急反発で底入れ機運、FOMC通過で続伸へ

著者:冨田康夫
投稿:2015/12/16 20:09

明日の東京株式市場見通し

 17日の東京株式市場は、日本時間同日未明に発表される米連邦公開市場委員会(FOMC)での内容が反映されることになる。米金利上昇スタートは、既に確実視されている。関心はイエレン議長が発表後の会見で、今後の利上げペースについてどの程度言及するかに集まっている。

 市場関係者からは「16日の米株式市場が、FOMCでの利上げスタートを“イベント通過”と判断して堅調な推移となれば、東京株式市場も続伸が予想される」としている。テクニカル面では、きょうの大幅な反発により、きのう割り込んだばかりの75日移動平均線(1万8753円=16日)や5日移動平均線(1万8955円)を奪回しており、目先的な底入れの可能性が浮上している。

16日の動意株

 日本エム・ディ・エム<7600>=急幅反発。
12月に入り株価は急速な調整を強いられていたが、中期波動では26週移動平均線をサポートラインに上昇トレンドが維持されている。短期的には前日時点で25日移動平均線とのマイナスカイ離が9.7%に広がっており、値ごろ感からの買いが流入した。

 フィールズ<2767>=大幅反発。
同社は15日、カードバトルRPG「ガーディアンズ・ヴァイオレーション」Android版およびiOS版の配信を開始したと発表。11月24日から開始した事前登録は8万件を突破しており、期待材料となっているようだ。また、同日にはAndroid/iOS端末向け跳弾バトルRPG「アニマル×モンスター」の大型アップデートを実施したことも明らかにしている。

 ブイキューブ<3681>=後場一段高。
同社は午後0時10分ごろ、同社の中国子会社が、同国大手英語教育事業者の韋博國際英語(ウェイボー社)が新規にサービス展開するオンライン教育のインフラとして、「V-CUBE」を来年1月から提供すると発表しており、業績への寄与を期待した買いが入っている。ウェイボー社は、中国国内の50都市以上で150以上の教室を運営し、30万人以上の生徒の英会話教育サービスを提供する企業。その法人サービスは、レノボやロレアルなど世界的企業でも利用されている。今回、「V-CUBE」がオンライン教育のインフラに採用されたのは、高い接続性や教育事業に特化したカスタマイズ開発への対応、拡張性などが評価されたためとしている。

 一休<2450>=ストップ高。
ヤフー<4689>が15日の取引終了後、同社の完全子会社化を目指してTOBを実施すると発表しており、TOB価格の3433円にサヤ寄せする格好となっている。買付予定数は2923万8300株(下限は1949万2200株)で、買付期間は12月16日から来年2月3日まで。なお、TOB成立後、一休は所定の手続きを経て上場廃止となる。なお、東京証券取引所では、15日から一休株式を監理銘柄(確認中)に指定した。

 神戸物産<3038>=急伸。
同社は15日の取引終了後、16年10月期の連結業績予想を発表。売上高は2430億円(前期比6.3%増)、営業利益は90億円(同32.3%増)、純利益は53億円(同28.9%増)と大幅な増益を見込んでおり、これを好感する動き。業務スーパー事業では44店舗の出店を行い15年10月期は売上高2285億9000万円(前の期比6.8%増)、営業利益68億100万円(同31.3%増)、純利益41億1200万円(同58.1%増)と大幅な増益を達成している。今期も積極的にM&Aを行い、原材料の調達からオリジナル商品の開発、販売までを一貫して行い更なる業績拡大を目指す方針。

 フュートレック<2468>=急伸。
同社とグループ会社のATR-Trekは15日、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)が公募した「国際研究開発・実証プロジェクト/コファンド事業/日本―イスラエル研究開発協力事業」の委託先に採択されたと発表。これが材料視されているようだ。採択されたテーマは「光学マイクロフォンを利用したヘッドセットを用いた高騒音下でも使用可能な音声認識システムの研究開発」。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想