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ジェイ・エス・ビーのニュース
*15:08JST ジェイ・エス・ビー Research Memo(8):業務改革と組織改革の基盤構築により目標達成を目指す(2)
■中長期の成長戦略
3. 事業戦略
(1) 不動産賃貸管理事業
不動産賃貸管理事業の事業戦略では、業務改革と組織改革を最重要課題としている。そして、人間性とテクノロジーの融合、環境配慮型学生マンションの展開、リノベーション事業の確立、海外市場調査、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の組成を推進する。学生マンション事業におけるジェイ・エス・ビー<3480>の強みである「企画・開発・提案力」「募集力」「サービス・管理力」の「三位一体」による一気通貫サポート体制を生かし、企画開発・賃貸・メンテナンス及び食事をはじめとする入居中サービスのそれぞれにおいて顧客基盤の拡大やサービス拡充を図る。そして入居者やオーナーをはじめとした社外各方面との関係性強化を通じ、持続的成長の実現を目指す。
事業戦略目標の実現に向けて、企画・賃貸・メンテナンス/ファシリティの一連の業務において、次のような施策を推進している。
まず、企画部門では、大学寮(大学敷地内)への積極投資を行っている。直近の事例では、長崎大学の文教キャンパス構内において、3月より運営を開始した長崎大学文教キャンパス国際学生宿舎が、全305室に対し、500件程の予約申込が入る人気のマンションとなった。長崎大学の協力のもと、長崎大学生協と共同募集・共同管理を行っている。また、山口大学の吉田キャンパス内でも、4月より学生マンションの運営を開始した。山口大学の協力のもと、山口大学生協と共同企画・共同募集・共同管理を行った1号館が人気であったことから、別館を建設したものである。両大学とも借地上に建物を建てて貸しており、同社への利益寄与が大きい。
また、環境配慮型マンションの標準化を進めている。新築物件の省エネ設計、既存物件の改修により、建築物の省エネ性能を表示する第三者認証制度「BELS」評価の取得を推進している。最近では、福井県で初の自社開発物件が、「BELS」認定の最高ランクの5つ星を取得している。さらに、食事付き学生マンションの積極展開も推進しており、宮崎県に初進出している。
賃貸部門では、情報収集から契約までの手続きにオンラインサービスや書類電子化を取り入れ、これらの流れを一元化するとともに、顧客の満足度だけでなく業務効率の向上、コスト削減を目指す。電子契約システムの導入により、IT重要事項説明を「お客様サポートセンター」で集中的に対応している。「お客様サポートセンター」での対応件数は2023年10月~2024年3月には10,964件に達し、成約数に対する実施率も39.6%にまで上昇している。同センターは賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期(2~4月)を中心に、各店舗の負担軽減に大きく寄与していることから、対応件数をさらに増やす考えだ。
メンテナンス部門とファシリティ部門では、物件管理戸数の増加に伴いマンションメンテナンスの業務量も増えてくる。そのため2024年4月より入居者向けに利便性の高い「住まいサポートアプリtotono」の導入や、軽作業を近隣住民にスポットで依頼できる外部サービスを導入している。また、環境に配慮した設備も積極的に提案する考えで、太陽光発電設備や断熱性の高いガラスなどをマンションオーナーに提案する。さらに、食事付き学生マンションでは、食事の廃棄を抑えるために喫食需要予測や生ごみをバイオ処理できる設備を導入することにより、フードロスを減らすともにスタッフの業務負担軽減にも役立っている。同じく食事付き学生マンションでは、廃食油のリサイクル活用も始めている。
(2) 新規事業
新規事業の戦略目標としては、若者成長支援サービス事業モデルの確立、全国へのHR(人材)サービスの提供開始、新ブランド創出によるビジネスサイクルの補完(現在の幼児教室だけでなく、対象を小・中学生から大学卒業後まで拡大する)などを掲げる。
具体的には、日本社会の重要インフラとしての「新価値創造 学生マンション」を目指して、UniLifeのブランド認知度拡大及びブランドイメージ向上を目指す。幼少期から大学生まで、本人や親に向けた事業展開によって、基幹ブランドのUniLifeをより早く、より近くに感じられる施策を展開する。また、UniLifeでしか提供できない顧客体験価値(CX)の提供を図る。多くの体験や学びの場など、他とは一線を画す独自ソフトの提供を目指す。このほかにも社会的価値が高い人材の育成を図る。社会を一変させるような出来事に相対しても、新しい社会において活躍できる本質的人間力を持った人材、高度IT社会においても第一線で活躍できる人材の育成を目指す。こうした新規事業分野における各取り組みと、主力の学生マンションや入居者とのつながりによって、同社グループ全体としてのシナジーを追求する計画だ。
