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日本電技のニュース
■要約
1. 豊富な経験と独自のエンジニアリング技術が強み
日本電技<1723>は「計装※エンジニアリング専業企業」である。オフィスビルやホテルなど非居住用建築物を対象に、空調設備を自動制御する空調計装(ビルディングオートメーション)という事業を展開している。1,660億円規模と言われる空調計装の市場で、自動制御機器大手であるアズビル<6845>の最大手特約店として、また業界の草分け的な存在として、豊富な経験と専業として培った独自のエンジニアリング技術を誇っている。また、工場の生産ラインや搬送ラインを自動化する産業計装(インダストリーオートメーション)という分野にも進出、ラインの設計からシステム開発、施工、メンテナンスまでを手掛けている。このように同社は、計装という分野でエンジニアリング技術を併せ持つ専業として強みを如何なく発揮している。
※計装(Instrumentation):ビルや工場などにおいて、空調や生産ラインなどの各種設備・機械装置を、計測・監視・制御の手法によって有機的に機能させること。
2. ジュピターアドバンスシステムズの設立などによりシステム開発力を強化
主力の空調計装関連事業では、現在、都心再開発などによる建設ラッシュを背景に、高水準の案件数をこなしているところである。一方、将来の事業の核として強化拡大中の産業システム関連事業(旧産業計装関連事業)では、食品工場向けに生産管理システムの構築を行う子会社ジュピターアドバンスシステムズ(株)を設立した。エンジニアリング企業として、計装のみならずシステム開発まで含めて顧客ニーズに対応し、効率化が進まない中小零細企業が多い食品工場の自動化を支援していく考えである。さらに、単なるシステム開発にとどまらず、AIやIoT、クラウドといった最新技術を計装に取り込むことで、次世代の空調計装「Building IoT」や産業計装「Industrial IoT」に向けて技術を創出し、「計装エンジニアリング」企業として新たな高付加価値サービスの提供を目指している。
3.コロナ禍にもかかわらず、2021年3月期業績予想を上方修正
2021年3月期第2四半期の業績※は、受注高20,662百万円(前年同期比12.7%増)、売上高12,113百万円(同11.4%増)、営業利益779百万円(同8.5%減)となった。空調計装関連事業は事務所やデータセンター向け物件などが増加、産業システム関連事業では地域冷暖房関連設備の計装工事や設備工事が順調に推移した。当初は新型コロナウイルスの影響を懸念して、工事現場の閉鎖など厳しい想定をしていたが、さほどの事態には陥らず、むしろ回復は順調と言うことができる。これを受け同社は、2021年3月期の業績見通しに関して、売上高32,000百万円(同2.2%増)、営業利益4,200百万円(同5.1%減)と上方修正をした。しかし、期中受注・期中利益に寄与する案件など引き続き下期も保守的に見ていることから、弊社では再上方修正する可能性は小さくないと考えている。
※同社の決算短信では2020年3月期第2四半期の数値及び対前年同期比増減率を記載していないが、連単差が大きくないことから、弊社では2020年3月期第2四半期の対前年同期比増減率について記載した。
4. 人員強化、産業システム関連事業の育成で広がる中長期成長イメージ
同社は中期経営計画で2021年3月期に営業利益3,500百万円を目指していたが、業績好調により2020年3月期に1年前倒しで達成、新型コロナウイルスの渦中となる2021年3月期も目標利益をクリアする勢いである。しかしこのことは、強い需要に対してキャパシティ不足であるという課題も示唆していると思われる。このため、同社は人材強化に乗り出している。これで中期的に増加が予想される都心再開発案件の獲得増につながることが期待され、ここ数年300億円前後にとどまっていた売上高も、中期的に350億円程度にまで拡大する可能性が高まったということができる。長期的には空調計装は、既設工事の積み上がりは期待できるものの、少子高齢化などから新設工事の鈍化が予測されている。これに対して同社は、国内で最も工場数および稼働人員が多く、機械化が遅れている食品工場をマーケット対象として捉え、同社の計装技術を用いた製造設備等の自動化とジュピターアドバンスシステムズの生産管理システムを融合させ、食品製造事業のデジタル化を中長期的な成長戦略事業の軸とし、産業システム関連事業を育成することで、グループ全体の拡大を図る考えである。
■Key Points
・計装分野でエンジニアリング技術を併せ持つ専業の強みを発揮
・コロナ禍にありながら2021年3月期業績見通しを上方修正
・人材強化及び産業システム関連事業の育成による中長期成長に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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1. 豊富な経験と独自のエンジニアリング技術が強み
