1,553円
ユニリタのニュース
■決算動向
1. 2022年3月期上期決算の概要
ユニリタ<3800>の2022年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比2.7%増の4,967百万円、営業利益が同31.1%増の273百万円、経常利益が同20.3%増の376百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同31.6%減の232百万円と、増収及び営業増益となった。期初予想に対しては、売上高がほぼ計画どおりで推移した一方、利益面では計画を上回る進捗となっている。
売上高は、「プロダクトサービス」及び「クラウドサービス」が順調に伸長した。ただ、売上高全体が緩やかな伸びにとどまったのは、「プロフェッショナルサービス」において、収益性重視のシステムインテグレーション事業やアウトソーシング事業が伸び悩んだことによる。
損益面では、成長の軸となる「クラウドサービス」等への先行投資(サービス強化や広告宣伝費等)を拡大したものの、利益率の高い「プロダクトサービス」の伸びや「プロフェッショナルサービス」の損益改善により、計画を上回る営業増益を実現した。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益が減益となったのは、前年同期に計上した投資有価証券売却益(193百万円)の反動減によるものである。
財政状態については大きな変動はなく、総資産は前期末比0.7%減の14,767百万円に減少した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同0.4%増の11,324百万円に増加し、自己資本比率は76.7%(前期末は75.9%)に上昇した。また、「現金及び預金」は8,470百万円を確保しているうえ、流動比率も303.5%と高水準を維持していることから、財務の安全性に懸念はない。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) プロダクトサービス
売上高は前年同期比8.2%増の2,102百万円、セグメント利益は同39.1%増の555百万円と順調に拡大した。メインフレーム事業が大型案件の受注もあり好調に推移した。また、自動化事業ではオンプレミス製品をクラウド化へと移行する需要の取り込みが奏功したほか、帳票事業においてもアウトソーシングサービス「まるっと帳票クラウドサービス」の新規ユーザのサービスインを実現することができた。クラウド運用事業である「ユニリタクラウドサービス」では、顧客のシステムをクラウドリフト化※する提案が奏功し、大手顧客の大規模運用受託案件を受注したほか、見込み顧客の開拓につながった。
※企業の情報システムをクラウドへ移行する手法の1つ。既存システムをそのままクラウドに持ち込む方式。
(2) クラウドサービス
売上高は前年同期比4.1%増の1,445百万円、セグメント損失は167百万円(前年同期は95百万円の損失)と増収ながら、先行投資の影響により損失幅が拡大した。IT活用クラウド事業では、DX化の流れやリモートワークの普及が進むなかで、「LMIS」「Digital Workforce」「Waha! Transformer」などの主力サービスが堅調に推移した。事業推進クラウド事業では、人材派遣業界の旺盛なクラウド化ニーズを取り込み、主力の「DigiSheet」「The Staff-V」などの人材派遣や人事管理向けサービスが伸びた。また、ソーシャルクラウド事業では、交通系IoTサービスのB2G戦略(自治体との連携等)が奏功し、小規模ながらも高い伸び率を示すことができた。一方、損益面では、サービス強化のための体制整備や新しいマーケット開拓のための先行投資を積極的に行ったことから損失を計上したが、ほぼ計画内である。
(3) プロフェッショナルサービス
売上高は前年同期比5.7%減の1,418百万円、セグメント利益は同129.7%増の50百万円と減収ながらも増益を確保した。コンサルティング事業では、DX推進に向けた情報システム部門の変革ニーズを受け、システム運用コンサルティング案件やデータマネジメント案件の受注が堅調に推移した。一方、収益体質の強化を図っているシステムインテグレーション事業は、中堅・中小企業向けの市場開拓を狙うソリューション事業が伸び悩んだほか、アウトソーシング事業についても新規獲得に苦戦した。ただ、損益面では、付加価値の高いコンサルティング事業の伸びや、システムインテグレーション事業の損益改善(一括請負型案件の寄与)により増益となった。
2. 2022年3月期上期の総括
以上から、2022年3月期上期を総括すると、「プロダクトサービス」及び「クラウドサービス」が順調に伸長した業績面をはじめ、事業活動面においても、後述のとおり、サービス強化等を目的とした投資実行に加え、サービス提供型事業の創出や他社との協業などでも一定の成果をあげることができ、新中期経営計画の達成に向けて順調に滑り出したと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
