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日本電技のニュース
■会社概要
1. 会社概要
日本電技<1723>は、オフィスビルを始め、ホテル、病院、工場など大型の非居住用建築物を対象に空調設備を自動制御する空調計装(ビルディングオートメーション)の分野、及び工場の生産ラインや搬送ラインの自動化といった産業計装(インダストリーオートメーション)の分野において、設計から施工、メンテナンスまでを手掛ける「計装エンジニアリング専業企業」である。特に主力の空調計装は、自動制御機器大手であるアズビルの最大手特約店として、また業界の草分け的な存在として、豊富な実績とノウハウを誇っている。さらに、業界をリードする高いエンジニアリング技術を持っていることから、「計装エンジニアリング専業企業」としての強みも発揮している。なお、計装エンジニアリングによって建物の快適性や生産の効率性を支えることは、省エネ化を通じて地球環境に貢献していると言うことができるため、同社の事業そのものがESGの観点からも評価できると言える。
同社は、空調計装のノウハウをベースに産業計装の事業領域にも参入しているが、その強化拡大に向けて、2020年4月に食品工場向け生産管理システムの構築を行うジュピターアドバンスシステムズを連結子会社化した。計装のみならずシステム開発まで含めて顧客ニーズに対応していこうという考えである。このため、2021年3月期第1四半期より「産業計装関連事業」から「産業システム関連事業」にセグメント名称を変更した。また、2021年3月期第1四半期より四半期連結財務諸表を作成することになり、同社の決算短信では2020年3月期第2四半期の数値及び対前年同期比増減率を記載していない。しかし弊社は、ジュピターアドバンスシステムズの売上高、営業利益の規模が同社に比して大きくないことから、2020年3月期第2四半期の数値及び対前年同期比増減率について記載することにした。なお同時期に、自動制御工事の設計を手掛けるNDテック(株)を設立したが、こちらは非連結である。
計装専業がゆえに培われたエンジニアリング技術
2. 沿革
山武計器(株)(現アズビル)が、1952年に米国有数の制御機器メーカーであるハネウェルと資本提携契約を締結、国内で空調制御機器の輸入販売を開始した。しかし、計装機器を据え付ける計装工事会社が世の中にほとんどなかったことから、島田七良氏ほか当時の同社創業メンバーは、空調計装事業の発展を確信して同社を設立、「エレクトリック技術で日本一を目指す」という志を込めて日本電技株式会社と名付けた。このようにして同社は、1959年に空調自動制御の設計から施工、調整、保守までを一貫して行う、日本初の空調計装専業企業としてスタートした。以来、同社は、アズビルと協働して3大都市圏を足場に空調計装業界をリードするとともに、計装専業がゆえに培うことができたエンジニアリング能力を空調以外の計装分野に展開、業容を拡大しているところである。
空調計装はアズビル特約店で7割以上のシェア、産業計装は未開拓
3. 市場環境
ビル空調は、個別空調とセントラル空調に分けられる。個別空調は、例えば雑居ビルのように1室ずつエアコンを置いて管理する手法で、ダイキン工業<6367>や日立製作所<6501>などのメーカーが中心プレイヤーである。セントラル空調は、ビル全体の空調を建物の特定箇所で一元管理(中央監視)する方法で、大掛かりになるため空調機器メーカーとシステム開発業者、同社のような空調をコントロールする空調計装企業の3者が一体となってバリューチェーンを形成している。個別空調は比較的小さなビルやホテルなどの小部屋を得意とし、セントラル空調は中~大型のビルやロビーなど大空間を得意とする。空調計装の市場規模は1,660億円と言われ、その7割以上をアズビルと同社を含むアズビル特約店が占めている。このため空調計装は、事実上、アズビル製の機器が業界スタンダードとなっている。また、アズビル特約店の中で、同社は唯一エンジニアリング部門を有する専業企業というポジションにあり、自他ともに認める高い技術力を有している。
空調計装の市場は、ビルや工場などの建設時に売上の立つ新設工事と、その後のメンテナンスやリニューアル工事など年々収益が積み上がる既設工事の2つに大別できる。近年の傾向として、建物の個別の仕様・用途に合わせた空調設備の導入が求められるようになり、案件それぞれにカスタマイズできる技術力も必要である。例えば、病院の空調計装は精度に厳しく、温度管理はもちろん空気清浄と院内感染防止の観点から適切な湿度管理が要求される。特に、手術室には厳しい空調の基準が設けられており、換気差圧を利用して空気の清浄性を高める空調制御などが必要とされる。このほか、研究施設やクリーンルーム、美術館など、空調制御の技術が利用されている施設は数多い。ちなみに、収益性は新設工事に比べると既設工事の方が高く、元請となった場合さらに条件が良いようだが、東京オリンピック~都心再開発に向けた建設ラッシュを機に新設工事の採算も改善している模様である。
工場のラインの自動化をコントロールする産業計装は、市場としてはファクトリーオートメーション業界に位置する。製造工場は、人手不足やコスト削減の対応として、工場の自動化が普及しつつある。しかし、食品・薬品・化粧品の三品産業は、他産業と比較して人手作業に依存する現場が多く、人手不足が深刻化しているため、自動化の余地は大きい。特に、食品製造業では、製造業の中で最も従事者数が多く、人手に頼っている割合が高い。その打開策として、自動化や機械化への関心が高まっている。効率化が進まない中小零細企業の食品工場では、工場の自動化を手掛ける会社を必要としている企業は多くあると考える。同社はこうした市場を開拓しており、ジュピターアドバンスシステムズの子会社化を機にシステム開発も同時に請け負うようになった。「産業システム関連事業」への事業名称の変更は、このように同社にとって非常に大きな意義があるということになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 会社概要
