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ソーバルのニュース
■今後の見通し
3. 経営課題と取り組み状況
ソーバル<2186>は今後の成長に向けての経営課題として、人材採用・育成、PL/PMの育成、販路拡大(パートナーの活用)、多角的な収益構造の確立の4点を挙げ、その取り組みを継続して進めている。
(1) 人材採用
ソフトウェア業界における人材不足が慢性化するなかで、中途採用によるエンジニアの確保が難しいことから、同社は新卒採用を主軸とした有能な人材の確保とその育成に注力している。単独ベースでは毎年、年間約60名の新卒者を募集しており、2016年春は50名強、2017年春は49名、2018年春は47名を採用した。また、2019年春に関しては、現時点で40名の採用が決まっている。新卒採用方針としては、一定水準以上の質を確保することを優先して採用を行っている。採用環境は厳しいが、同社グループの知名度向上や事業内容のPR強化、インターンシップなどを通じた魅力のアピール等によって質の高い新卒者の採用に取り組んでいる。また、育成に関しては社内研修のほかOJTを行うことで早ければ入社3ヶ月後から、平均でも1年弱で売上に貢献するエンジニアに成長する。
(2) PL/PMの育成
受託開発業務を拡大していくうえで、PL/PMの育成も重要課題となってくる。新規案件の仕様策定や交渉能力を備えた人材を育成することで営業力が強化され、受託開発案件の受注獲得につながるためだ。また、プロジェクト管理能力を備えた人材を育成することによって、プロジェクトの生産性が向上するだけでなく、新たな受託開発案件の獲得につなげていくことが可能となる。このため、PL/PMの育成は中長期的な成長の鍵を握ることにもなる。現在のPM数は20数名程度、PL数はその2倍程度の体制となっているが、今後はこれら人員を多く育成することは当然のこととして、そのレベルを引き上げることで受託開発業務の受注拡大につなげていく考えで、2~3年後には受託開発業務の売上構成比を2018年2月期の50.4%から60%まで引き上げていくことを目指している。
(3) 販路拡大
同社は特定顧客依存からの脱却を図り、新規顧客(業種)の開拓を進めていくことで、業種ごとに発生する景気変動リスクを低減し、安定した収益構造の構築を目指している。販路拡大では、既存顧客にアプローチして新規案件を受注する方法が最も多いが、ここ数年はM&Aによる新規顧客の獲得や、大手SIerとの協業による販路開拓も順調に進んでいる。取引顧客数で見れば2015年2月期の119社から2019年2月期第2四半期時点では200社弱と2倍近くに拡大している。特に、大手SIerとの協業に関しては、単独で獲得が難しかった大型案件への参画も可能となっており、受託開発案件比率の上昇要因にもなっている。
(4) 新規分野への展開
同社は更なる成長を目指して行くため、新規分野への展開に注力している。前述したように自動運転分野やIoT分野が挙げられるが、その他にも医療、航空・宇宙、金融、ロボット分野への取り組みを強化していく方針となっている。
医療、航空・宇宙、金融、ロボット分野については業務提携やM&Aも活用しながら、効率的に事業展開を進めていく方針となっている。医療分野については眼底測定機器の付随アプリ開発や治験企業向けに統計解析ソフトの開発実績等があるが、今後はMR装置など医療機器の組み込みソフトウェアや関連システム領域への展開にも注力していきたい考えだ。また、主要顧客であるキヤノングループが2016年末に旧東芝メディカルシステムズ(株)を子会社化したことに伴い、医療機器分野の事業規模が2倍以上に拡大したことから、同グループ向けの受注獲得も期待される。従来もキヤノンの医療機器分野については、規模は小さいものの受注実績があり、同実績を切り口にして横展開していきたい考えだ。
金融分野については今まで実績がないため、業務提携やM&Aなどを活用した参入を模索している。また、M&Aの対象となる企業の条件としては、同社にない技術力を保有している、同社と異なる顧客層を持つ、受託開発(請負)を中心に事業を行っている等の企業が対象となり、EV/EBITDAベースで7倍程度までを目安に、社員のスキルなども勘案しながら、候補企業を精査していく方針となっている。現状は、M&Aコストが高騰しているため条件に適う案件はほとんどないが、M&Aのみならず有力企業との業務提携を模索するなど前向きに検討していく意向となっている。
これら新規分野の売上高は2019年2月期で5億円弱の見込みで、まだ全体に占める比率は10%以下だが、いずれも成長ポテンシャルは大きい分野であるだけに、今後の動向が注目される。
販路拡大・収益多角化戦略により、中期的に売上高100億円、営業利益率10%を目指す
4. 中期目標
同社は中期経営計画等を発表していないものの、早期に売上高100億円、営業利益率10%の達成を目指している。売上高100億円については既存事業での安定的な受注確保に加えて、前述した新規分野への展開によって数年以内に達成可能と思われる。一方、営業利益率10%の達成については受託開発業務の売上構成比上昇と、プロジェクト管理の強化による生産性向上を推進していくことで達成していく考えだ。また、IoTプラットフォームサービス事業が拡大し、ストック型ビジネスとして収益貢献し始めれば利益率向上につながるため、同サービスの今後の動向にも注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
