冷地での用途の1つに、灯油タンクの残量検針がある。屋外に設置される固定型の灯油用ホームタンクは、容量が200~1000リットルある。現在は、灯油販売業者が残量を推測して、各家庭に給油に回っている。IoTを活用すれば、契約販売業者はタンク内の残量を検針してから配達に回るため、1回当たりの給油量が増え、給油回数を減らせる。配達の効率性が上がり、人手不足に対応できる。家庭も、燃料切れの心配がなくなる。
LPWAは、各種規格に対応する。LPWAは、免許が必要な周波数帯域を利用するものと、免許不要な帯域を利用するものとに大別される。携帯電話向けの通信方式の標準化団体である3GPPによって標準化された規格は、免許必要な周波数帯域を使用するセルラーLPWAになる。携帯電話大手3社のNTTドコモ<9437>、KDDI、ソフトバンクグループ<9984>は、2018年から新しい通信規格「LPWA」のサービスを開始した。セルラーLPWAの規格には、LTE Cat-MとNB-IoTがある。同社は、既にCat-M対応の通信デバイスを製品化し、各種センサーからのデータクラウド送信を可能にした。来年度の対応となるNB-IoT(Narrow Band IoT)は、家電や環境センサーなど、高速のデータ通信を必要としないIoT向けLTE通信の仕様になる。一方、免許不要の帯域を利用するノンセルラーLPWAには、LoRaやSifgoxなどの規格がある。LoRaは、携帯電話の電波が届かない山の中などで利用される。同社のLoRa対応の傾斜センサーは、地滑りのおそれがある箇所や建設現場の仮囲い鋼板などに設置され、傾きを検知した際に通知することで、事故を未然に防ぐ。
現在の携帯電話の通信規格である「4G」は、スマートフォンの普及とともに浸透した。NTTドコモは、第5世代移動通信システムとなる「5G」の開発に取り組み、2020年のサービス提供開始を目指している。2020年代の情報社会では、移動通信のトラフィック量が2010年と比較して1,000倍以上に増大すると予測しており、それに応えるネットワークシステムとして大容量化を、低コスト・低消費電力で実現することを目標としている。当然IoTへの対応も視野に入れている。同社は新しい通信規格に対応すべく研究開発を進める。
b) 「IoT×AI・VR・API」での付加価値提供
中長期的な成長戦略としては「FASTIO」を基盤とするインテグレーションソリューションに経営資源を傾斜する。IoTシステムを活用した新たな社会課題ソリューションを開発し、その市場ニーズが高いようならパッケージ化する。それにより、コンストラクションソリューションやGPSソリューションに次ぐ、新たな事業の柱を生む。新たなパッケージサービスを増やし、ストックビジネス化を進め、事業基盤の安定化を実現する意向だ。新ソリューションとして、在庫監視ソリューション、残量監視ソリューション、故障検知ソリューションの開発に取り組んでいる。
「IoT×AI」では、普及型エッジAIカメラ「MRM-900」を発売した。同製品は、米NVIDIAのモバイル組み込みシステムの並列処理を GPU で高速化する AI コンピューティング プラットフォーム「Jeston」を搭載した。ディープラーニング学習モデルをベースとしたエッジコンピューティングでの画像解析により、走行中の車両から撮影する画像を解析することではく離・劣化などの路面劣化診断を可能にした。河川増水や土石流検知などの防災用途では、防水・熱処理設計を施した一体型の省スペース筐体の製品を開発することで、従来運用が難しいとされてきた狭小スペースや屋外稼働を可能にした。作業員の安全帯の着用有無をリアルタイムで検知するシステムもラインアップした。道路や河川に設置したカメラのリアルタイム画像解析により、管理者の監視業務の補助や無人監視を可能にした。人為的ミスや見落としを軽減し、人材不足の解消に寄与する。
全国規模の採用では東証マザーズ上場のメリットを受ける
(3) 営業・開発体制強化に向けた人員採用強化
2018年3月期末の従業員数を、前期比17名、3割増の71名とした。2019年3月期は、18名の純増を計画しており、8月1日までに8名を採用した。「IoT×新技術」による高付加価値サービスを市場に浸透させるためには、営業・開発体制を強化する必要がある。活動エリアが、北海道から全国へと広がっていることから、東証マザーズに上場したことが採用活動の助けとなっている。
2. 株主還元
