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【IRアナリストレポート】TKP(ティーケーピー)(3479)

著者:鈴木 行生
投稿:2021/10/20 11:09

~フレキシブルオフィスの空間シェアリングで独自のビジネスモデルを展開~

【ポイント】
・最悪期を脱しつつある。今上期は、職域ワクチン接種センターの画期的な社会的貢献が、経済的にもプラスに働いた。下期は、コロナの第6波が予断を許さないということで、慎重な計画を立て、それに基づいて今期の会社計画を下方修正した。10月からのビジネスの動きはかなりいい方向にあるので、これは下限とみておきたい。

・河野社長は6月に2週間で「TKP職域ワクチンセンター」を立ち上げた。日本のワクチン接種を促進すべく、会場とオペレーションを提供した。8月末までに全国20施設、1500社以上の企業、延べ90万人の社員のワクチン接種をサポートした。ワクチン接種というコンテンツを乗せて、オペレーションを展開したのである。

・会場の無償提供から始めて、TKP職域ワクチンセンターの1人当たりサポートは有償とし、企業からは一定の収入(約15億円)が入った。TKPの法人会員が前提で、新たなネットワークも構築された。下期以降、ここから新規のビジネス機会も生まれてこよう。

・貸オフィスは安定しているが、貸会議室は新型コロナの影響を受けて、ビジネスモデルの再構築を迫られた。そこで、1)リアルとDXによるハイブリッドな利用を進めると共に、2)時間貸しから期間貸しへのシフトし、相互利用を図っている。「Work X Office」という新ブランドで、その転換を進めている。

・今後は、1)リスクシェア型のオフィスやワーケーション施設の開発、2)試験会場だけではない、自社開発の試験運営管理システム(「AOT」)を活用した国家資格試験の一括受注など、コンテンツサービスの開発、3)日経オフィスパス(加盟店300施設)とリージャス100施設が利用可能な日本経済新聞社との共同事業など、アライアンスを活かした新プラットフォームの開発などに注力していく。

・コロナショックの収束に向けて、十分な運転資金は確保している。2月から開始した新株予約権によるファイナンスでは、3ヵ年の権利行使期間で200億円前後の調達を想定している。20.8%の希薄化を招くが、それ以上の業績拡大は確実に実行できよう。その布石は着実に進展しており、中長期的に営業利益で100億円を目指すことは十分可能であろう。

目 次
1.特色 真似のできない空間再生で、シェアリングエコノミーを実践
2.強み フレキシブルオフィスの日本リージャスを買収、この分野でNo.1
3.中期経営方針 サテライトオフィスへの本格参入で、ビジネスモデルをさらに革新
4.当面の業績 コロナショックは十分克服できよう
5.企業評価 フレキシブルオフィスで圧倒的トップの基盤づくり

TKP(ティーケーピー) <3479>
企業レーティング
株価
(2021年10月19日)
1867円
時価総額 774億円
(41.48百万株)
PBR 1.93倍
ROE 2.5%
PER 76.5倍
配当利回り 0.0%
総資産 109033百万円
純資産 39567百万円
自己資本比率 34.6%
BPS 965.6円
(百万円、円)
決算期 売上高 営業利益 経常利益 当期純利益 EPS 配当
2015.2 14162 878 701 339 11.3 0
2016.2 17941 2004 1848 935 31.3 0
2017.2 21978 2694 2552 1352 45.2 0
2018.2 28689 3449 3200 2071 64.0 0
2019.2 35523 4289 4053 1893 58.1 0
2020.2 54343 6317 4752 1739 50.3 0
2021.2 43138 -2497 -2321 -3503 -93.2 0
2022.2(予) 43800 -1900 -2500 -3900 -98.3 0
2023.2(予) 51000 800 200 -800 -19.5 0
2024.2(予) 58000 3500 2800 1000 24.4 0

(2021.8ベース)

(注)ROE、PER、配当利回りは2024.2期予想ベース。EPSは1月公表の第三者割当新株予約権によるファイナンスで、2021.2期末比最大20.8%の希薄化がありうる。2015.2期より連結決算、それまでは単独決算。2017年1月に1:100の株式分割、2017年9月に1:7の株式分割を実施。それ以前のEPSは修正ベース。2020.2期2Qより日本リージャスを含む。
 
企業レーティングの定義:当該企業の、(1)経営者の経営力、(2)事業の成長力・持続力、(3)業績下方修正の可能性、という点から定性評価している。A:良好である、B:一定の努力を要する、C:相当の改善を要する、D:極めて厳しい局面にある、という4段階で示す。

レポート全文はこちらから
https://www.belletk.com/TKP202110.pdf
 

日本ベル投資研究所の過去レポートはこちらから

配信元: みんかぶ株式コラム
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