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鹿島のニュース
自動吹付け技術と建込みガイダンスシステムにより安全性と生産性を向上
鹿島(社長:天野裕正)は、次世代の山岳トンネル自動化施工システム「A⁴CSEL for Tunnel」(クワッドアクセル・フォー・トンネル)の開発を進めています。このたび、施工ステップの一つである吹付け作業において、2ノズル吹付け機の自動化に成功しました。これは、2023年1月に確立した1ノズルによる「自動吹付けシステム」と、エレクタ(把持装置)付き2ノズル吹付け機を組み合わせることで実現したものです。これにより、従来2名の技能者が操作していた2つのノズルを使った吹付け作業を、キャビン(操作室)内のオペレータ1名で行うことが可能になります。また、作業時間が半減するため生産性が飛躍的に向上します。 さらに、本システムで培ったノウハウを支保工の建込み作業に応用した「建込みガイダンスシステム」を開発しました。これをエレクタ付き2ノズル吹付け機と組み合わせて施工した結果、人が切羽近傍に立ち入ることなく、遠隔で支保工の建て込みができることを確認しました。これにより、肌落ち※等のリスクがある切羽直下での作業が皆無となるため、安全性が飛躍的に向上します。
※ 掘削された表面の土砂や岩などがはがれ落ちること
開発の背景
建設業界では、「熟練技能者不足」、「高い労働災害の発生率」、「低い生産性」が喫緊の課題であり、山岳トンネル工事も例外ではありません。
そこで当社は、これらの課題解決に向けて「A⁴CSEL for Tunnel」の開発を進めています。これは、山岳トンネル工事の掘削作業を6つの施工ステップ(1)穿孔 (2)装薬・発破 (3)ずり出し (4)アタリ取り (5)吹付け (6)ロックボルト打設 に分け、各ステップで使用する重機を自動化し、それらを一元管理する次世代の建設生産システムです。
このうち、(5)吹付けについては、2023年1月に神岡試験坑道(岐阜県飛騨市)において、複雑な凹凸を有する岩盤面に対して、支保工間の吹付け仕上がり精度±20mmという高精度で平滑にコンクリートを自動で吹き付ける技術を実証しました。その結果、精度・品質面では所期の成果を得られたものの、作業時間のさらなる短縮という課題が残りました。
また、吹付けと同時に行う支保工の建込みは切羽近傍での作業となり、肌落ち災害のリスクがありました。そのため、人が切羽近傍に立ち入らずに支保工を建て込める機械化・遠隔化技術が求められていました。
2ノズル自動吹付けシステムの概要と成果
「自動吹付けシステム」は、吹付け前のスキャニングによる切羽形状の測定結果をもとに、平滑な仕上がり面を確保するための最適な吹付けパターンを決定する吹付け計画と、機械が計画通りに作業を行うための制御プログラムから構成されます。
本システムに、エレクタによるノズルの可動範囲制限を加えることで、左右のノズルがそれぞれの吹付け動作を効率的に行うようにプログラムを改良しました。さらに、自動吹付け作業中はエレクタおよび左右ノズルのブーム挙動を監視し衝突を防ぐ衝突防止機能のほか、左右のノズルが接近すると、互いに可動速度を調整し合う競合防止機能を実装しています。
その結果、オペレータ1名で2つのノズルを使った効率的な吹付け作業が可能になり、自動吹付け能力48m3/hを実現しました。これにより、吹付け作業時間を従来の1ノズル自動吹付けと比べて約50%短縮できることを実証しました。
建込みガイダンスシステムの概要と成果
「建込みガイダンスシステム」は、支保工の建込み目標位置に対するエレクタブームの目標姿勢(関節角度やブーム伸縮量など)を計算し、その計算結果に基づいてエレクタを遠隔操作することで、所定位置への支保工の建込みを実現したシステムです。
本システムに加え、天端継手締結用のワンタッチジョイントと固定用アンカーをあらかじめ設置した専用の支保工を使用することで、従来、オペレータ2名と切羽近傍で作業する技能者3~4名が必要だった支保工の建込みを、オペレータ1名でできることを実証しました。これにより、支保工の建込みの大幅な省人化と安全性の飛躍的な向上が見込めます。
今後の展開
今後は、「自動吹付けシステム」を搭載した2ノズル吹付け機のさらなる改良を図り、同機の山岳トンネル工事への展開を図っていきます。
鹿島は引き続き、山岳トンネル工事の掘削作業における安全性および生産性向上を目指して、6つの施工ステップの自動化に向けた技術開発を進めてまいります。
神岡試験坑道 工事概要
場所: 岐阜県飛騨市神岡町
諸元: トンネル掘削延長:321.3m 掘削断面積:アプローチ部43.9m2、自動化施工試験部73.5m2
(参考)
動画でみる鹿島の土木技術 「山岳トンネル」
https://www.kajima.co.jp/tech/c_movies/index.html#anc_mountain_tunnel
2ノズル吹付け機(ツインショット工法)の開発と展開
(2012年12月20日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/201212/20c1-j.htm
山岳トンネル工事を対象とした自動化施工システム「A⁴CSEL for Tunnel」の開発
(2021年6月30日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202106/30c1-j.htm
吹付けコンクリートの自動化を初めて実トンネルで実現
(2023年1月12日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202301/12c1-j.htm