株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識している。現在は成長段階にあるため、内部留保の充実による将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資を優先している。2019年3月期の配当は、計画していない。
一方、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を目的に、株式分割を行っている。2017年10月1日付で普通株式1株につき2株、2018年4月1日付で1株を3株の割合で分割した。2018年6月の東証マザーズ上場の際に35万株の新株式を発行したことから、2019年3月期第1四半期末の発行済株式数は4,515,200株へ増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
<HN>
1. 中長期的な成長戦略
エコモット<3987>は、10年後に「日本を代表するIoTリーディングカンパニー」となることを目指している。これからの3ヶ年を飛躍的成長に向けた経営基盤強化の時期と位置付け、人員・開発投資に注力する。そのため、利益率は圧迫される懸念がある。これからの3年の経営戦略は、収益基盤安定に向けた事業戦略、新規市場創造を視野に入れた新製品・サービスの開発推進、営業・開発体制強化に向けた人員採用強化で構成される。
4年目以降は、ソリューションの多様化による様々な社会課題の解決を提供することで、売上高の飛躍的成長と利益の急拡大を追求する。防災ソリューションやGPSソリューションなど季節性が少ない事業が拡大すれば、年間を通して安定的な収益を確保することになろう。
(1) 収益基盤安定に向けた事業戦略
経営戦略としては、収益基盤の安定を図るため、同社の独自性と強みを生かせるコンストラクションソリューションである「現場ロイド」と「防災ソリューション」に営業リソースを集中する。また、GPSソリューションも大きな成長ポテンシャルがある。
GPSソリューションは、前期にあった「Pdrive」の大口OEM供給案件が一巡するため、2019年3月期は一時的な減収を見込むが、中長的に有望な市場だ。カーテレマティクスサービス市場の中で、同社がターゲットしている法人用車両における「クラウド型車両管理・勤怠管理システム」はニッチであるものの、高い成長性が見込まれる。2016年の市場規模は約46万台で、同社のシェアは5%弱にとどまる。市場は、2022年に168万台、511億円へ成長すると予測されている。仮に5%のシェアでも25億円の売上高となる。2019年3月期のGPSソリューションの予想売上高が429百万円である。
(2) 新規市場創造を視野に入れた新製品・サービスの開発推進
a) 新しい通信サービス規格「LPWA」と「5G」
既存のICTインフラは、IoTを前提に構築されたわけではない。商用化が始まった新規格の通信サービスにより、IoT市場は爆発的に成長することが期待される。
M2Mに適した新たな通信サービスにLPWAがある。LPWAは、Low Power Wide Areaの略で、消費電力を抑えて、遠距離通信を実現する通信方式となる。通信速度は携帯電話の100分の1程度と遅いが、通信時の消費電力が少なく、端末の電池は使い方次第で10年間交換が不要となる。通信費用も1回線当たり年100円と、携帯電話の数10分の1と格安になる。M2Mアプリケーションに対応できるよう設計されており、京セラ<6971>やKDDIはLPWAを利用した水道の自動検針の商用化を進めている。ほかには、ガス検針、スマートグリッド、安全性監視、都市駐車場、自動販売機、都市照明など幅広い分野での利用が予想される。
寒冷地での用途の1つに、灯油タンクの残量検針がある。屋外に設置される固定型の灯油用ホームタンクは、容量が200~1000リットルある。現在は、灯油販売業者が残量を推測して、各家庭に給油に回っている。IoTを活用すれば、契約販売業者はタンク内の残量を検針してから配達に回るため、1回当たりの給油量が増え、給油回数を減らせる。配達の効率性が上がり、人手不足に対応できる。家庭も、燃料切れの心配がなくなる。