日本電技<1723>は「計装※エンジニアリング専業企業」である。オフィスビルやホテルなど非居住用建築物を対象に、空調設備を自動制御する空調計装(ビルディングオートメーション)という事業を展開している。1,660億円規模と言われる空調計装の市場で、自動制御機器大手であるアズビル<6845>の最大手特約店として、また業界の草分け的な存在として、豊富な経験と専業として培った独自のエンジニアリング技術を誇っている。また、工場の生産ラインや搬送ラインを自動化する産業計装(インダストリーオートメーション)という分野にも進出、ラインの設計からシステム開発、施工、メンテナンスまでを手掛けている。このように同社は、計装という分野でエンジニアリング技術を併せ持つ専業として強みを如何なく発揮している。
※計装(Instrumentation):ビルや工場などにおいて、空調や生産ラインなどの各種設備・機械装置を、計測・監視・制御の手法によって有機的に機能させること。
2. ジュピターアドバンスシステムズの設立などによりシステム開発力を強化
主力の空調計装関連事業では、現在、都心再開発などによる建設ラッシュを背景に、高水準の案件数をこなしているところである。一方、将来の事業の核として強化拡大中の産業システム関連事業(旧産業計装関連事業)では、食品工場向けに生産管理システムの構築を行う子会社ジュピターアドバンスシステムズ(株)を設立した。エンジニアリング企業として、計装のみならずシステム開発まで含めて顧客ニーズに対応し、効率化が進まない中小零細企業が多い食品工場の自動化を支援していく考えである。さらに、単なるシステム開発にとどまらず、AIやIoT、クラウドといった最新技術を計装に取り込むことで、次世代の空調計装「Building IoT」や産業計装「Industrial IoT」に向けて技術を創出し、「計装エンジニアリング」企業として新たな高付加価値サービスの提供を目指している。
3.コロナ禍にもかかわらず、2021年3月期業績予想を上方修正
2021年3月期第2四半期の業績※は、受注高20,662百万円(前年同期比12.7%増)、売上高12,113百万円(同11.4%増)、営業利益779百万円(同8.5%減)となった。空調計装関連事業は事務所やデータセンター向け物件などが増加、産業システム関連事業では地域冷暖房関連設備の計装工事や設備工事が順調に推移した。当初は新型コロナウイルスの影響を懸念して、工事現場の閉鎖など厳しい想定をしていたが、さほどの事態には陥らず、むしろ回復は順調と言うことができる。これを受け同社は、2021年3月期の業績見通しに関して、売上高32,000百万円(同2.2%増)、営業利益4,200百万円(同5.1%減)と上方修正をした。しかし、期中受注・期中利益に寄与する案件など引き続き下期も保守的に見ていることから、弊社では再上方修正する可能性は小さくないと考えている。
※同社の決算短信では2020年3月期第2四半期の数値及び対前年同期比増減率を記載していないが、連単差が大きくないことから、弊社では2020年3月期第2四半期の対前年同期比増減率について記載した。
4. 人員強化、産業システム関連事業の育成で広がる中長期成長イメージ
同社は中期経営計画で2021年3月期に営業利益3,500百万円を目指していたが、業績好調により2020年3月期に1年前倒しで達成、新型コロナウイルスの渦中となる2021年3月期も目標利益をクリアする勢いである。しかしこのことは、強い需要に対してキャパシティ不足であるという課題も示唆していると思われる。このため、同社は人材強化に乗り出している。これで中期的に増加が予想される都心再開発案件の獲得増につながることが期待され、ここ数年300億円前後にとどまっていた売上高も、中期的に350億円程度にまで拡大する可能性が高まったということができる。長期的には空調計装は、既設工事の積み上がりは期待できるものの、少子高齢化などから新設工事の鈍化が予測されている。これに対して同社は、国内で最も工場数および稼働人員が多く、機械化が遅れている食品工場をマーケット対象として捉え、同社の計装技術を用いた製造設備等の自動化とジュピターアドバンスシステムズの生産管理システムを融合させ、食品製造事業のデジタル化を中長期的な成長戦略事業の軸とし、産業システム関連事業を育成することで、グループ全体の拡大を図る考えである。
■Key Points
・計装分野でエンジニアリング技術を併せ持つ専業の強みを発揮
・コロナ禍にありながら2021年3月期業績見通しを上方修正
・人材強化及び産業システム関連事業の育成による中長期成長に期待
(執筆:フィスコ客員アナリスト 宮田仁光)
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