鹿島(社長:天野裕正)は、次世代の山岳トンネル自動化施工システム「A⁴CSEL for Tunnel」(クワッドアクセル・フォー・トンネル)の開発を進めています。このたび、施工ステップの一つである吹付け作業において、2ノズル吹付け機の自動化に成功しました。これは、2023年1月に確立した1ノズルによる「自動吹付けシステム」と、エレクタ(把持装置)付き2ノズル吹付け機を組み合わせることで実現したものです。これにより、従来2名の技能者が操作していた2つのノズルを使った吹付け作業を、キャビン(操作室)内のオペレータ1名で行うことが可能になります。また、作業時間が半減するため生産性が飛躍的に向上します。 さらに、本システムで培ったノウハウを支保工の建込み作業に応用した「建込みガイダンスシステム」を開発しました。これをエレクタ付き2ノズル吹付け機と組み合わせて施工した結果、人が切羽近傍に立ち入ることなく、遠隔で支保工の建て込みができることを確認しました。これにより、肌落ち※等のリスクがある切羽直下での作業が皆無となるため、安全性が飛躍的に向上します。
※ 掘削された表面の土砂や岩などがはがれ落ちること
開発の背景
建設業界では、「熟練技能者不足」、「高い労働災害の発生率」、「低い生産性」が喫緊の課題であり、山岳トンネル工事も例外ではありません。
そこで当社は、これらの課題解決に向けて「A⁴CSEL for Tunnel」の開発を進めています。これは、山岳トンネル工事の掘削作業を6つの施工ステップ(1)穿孔 (2)装薬・発破 (3)ずり出し (4)アタリ取り (5)吹付け (6)ロックボルト打設 に分け、各ステップで使用する重機を自動化し、それらを一元管理する次世代の建設生産システムです。
このうち、(5)吹付けについては、2023年1月に神岡試験坑道(岐阜県飛騨市)において、複雑な凹凸を有する岩盤面に対して、支保工間の吹付け仕上がり精度±20mmという高精度で平滑にコンクリートを自動で吹き付ける技術を実証しました。その結果、精度・品質面では所期の成果を得られたものの、作業時間のさらなる短縮という課題が残りました。
また、吹付けと同時に行う支保工の建込みは切羽近傍での作業となり、肌落ち災害のリスクがありました。そのため、人が切羽近傍に立ち入らずに支保工を建て込める機械化・遠隔化技術が求められていました。
2ノズル自動吹付けシステムの概要と成果
「自動吹付けシステム」は、吹付け前のスキャニングによる切羽形状の測定結果をもとに、平滑な仕上がり面を確保するための最適な吹付けパターンを決定する吹付け計画と、機械が計画通りに作業を行うための制御プログラムから構成されます。
本システムに、エレクタによるノズルの可動範囲制限を加えることで、左右のノズルがそれぞれの吹付け動作を効率的に行うようにプログラムを改良しました。さらに、自動吹付け作業中はエレクタおよび左右ノズルのブーム挙動を監視し衝突を防ぐ衝突防止機能のほか、左右のノズルが接近すると、互いに可動速度を調整し合う競合防止機能を実装しています。
その結果、オペレータ1名で2つのノズルを使った効率的な吹付け作業が可能になり、自動吹付け能力48m3/hを実現しました。これにより、吹付け作業時間を従来の1ノズル自動吹付けと比べて約50%短縮できることを実証しました。
建込みガイダンスシステムの概要と成果
「建込みガイダンスシステム」は、支保工の建込み目標位置に対するエレクタブームの目標姿勢(関節角度やブーム伸縮量など)を計算し、その計算結果に基づいてエレクタを遠隔操作することで、所定位置への支保工の建込みを実現したシステムです。
本システムに加え、天端継手締結用のワンタッチジョイントと固定用アンカーをあらかじめ設置した専用の支保工を使用することで、従来、オペレータ2名と切羽近傍で作業する技能者3~4名が必要だった支保工の建込みを、オペレータ1名でできることを実証しました。これにより、支保工の建込みの大幅な省人化と安全性の飛躍的な向上が見込めます。
今後の展開
今後は、「自動吹付けシステム」を搭載した2ノズル吹付け機のさらなる改良を図り、同機の山岳トンネル工事への展開を図っていきます。
鹿島は引き続き、山岳トンネル工事の掘削作業における安全性および生産性向上を目指して、6つの施工ステップの自動化に向けた技術開発を進めてまいります。
神岡試験坑道 工事概要
場所: 岐阜県飛騨市神岡町
諸元: トンネル掘削延長:321.3m 掘削断面積:アプローチ部43.9m2、自動化施工試験部73.5m2
(参考)
動画でみる鹿島の土木技術 「山岳トンネル」
https://www.kajima.co.jp/tech/c_movies/index.html#anc_mountain_tunnel
2ノズル吹付け機(ツインショット工法)の開発と展開
(2012年12月20日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/201212/20c1-j.htm
山岳トンネル工事を対象とした自動化施工システム「A⁴CSEL for Tunnel」の開発
(2021年6月30日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202106/30c1-j.htm
吹付けコンクリートの自動化を初めて実トンネルで実現
(2023年1月12日プレスリリース)
https://www.kajima.co.jp/news/press/202301/12c1-j.htm
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