LPWAは、各種規格に対応する。LPWAは、免許が必要な周波数帯域を利用するものと、免許不要な帯域を利用するものとに大別される。携帯電話向けの通信方式の標準化団体である3GPPによって標準化された規格は、免許必要な周波数帯域を使用するセルラーLPWAになる。携帯電話大手3社のNTTドコモ<9437>、KDDI、ソフトバンクグループ<9984>は、2018年から新しい通信規格「LPWA」のサービスを開始した。セルラーLPWAの規格には、LTE Cat-MとNB-IoTがある。同社は、既にCat-M対応の通信デバイスを製品化し、各種センサーからのデータクラウド送信を可能にした。来年度の対応となるNB-IoT(Narrow Band IoT)は、家電や環境センサーなど、高速のデータ通信を必要としないIoT向けLTE通信の仕様になる。一方、免許不要の帯域を利用するノンセルラーLPWAには、LoRaやSifgoxなどの規格がある。LoRaは、携帯電話の電波が届かない山の中などで利用される。同社のLoRa対応の傾斜センサーは、地滑りのおそれがある箇所や建設現場の仮囲い鋼板などに設置され、傾きを検知した際に通知することで、事故を未然に防ぐ。
現在の携帯電話の通信規格である「4G」は、スマートフォンの普及とともに浸透した。NTTドコモは、第5世代移動通信システムとなる「5G」の開発に取り組み、2020年のサービス提供開始を目指している。2020年代の情報社会では、移動通信のトラフィック量が2010年と比較して1,000倍以上に増大すると予測しており、それに応えるネットワークシステムとして大容量化を、低コスト・低消費電力で実現することを目標としている。当然IoTへの対応も視野に入れている。同社は新しい通信規格に対応すべく研究開発を進める。
b) 「IoT×AI・VR・API」での付加価値提供
中長期的な成長戦略としては「FASTIO」を基盤とするインテグレーションソリューションに経営資源を傾斜する。IoTシステムを活用した新たな社会課題ソリューションを開発し、その市場ニーズが高いようならパッケージ化する。それにより、コンストラクションソリューションやGPSソリューションに次ぐ、新たな事業の柱を生む。新たなパッケージサービスを増やし、ストックビジネス化を進め、事業基盤の安定化を実現する意向だ。新ソリューションとして、在庫監視ソリューション、残量監視ソリューション、故障検知ソリューションの開発に取り組んでいる。
「IoT×AI」では、普及型エッジAIカメラ「MRM-900」を発売した。同製品は、米NVIDIAのモバイル組み込みシステムの並列処理を GPU で高速化する AI コンピューティング プラットフォーム「Jeston」を搭載した。ディープラーニング学習モデルをベースとしたエッジコンピューティングでの画像解析により、走行中の車両から撮影する画像を解析することではく離・劣化などの路面劣化診断を可能にした。河川増水や土石流検知などの防災用途では、防水・熱処理設計を施した一体型の省スペース筐体の製品を開発することで、従来運用が難しいとされてきた狭小スペースや屋外稼働を可能にした。作業員の安全帯の着用有無をリアルタイムで検知するシステムもラインアップした。道路や河川に設置したカメラのリアルタイム画像解析により、管理者の監視業務の補助や無人監視を可能にした。人為的ミスや見落としを軽減し、人材不足の解消に寄与する。
全国規模の採用では東証マザーズ上場のメリットを受ける
(3) 営業・開発体制強化に向けた人員採用強化
2018年3月期末の従業員数を、前期比17名、3割増の71名とした。2019年3月期は、18名の純増を計画しており、8月1日までに8名を採用した。「IoT×新技術」による高付加価値サービスを市場に浸透させるためには、営業・開発体制を強化する必要がある。活動エリアが、北海道から全国へと広がっていることから、東証マザーズに上場したことが採用活動の助けとなっている。
2. 株主還元
株主に対する利益還元を重要な経営課題と認識している。現在は成長段階にあるため、内部留保の充実による将来の事業展開及び経営体質の強化のための投資を優先している。2019年3月期の配当は、計画していない。
一方、株式の流動性の向上と投資家層の拡大を目的に、株式分割を行っている。2017年10月1日付で普通株式1株につき2株、2018年4月1日付で1株を3株の割合で分割した。2018年6月の東証マザーズ上場の際に35万株の新株式を発行したことから、2019年3月期第1四半期末の発行済株式数は4,515,200株へ増加した。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 瀬川 健)
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