日本電技<1723>は、オフィスビルを始め、ホテル、病院、工場など大型の非居住用建築物を対象に空調設備を自動制御する空調計装(ビルディングオートメーション)の分野、及び工場の生産ラインや搬送ラインの自動化といった産業計装(インダストリーオートメーション)の分野において、設計から施工、メンテナンスまでを手掛ける「計装エンジニアリング専業企業」である。特に主力の空調計装は、自動制御機器大手であるアズビルの最大手特約店として、また業界の草分け的な存在として、豊富な実績とノウハウを誇っている。さらに、業界をリードする高いエンジニアリング技術を持っていることから、「計装エンジニアリング専業企業」としての強みも発揮している。なお、計装エンジニアリングによって建物の快適性や生産の効率性を支えることは、省エネ化を通じて地球環境に貢献していると言うことができるため、同社の事業そのものがESGの観点からも評価できると言える。
同社は、空調計装のノウハウをベースに産業計装の事業領域にも参入しているが、その強化拡大に向けて、2020年4月に食品工場向け生産管理システムの構築を行うジュピターアドバンスシステムズを連結子会社化した。計装のみならずシステム開発まで含めて顧客ニーズに対応していこうという考えである。このため、2021年3月期第1四半期より「産業計装関連事業」から「産業システム関連事業」にセグメント名称を変更した。また、2021年3月期第1四半期より四半期連結財務諸表を作成することになり、同社の決算短信では2020年3月期第2四半期の数値及び対前年同期比増減率を記載していない。しかし弊社は、ジュピターアドバンスシステムズの売上高、営業利益の規模が同社に比して大きくないことから、2020年3月期第2四半期の数値及び対前年同期比増減率について記載することにした。なお同時期に、自動制御工事の設計を手掛けるNDテック(株)を設立したが、こちらは非連結である。
計装専業がゆえに培われたエンジニアリング技術
2. 沿革
山武計器(株)(現アズビル)が、1952年に米国有数の制御機器メーカーであるハネウェル
空調計装はアズビル特約店で7割以上のシェア、産業計装は未開拓
3. 市場環境
ビル空調は、個別空調とセントラル空調に分けられる。個別空調は、例えば雑居ビルのように1室ずつエアコンを置いて管理する手法で、ダイキン工業<6367>や日立製作所<6501>などのメーカーが中心プレイヤーである。セントラル空調は、ビル全体の空調を建物の特定箇所で一元管理(中央監視)する方法で、大掛かりになるため空調機器メーカーとシステム開発業者、同社のような空調をコントロールする空調計装企業の3者が一体となってバリューチェーンを形成している。個別空調は比較的小さなビルやホテルなどの小部屋を得意とし、セントラル空調は中~大型のビルやロビーなど大空間を得意とする。空調計装の市場規模は1,660億円と言われ、その7割以上をアズビルと同社を含むアズビル特約店が占めている。このため空調計装は、事実上、アズビル製の機器が業界スタンダードとなっている。また、アズビル特約店の中で、同社は唯一エンジニアリング部門を有する専業企業というポジションにあり、自他ともに認める高い技術力を有している。
空調計装の市場は、ビルや工場などの建設時に売上の立つ新設工事と、その後のメンテナンスやリニューアル工事など年々収益が積み上がる既設工事の2つに大別できる。近年の傾向として、建物の個別の仕様・用途に合わせた空調設備の導入が求められるようになり、案件それぞれにカスタマイズできる技術力も必要である。例えば、病院の空調計装は精度に厳しく、温度管理はもちろん空気清浄と院内感染防止の観点から適切な湿度管理が要求される。特に、手術室には厳しい空調の基準が設けられており、換気差圧を利用して空気の清浄性を高める空調制御などが必要とされる。このほか、研究施設やクリーンルーム、美術館など、空調制御の技術が利用されている施設は数多い。ちなみに、収益性は新設工事に比べると既設工事の方が高く、元請となった場合さらに条件が良いようだが、東京オリンピック~都心再開発に向けた建設ラッシュを機に新設工事の採算も改善している模様である。
工場のラインの自動化をコントロールする産業計装は、市場としてはファクトリーオートメーション業界に位置する。製造工場は、人手不足やコスト削減の対応として、工場の自動化が普及しつつある。しかし、食品・薬品・化粧品の三品産業は、他産業と比較して人手作業に依存する現場が多く、人手不足が深刻化しているため、自動化の余地は大きい。特に、食品製造業では、製造業の中で最も従事者数が多く、人手に頼っている割合が高い。その打開策として、自動化や機械化への関心が高まっている。効率化が進まない中小零細企業の食品工場では、工場の自動化を手掛ける会社を必要としている企業は多くあると考える。同社はこうした市場を開拓しており、ジュピターアドバンスシステムズの子会社化を機にシステム開発も同時に請け負うようになった。「産業システム関連事業」への事業名称の変更は、このように同社にとって非常に大きな意義があるということになる。
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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