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ジェイ・エス・ビーのニュース
■ジェイ・エス・ビー<3480>の業績動向
1. 2020年10月期の業績概要
2020年10月期における日本経済は、2019年10月の消費税率引き上げや、コロナ禍の影響により消費が低迷するなか、緊急事態宣言解除後の経済活動再開や海外経済の底入れに伴い、個人消費や輸出を中心に持ち直し基調へ転じたものの、コロナ禍収束の見通しが立たないこともあり、総じて回復の足取りは重くなっている。先行きに対する不透明感が一層強まっており、依然として予断を許さない状況が継続している。このような経営環境のもと、同社グループの主たる顧客層である学生の動向においては、大学(大学院を含む)の学生数は291.6万人と前年より3千人減少(文部科学省「令和2年度学校基本調査(速報値)」)し、近年における学生数の上昇傾向から一転、減少へ転じることとなったが、おおむね前年度と同水準で推移しており、市場環境については、前年度の状況を維持していると考えられる。一方で、コロナ禍における学生のライフスタイルの変化やその動向、また教育機関の動向についても引き続き注視し、実体経済の見極めを慎重に行っていく必要がありそうだ。
こうしたなか、同社グループにおいては、2017年12月に公表した中期経営計画の最終年度を迎え、高付加価値を備えた競争力のある新規物件開発や大手デベロッパーとの連携の推進、事業会社のM&Aを通じた総合力強化、人員の増強に加え基幹システムの刷新による業務効率の向上等、様々な成長施策の実践を図ることで、当初掲げた中期経営計画の計画数値を超過達成した。
以上から2020年10月期は連結売上高48,058百万円(前期比12.6%増)、営業利益4,338百万円(同26.7%増)、経常利益4,248百万円(同27.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,761百万円(同19.7%増)の大幅な増収増益決算となった。2019年10月期決算発表時の期初予想に比べると、売上高で2.0%、営業利益で16.3%、経常利益で17.6%、親会社株主に帰属する当期純利益は15.2%も上回る好決算であった。計画を上回る物件管理戸数の増加や高水準の入居率維持により賃貸関連売上高が伸長したことに加え、2019年10月期のシステム刷新に伴う一時的な費用負担が減少したことから、大幅な増収増益となった。そして、広告宣伝活動の積極展開、システム投資などを行うことで、将来の事業発展にも十分に備えていると言える。
なお、同社グループでは主力事業である不動産賃貸管理事業においては、賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期に新規契約件数が増加することから、売上高は上期の割合が大きく、利益も上期に偏在する傾向がある。
2. セグメント別動向
(1) 不動産賃貸管理事業
コロナ禍の影響で2020年3月から学生の部屋探しが減少したが、募集活動はその前におおむね終了していたため、入居率は99.8%と引き続き高水準を維持した。加えて営業努力によって物件管理戸数が72,484戸(前期比6,420戸増)と当初計画を上回ったことで、学生マンションの家賃収入をはじめ、各種不動産賃貸関連サービス収入は順調に推移した。一方、費用面では、戸数増による支払家賃増加や人員数の増加による人件費増加はあったものの、前期に刷新した基幹システムの運用にかかる一時的な人件費増加負担も一巡したことから、比較的緩やかな増加となった。この結果、売上高44,932百万円(前期比12.8%増)、セグメント利益5,464百万円(同23.1%増)の大幅な増収増益となった。
このように不動産賃貸管理事業では、2020年10月期も物件数の増加に伴い売上高・セグメント利益は右肩上がりで順調に拡大し、人件費等の費用の増加を吸収して高い利益率を維持している。
(2) 高齢者住宅事業