直近の事例では、福岡大学では経済学部専門科目「ベンチャー起業論」へ参画している。学生が企業と共同で、企業の課題解決に取り組む科目だ。また、武蔵野大学ではアントレプレナーシップ学部の教育寮を開設した。これは、大学側からの学生マンションを教育寮として使いたいとの申し入れを受けたものである。
以上のように、同社グループは中期経営計画「GT02」に意欲的に取り組んでいる。同社グループの経営環境は、長期的には今後も成長機会に恵まれ、成長戦略に対する少子高齢化進展の影響も限定的であると考えられる。学生マンション市場については、4年制大学のうち特に女子学生の増加が顕著であること、国の政策サポートにより留学生も増加を続ける見通しであることなどから学生マンションの供給は不足しており、一般マンションでは提供できない「安心感」「サービス」という強みが世の中に浸透するに伴って、同市場は今後も拡大傾向を続けると予想される。
また同社グループは、学生マンション業界のパイオニアとして高い知名度や信頼を築いている。今後も学生マンション供給不足が続くと予想されることから、成長余地は大きいと言えるだろう。弊社では、今後の事業環境変化を見据えた中期経営計画の推進により、同社グループのさらなる成長が可能であると考える。引き続き、中期経営計画の進捗状況に注目したい。
4. ESGへの取り組み
同社では、「豊かな生活空間の創造」を経営理念として掲げており、ESGにも積極的に取り組んでいる。社会(Social)では、学生支援への取り組みとして、「学生下宿年鑑2024 表紙デザインコンペ」を実施したほか、“学びのマンション”プロジェクトとして、学生マンションの入居者を対象とした野菜収穫イベントを開催し、いずれも学生が成長し知見を広げるための一助となっている。また、令和6年能登半島地震の被災者への支援として、実家が被災した入居者に対して、最大6ヶ月間、家賃2万円減額などを実施している。環境(Environment)では、低炭素型社会実現へ向けて、京都市を中心に取り組む「Release⇔Catchプロジェクト」に参画し、古着の回収などを行っている。ガバナンス(Governance)では、企業価値最大化に向けて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応をしている。このように、同社グループは業績拡大を目指すだけでなく、ESGにも積極的に取り組んでいる。欧州投資家を中心に世界的に企業のESGへの取り組みを考慮した投資が拡大しており、我が国でも近年はESG投資が急拡大していることから、同社の取り組みが注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<AS>
3. 事業戦略
(1) 不動産賃貸管理事業
不動産賃貸管理事業の事業戦略では、業務改革と組織改革を最重要課題としている。そして、人間性とテクノロジーの融合、環境配慮型学生マンションの展開、リノベーション事業の確立、海外市場調査、CVC(コーポレート・ベンチャー・キャピタル)の組成を推進する。学生マンション事業におけるジェイ・エス・ビー<3480>の強みである「企画・開発・提案力」「募集力」「サービス・管理力」の「三位一体」による一気通貫サポート体制を生かし、企画開発・賃貸・メンテナンス及び食事をはじめとする入居中サービスのそれぞれにおいて顧客基盤の拡大やサービス拡充を図る。そして入居者やオーナーをはじめとした社外各方面との関係性強化を通じ、持続的成長の実現を目指す。
事業戦略目標の実現に向けて、企画・賃貸・メンテナンス/ファシリティの一連の業務において、次のような施策を推進している。
まず、企画部門では、大学寮(大学敷地内)への積極投資を行っている。直近の事例では、長崎大学の文教キャンパス構内において、3月より運営を開始した長崎大学文教キャンパス国際学生宿舎が、全305室に対し、500件程の予約申込が入る人気のマンションとなった。長崎大学の協力のもと、長崎大学生協と共同募集・共同管理を行っている。また、山口大学の吉田キャンパス内でも、4月より学生マンションの運営を開始した。山口大学の協力のもと、山口大学生協と共同企画・共同募集・共同管理を行った1号館が人気であったことから、別館を建設したものである。両大学とも借地上に建物を建てて貸しており、同社への利益寄与が大きい。
また、環境配慮型マンションの標準化を進めている。新築物件の省エネ設計、既存物件の改修により、建築物の省エネ性能を表示する第三者認証制度「BELS」評価の取得を推進している。最近では、福井県で初の自社開発物件が、「BELS」認定の最高ランクの5つ星を取得している。さらに、食事付き学生マンションの積極展開も推進しており、宮崎県に初進出している。
賃貸部門では、情報収集から契約までの手続きにオンラインサービスや書類電子化を取り入れ、これらの流れを一元化するとともに、顧客の満足度だけでなく業務効率の向上、コスト削減を目指す。電子契約システムの導入により、IT重要事項説明を「お客様サポートセンター」で集中的に対応している。「お客様サポートセンター」での対応件数は2023年10月~2024年3月には10,964件に達し、成約数に対する実施率も39.6%にまで上昇している。同センターは賃貸入居需要の繁忙期である第2四半期(2~4月)を中心に、各店舗の負担軽減に大きく寄与していることから、対応件数をさらに増やす考えだ。