<YM>
1. 2022年3月期上期決算の概要
ユニリタ<3800>の2022年3月期上期の業績は、売上高が前年同期比2.7%増の4,967百万円、営業利益が同31.1%増の273百万円、経常利益が同20.3%増の376百万円、親会社株主に帰属する四半期純利益が同31.6%減の232百万円と、増収及び営業増益となった。期初予想に対しては、売上高がほぼ計画どおりで推移した一方、利益面では計画を上回る進捗となっている。
売上高は、「プロダクトサービス」及び「クラウドサービス」が順調に伸長した。ただ、売上高全体が緩やかな伸びにとどまったのは、「プロフェッショナルサービス」において、収益性重視のシステムインテグレーション事業やアウトソーシング事業が伸び悩んだことによる。
損益面では、成長の軸となる「クラウドサービス」等への先行投資(サービス強化や広告宣伝費等)を拡大したものの、利益率の高い「プロダクトサービス」の伸びや「プロフェッショナルサービス」の損益改善により、計画を上回る営業増益を実現した。なお、親会社株主に帰属する四半期純利益が減益となったのは、前年同期に計上した投資有価証券売却益(193百万円)の反動減によるものである。
財政状態については大きな変動はなく、総資産は前期末比0.7%減の14,767百万円に減少した一方、自己資本は内部留保の積み増しにより同0.4%増の11,324百万円に増加し、自己資本比率は76.7%(前期末は75.9%)に上昇した。また、「現金及び預金」は8,470百万円を確保しているうえ、流動比率も303.5%と高水準を維持していることから、財務の安全性に懸念はない。
事業別の業績は以下のとおりである。
(1) プロダクトサービス
売上高は前年同期比8.2%増の2,102百万円、セグメント利益は同39.1%増の555百万円と順調に拡大した。メインフレーム事業が大型案件の受注もあり好調に推移した。また、自動化事業ではオンプレミス製品をクラウド化へと移行する需要の取り込みが奏功したほか、帳票事業においてもアウトソーシングサービス「まるっと帳票クラウドサービス」の新規ユーザのサービスインを実現することができた。クラウド運用事業である「ユニリタクラウドサービス」では、顧客のシステムをクラウドリフト化※する提案が奏功し、大手顧客の大規模運用受託案件を受注したほか、見込み顧客の開拓につながった。
※企業の情報システムをクラウドへ移行する手法の1つ。既存システムをそのままクラウドに持ち込む方式。
(2) クラウドサービス
売上高は前年同期比4.1%増の1,445百万円、セグメント損失は167百万円(前年同期は95百万円の損失)と増収ながら、先行投資の影響により損失幅が拡大した。IT活用クラウド事業では、DX化の流れやリモートワークの普及が進むなかで、「LMIS」「Digital Workforce」「Waha! Transformer」などの主力サービスが堅調に推移した。事業推進クラウド事業では、人材派遣業界の旺盛なクラウド化ニーズを取り込み、主力の「DigiSheet」「The Staff-V」などの人材派遣や人事管理向けサービスが伸びた。また、ソーシャルクラウド事業では、交通系IoTサービスのB2G戦略(自治体との連携等)が奏功し、小規模ながらも高い伸び率を示すことができた。一方、損益面では、サービス強化のための体制整備や新しいマーケット開拓のための先行投資を積極的に行ったことから損失を計上したが、ほぼ計画内である。
(3) プロフェッショナルサービス
売上高は前年同期比5.7%減の1,418百万円、セグメント利益は同129.7%増の50百万円と減収ながらも増益を確保した。コンサルティング事業では、DX推進に向けた情報システム部門の変革ニーズを受け、システム運用コンサルティング案件やデータマネジメント案件の受注が堅調に推移した。一方、収益体質の強化を図っているシステムインテグレーション事業は、中堅・中小企業向けの市場開拓を狙うソリューション事業が伸び悩んだほか、アウトソーシング事業についても新規獲得に苦戦した。ただ、損益面では、付加価値の高いコンサルティング事業の伸びや、システムインテグレーション事業の損益改善(一括請負型案件の寄与)により増益となった。
2. 2022年3月期上期の総括
以上から、2022年3月期上期を総括すると、「プロダクトサービス」及び「クラウドサービス」が順調に伸長した業績面をはじめ、事業活動面においても、後述のとおり、サービス強化等を目的とした投資実行に加え、サービス提供型事業の創出や他社との協業などでも一定の成果をあげることができ、新中期経営計画の達成に向けて順調に滑り出したと言える。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 柴田郁夫)
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