<SF>
3. 経営課題と取り組み状況
ソーバル<2186>は今後の成長に向けての経営課題として、人材採用・育成、PL/PMの育成、販路拡大(パートナーの活用)、多角的な収益構造の確立の4点を挙げ、その取り組みを継続して進めている。
(1) 人材採用
ソフトウェア業界における人材不足が慢性化するなかで、中途採用によるエンジニアの確保が難しいことから、同社は新卒採用を主軸とした有能な人材の確保とその育成に注力している。単独ベースでは毎年、年間約60名の新卒者を募集しており、2016年春は50名強、2017年春は49名、2018年春は47名を採用した。また、2019年春に関しては、現時点で40名の採用が決まっている。新卒採用方針としては、一定水準以上の質を確保することを優先して採用を行っている。採用環境は厳しいが、同社グループの知名度向上や事業内容のPR強化、インターンシップなどを通じた魅力のアピール等によって質の高い新卒者の採用に取り組んでいる。また、育成に関しては社内研修のほかOJTを行うことで早ければ入社3ヶ月後から、平均でも1年弱で売上に貢献するエンジニアに成長する。
(2) PL/PMの育成
受託開発業務を拡大していくうえで、PL/PMの育成も重要課題となってくる。新規案件の仕様策定や交渉能力を備えた人材を育成することで営業力が強化され、受託開発案件の受注獲得につながるためだ。また、プロジェクト管理能力を備えた人材を育成することによって、プロジェクトの生産性が向上するだけでなく、新たな受託開発案件の獲得につなげていくことが可能となる。このため、PL/PMの育成は中長期的な成長の鍵を握ることにもなる。現在のPM数は20数名程度、PL数はその2倍程度の体制となっているが、今後はこれら人員を多く育成することは当然のこととして、そのレベルを引き上げることで受託開発業務の受注拡大につなげていく考えで、2~3年後には受託開発業務の売上構成比を2018年2月期の50.4%から60%まで引き上げていくことを目指している。
(3) 販路拡大
同社は特定顧客依存からの脱却を図り、新規顧客(業種)の開拓を進めていくことで、業種ごとに発生する景気変動リスクを低減し、安定した収益構造の構築を目指している。販路拡大では、既存顧客にアプローチして新規案件を受注する方法が最も多いが、ここ数年はM&Aによる新規顧客の獲得や、大手SIerとの協業による販路開拓も順調に進んでいる。取引顧客数で見れば2015年2月期の119社から2019年2月期第2四半期時点では200社弱と2倍近くに拡大している。特に、大手SIerとの協業に関しては、単独で獲得が難しかった大型案件への参画も可能となっており、受託開発案件比率の上昇要因にもなっている。
(4) 新規分野への展開
同社は更なる成長を目指して行くため、新規分野への展開に注力している。前述したように自動運転分野やIoT分野が挙げられるが、その他にも医療、航空・宇宙、金融、ロボット分野への取り組みを強化していく方針となっている。
医療、航空・宇宙、金融、ロボット分野については業務提携やM&Aも活用しながら、効率的に事業展開を進めていく方針となっている。医療分野については眼底測定機器の付随アプリ開発や治験企業向けに統計解析ソフトの開発実績等があるが、今後はMR装置など医療機器の組み込みソフトウェアや関連システム領域への展開にも注力していきたい考えだ。また、主要顧客であるキヤノングループが2016年末に旧東芝メディカルシステムズ(株)を子会社化したことに伴い、医療機器分野の事業規模が2倍以上に拡大したことから、同グループ向けの受注獲得も期待される。従来もキヤノンの医療機器分野については、規模は小さいものの受注実績があり、同実績を切り口にして横展開していきたい考えだ。
金融分野については今まで実績がないため、業務提携やM&Aなどを活用した参入を模索している。また、M&Aの対象となる企業の条件としては、同社にない技術力を保有している、同社と異なる顧客層を持つ、受託開発(請負)を中心に事業を行っている等の企業が対象となり、EV/EBITDAベースで7倍程度までを目安に、社員のスキルなども勘案しながら、候補企業を精査していく方針となっている。現状は、M&Aコストが高騰しているため条件に適う案件はほとんどないが、M&Aのみならず有力企業との業務提携を模索するなど前向きに検討していく意向となっている。
これら新規分野の売上高は2019年2月期で5億円弱の見込みで、まだ全体に占める比率は10%以下だが、いずれも成長ポテンシャルは大きい分野であるだけに、今後の動向が注目される。
販路拡大・収益多角化戦略により、中期的に売上高100億円、営業利益率10%を目指す
4. 中期目標
同社は中期経営計画等を発表していないものの、早期に売上高100億円、営業利益率10%の達成を目指している。売上高100億円については既存事業での安定的な受注確保に加えて、前述した新規分野への展開によって数年以内に達成可能と思われる。一方、営業利益率10%の達成については受託開発業務の売上構成比上昇と、プロジェクト管理の強化による生産性向上を推進していくことで達成していく考えだ。また、IoTプラットフォームサービス事業が拡大し、ストック型ビジネスとして収益貢献し始めれば利益率向上につながるため、同サービスの今後の動向にも注目したい。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 佐藤 譲)
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