メンテナンス部門とファシリティ部門では、物件管理戸数の増加に伴いマンションメンテナンスの業務量も増えてくる。そのため2024年4月より入居者向けに利便性の高い「住まいサポートアプリtotono」の導入や、軽作業を近隣住民にスポットで依頼できる外部サービスを導入している。また、環境に配慮した設備も積極的に提案する考えで、太陽光発電設備や断熱性の高いガラスなどをマンションオーナーに提案する。さらに、食事付き学生マンションでは、食事の廃棄を抑えるために喫食需要予測や生ごみをバイオ処理できる設備を導入することにより、フードロスを減らすともにスタッフの業務負担軽減にも役立っている。同じく食事付き学生マンションでは、廃食油のリサイクル活用も始めている。
(2) 新規事業
新規事業の戦略目標としては、若者成長支援サービス事業モデルの確立、全国へのHR(人材)サービスの提供開始、新ブランド創出によるビジネスサイクルの補完(現在の幼児教室だけでなく、対象を小・中学生から大学卒業後まで拡大する)などを掲げる。
具体的には、日本社会の重要インフラとしての「新価値創造 学生マンション」を目指して、UniLifeのブランド認知度拡大及びブランドイメージ向上を目指す。幼少期から大学生まで、本人や親に向けた事業展開によって、基幹ブランドのUniLifeをより早く、より近くに感じられる施策を展開する。また、UniLifeでしか提供できない顧客体験価値(CX)の提供を図る。多くの体験や学びの場など、他とは一線を画す独自ソフトの提供を目指す。このほかにも社会的価値が高い人材の育成を図る。社会を一変させるような出来事に相対しても、新しい社会において活躍できる本質的人間力を持った人材、高度IT社会においても第一線で活躍できる人材の育成を目指す。こうした新規事業分野における各取り組みと、主力の学生マンションや入居者とのつながりによって、同社グループ全体としてのシナジーを追求する計画だ。
直近の事例では、福岡大学では経済学部専門科目「ベンチャー起業論」へ参画している。学生が企業と共同で、企業の課題解決に取り組む科目だ。また、武蔵野大学ではアントレプレナーシップ学部の教育寮を開設した。これは、大学側からの学生マンションを教育寮として使いたいとの申し入れを受けたものである。
以上のように、同社グループは中期経営計画「GT02」に意欲的に取り組んでいる。同社グループの経営環境は、長期的には今後も成長機会に恵まれ、成長戦略に対する少子高齢化進展の影響も限定的であると考えられる。学生マンション市場については、4年制大学のうち特に女子学生の増加が顕著であること、国の政策サポートにより留学生も増加を続ける見通しであることなどから学生マンションの供給は不足しており、一般マンションでは提供できない「安心感」「サービス」という強みが世の中に浸透するに伴って、同市場は今後も拡大傾向を続けると予想される。
また同社グループは、学生マンション業界のパイオニアとして高い知名度や信頼を築いている。今後も学生マンション供給不足が続くと予想されることから、成長余地は大きいと言えるだろう。弊社では、今後の事業環境変化を見据えた中期経営計画の推進により、同社グループのさらなる成長が可能であると考える。引き続き、中期経営計画の進捗状況に注目したい。
4. ESGへの取り組み
同社では、「豊かな生活空間の創造」を経営理念として掲げており、ESGにも積極的に取り組んでいる。社会(Social)では、学生支援への取り組みとして、「学生下宿年鑑2024 表紙デザインコンペ」を実施したほか、“学びのマンション”プロジェクトとして、学生マンションの入居者を対象とした野菜収穫イベントを開催し、いずれも学生が成長し知見を広げるための一助となっている。また、令和6年能登半島地震の被災者への支援として、実家が被災した入居者に対して、最大6ヶ月間、家賃2万円減額などを実施している。環境(Environment)では、低炭素型社会実現へ向けて、京都市を中心に取り組む「Release⇔Catchプロジェクト」に参画し、古着の回収などを行っている。ガバナンス(Governance)では、企業価値最大化に向けて、資本コストや株価を意識した経営の実現に向けた対応をしている。このように、同社グループは業績拡大を目指すだけでなく、ESGにも積極的に取り組んでいる。欧州投資家を中心に世界的に企業のESGへの取り組みを考慮した投資が拡大しており、我が国でも近年はESG投資が急拡大していることから、同社の取り組みが注目される。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 国重 希)
<AS>
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