これまでの事業譲受による拠点数の増加や事業会社買収に伴い、管理棟数は14棟(前期比1棟増)に増加した。特に、2019年10月にオープンした滋賀県大津市の「グランメゾン迎賓館大津大将軍」では、事業開始直後ではあるものの、稼働率は当初計画を上回っており、新規オープン直後の原価負担を補い、良好な運営環境で推移している。立地が良く家族が通いやすいことや、病院などからの入居者紹介が多いことなどが、高稼働率の背景にある。また、そのほかの既存施設においても、営業力強化やベッド単価の引き上げ等の損益改善施策により、順調に推移している。加えて、2019年10月に高齢者向け福祉用具を提供するフレンド・ケアシステムを吸収合併したことも収益貢献した。以上から、高齢者住宅事業の売上高2,714百万円(前期比17.0%増)、セグメント利益306百万円(同99.4%増)と、不動産賃貸管理事業を上回る大幅な増収増益となった。
高齢者住宅事業では、施設数の増加に伴い売上高は順調に拡大し、セグメント利益は2017年10月期から黒字に転じている。同事業では新規取得の施設の黒字化までに時間がかかることもあり、従来は不動産賃貸管理事業に比べて低い利益率にとどまっていたが、2020年10月期は大きく改善している。
(3) その他の事業
その他の事業としては、学生向けの企業説明会や就職セミナー情報の提供を通じた各種支援サービスの提供と、外国人留学生向けの日本語学校の運営による教育事業等を進めるとともに、学生マンションの共用部をシェアリングスペースとして活用するなど、独自性のある価値提供へ向けた取り組みを行っている。その他の事業については、同社グループの主力事業に対する後方支援的な位置付けを担うことから、潜在的な効果として主力事業の事業収益へ寄与していると言えるだろう。2020年10月期は、コロナ禍の影響から、学生支援サービス事業では合同企業説明会において企業側の出展取り止めや、合同企業説明会の主催者側での開催中止などもあり、売上高は低調に推移した。また、日本語学校事業でも、留学生への入国制限等により、当初見込んでいた時期での受け入れができなかったことが響いた。以上から、その他の事業は、売上高411百万円(前期比17.6%減)、セグメント損失106百万円(前期は5百万円の損失)にとどまった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<EY>
1. 2020年10月期の業績概要
2020年10月期における日本経済は、2019年10月の消費税率引き上げや、コロナ禍の影響により消費が低迷するなか、緊急事態宣言解除後の経済活動再開や海外経済の底入れに伴い、個人消費や輸出を中心に持ち直し基調へ転じたものの、コロナ禍収束の見通しが立たないこともあり、総じて回復の足取りは重くなっている。先行きに対する不透明感が一層強まっており、依然として予断を許さない状況が継続している。このような経営環境のもと、同社グループの主たる顧客層である学生の動向においては、大学(大学院を含む)の学生数は291.6万人と前年より3千人減少(文部科学省「令和2年度学校基本調査(速報値)」)し、近年における学生数の上昇傾向から一転、減少へ転じることとなったが、おおむね前年度と同水準で推移しており、市場環境については、前年度の状況を維持していると考えられる。一方で、コロナ禍における学生のライフスタイルの変化やその動向、また教育機関の動向についても引き続き注視し、実体経済の見極めを慎重に行っていく必要がありそうだ。
こうしたなか、同社グループにおいては、2017年12月に公表した中期経営計画の最終年度を迎え、高付加価値を備えた競争力のある新規物件開発や大手デベロッパーとの連携の推進、事業会社のM&Aを通じた総合力強化、人員の増強に加え基幹システムの刷新による業務効率の向上等、様々な成長施策の実践を図ることで、当初掲げた中期経営計画の計画数値を超過達成した。
以上から2020年10月期は連結売上高48,058百万円(前期比12.6%増)、営業利益4,338百万円(同26.7%増)、経常利益4,248百万円(同27.0%増)、親会社株主に帰属する当期純利益2,761百万円(同19.7%増)の大幅な増収増益決算となった。2019年10月期決算発表時の期初予想に比べると、売上高で2.0%、営業利益で16.3%、経常利益で17.6%、親会社株主に帰属する当期純利益は15.2%も上回る好決算であった。計画を上回る物件管理戸数の増加や高水準の入居率維持により賃貸関連売上高が伸長したことに加え、2019年10月期のシステム刷新に伴う一時的な費用負担が減少したことから、大幅な増収増益となった。そして、広告宣伝活動の積極展開、システム投資などを行うことで、将来の事業発展にも十分に備えていると言える。
なお、同社グループでは主力事業である不動産賃貸管理事業においては、賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期に新規契約件数が増加することから、売上高は上期の割合が大きく、利益も上期に偏在する傾向がある。
2. セグメント別動向
(1) 不動産賃貸管理事業
コロナ禍の影響で2020年3月から学生の部屋探しが減少したが、募集活動はその前におおむね終了していたため、入居率は99.8%と引き続き高水準を維持した。加えて営業努力によって物件管理戸数が72,484戸(前期比6,420戸増)と当初計画を上回ったことで、学生マンションの家賃収入をはじめ、各種不動産賃貸関連サービス収入は順調に推移した。一方、費用面では、戸数増による支払家賃増加や人員数の増加による人件費増加はあったものの、前期に刷新した基幹システムの運用にかかる一時的な人件費増加負担も一巡したことから、比較的緩やかな増加となった。この結果、売上高44,932百万円(前期比12.8%増)、セグメント利益5,464百万円(同23.1%増)の大幅な増収増益となった。
このように不動産賃貸管理事業では、2020年10月期も物件数の増加に伴い売上高・セグメント利益は右肩上がりで順調に拡大し、人件費等の費用の増加を吸収して高い利益率を維持している。
(2) 高齢者住宅事業
これまでの事業譲受による拠点数の増加や事業会社買収に伴い、管理棟数は14棟(前期比1棟増)に増加した。特に、2019年10月にオープンした滋賀県大津市の「グランメゾン迎賓館大津大将軍」では、事業開始直後ではあるものの、稼働率は当初計画を上回っており、新規オープン直後の原価負担を補い、良好な運営環境で推移している。立地が良く家族が通いやすいことや、病院などからの入居者紹介が多いことなどが、高稼働率の背景にある。また、そのほかの既存施設においても、営業力強化やベッド単価の引き上げ等の損益改善施策により、順調に推移している。加えて、2019年10月に高齢者向け福祉用具を提供するフレンド・ケアシステムを吸収合併したことも収益貢献した。以上から、高齢者住宅事業の売上高2,714百万円(前期比17.0%増)、セグメント利益306百万円(同99.4%増)と、不動産賃貸管理事業を上回る大幅な増収増益となった。
高齢者住宅事業では、施設数の増加に伴い売上高は順調に拡大し、セグメント利益は2017年10月期から黒字に転じている。同事業では新規取得の施設の黒字化までに時間がかかることもあり、従来は不動産賃貸管理事業に比べて低い利益率にとどまっていたが、2020年10月期は大きく改善している。
(3) その他の事業
その他の事業としては、学生向けの企業説明会や就職セミナー情報の提供を通じた各種支援サービスの提供と、外国人留学生向けの日本語学校の運営による教育事業等を進めるとともに、学生マンションの共用部をシェアリングスペースとして活用するなど、独自性のある価値提供へ向けた取り組みを行っている。その他の事業については、同社グループの主力事業に対する後方支援的な位置付けを担うことから、潜在的な効果として主力事業の事業収益へ寄与していると言えるだろう。2020年10月期は、コロナ禍の影響から、学生支援サービス事業では合同企業説明会において企業側の出展取り止めや、合同企業説明会の主催者側での開催中止などもあり、売上高は低調に推移した。また、日本語学校事業でも、留学生への入国制限等により、当初見込んでいた時期での受け入れができなかったことが響いた。以上から、その他の事業は、売上高411百万円(前期比17.6%減)、セグメント損失106百万円(前期は5百万円の損失)にとどまった。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
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