投資姿勢弱気に傾く、25日線割れで調整機運

著者:冨田康夫
投稿:2015/10/14 21:23

明日の東京株式市場見通し

 15日の東京株式市場は、大幅続落で調整色が強まるなか、売り優勢の展開になりそうだ。日経平均株価は14日終値で、前日比343円74銭安の1万7891円00銭と、5日以来6日ぶりに25日移動平均線(1万7966円=14日)を下回った。

 市場関係者からは「心理的フシ目の日経平均株価1万8000円や25日移動平均線を比較的あっさりと割り込んだことで、投資家の姿勢が弱気に傾いているようだ」との見方が出ている。

 14日の東京株式市場は、前日の欧米株安を受けリスク回避の流れが継続、日経平均株価は大幅続落となった。中国9月の消費者物価指数が事前の市場予想を下回り中国関連の機械、電機関連が売られ、銀行や保険株など金融セクター、鉄鋼、非鉄の下げも加速した。

14日の動意株

 デジタルアーツ<2326>=3連騰。
日本をターゲットとする海外からのサイバー攻撃に対する警戒が強まるなか、今月から付番・通知が開始されているマイナンバー制度を絡め、情報漏洩に対する懸念が高まっている。情報セキュリティー関連銘柄に対する市場の視線も熱い。そのなか、同社は官公庁向けで実績豊富、マイナンバー対応ソフトにも積極的な布石を打つ。情報が流出してもネット経由でファイルを遠隔消去できるソフトを手掛けるなど、攻撃を受けても被害を最小限にとどめる実践的な対策を有し、関連株最右翼としての位置付けで物色人気を集めている。

 ライト工業<1926>=3日続伸。
同社は13日の取引終了後、16年3月期の第2四半期累計(4~9月)連結業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の375億円から407億円(前年同期比11.9%増)へ、営業利益を18億円から33億円(同52.8%増)へ、純利益を13億円から23億5000万円(同48.2%増)へ上方修正、これを好感する動き。受注高が増加したことに加え、繰越工事の施工が順調に進捗したことが寄与している。

 健康コーポレーション<2928>=続伸。
同社は13日、子会社のRIZAPが電通<4324>傘下の電通九州と先進的マーケティングで業務提携したことを発表した。電通九州の持つ電通グループのネットワークやマーケティングノウハウを活用することにより、最新のトレンドに基づくマーケティング活動、広告費用の効率的配分などを実現していく。加えて、電通九州の持つアイデアや電通グループのネットワークを掛け合わせることで、特に「医療」、「シニア」、「ビッグデータ」といった成長分野において、斬新なサービス開発とそれに引き続く効果的なマーケティングも展開する方針。

 アークス<9948>=逆行高。
一時8月24日以来となる2500円台を回復した。同社は北海道と東北を地盤とする食品スーパー大手で地方の小商圏に重点を置いた経営戦略が奏功、M&A効果も発現して業容拡大が進んでいる。同社が13日取引終了後に発表した16年2月期第2四半期累計(3~8月)の連結売上高は2517億5500万円(前年同期比10.3%増)、営業利益は69億2600万円(同6.3%増)と好調で、これを評価する買いを呼び込んでいる。

 大王製紙<3880>=続伸。
14日付の日本経済新聞が「(同社の)2015年4~9月期の連結経常利益は前年同期から4%増え、85億円程度になったもようだ」と報じており、会社側の従来予想である65億円(前年同期比20.4%減)を20億円程度上回り、増益に転じる見通しとなったことで、これを好感する買いが流入している。同社の株価は9月の軟調相場でも年初の安値を下回らずソーサーボトムを形成、直近は7月17日以来3カ月ぶりに5日・25日移動平均線のゴールデンクロスを示現し戻り歩調を強めていた。

 コーエーテクモホールディングス<3635>=3日続伸。
同社は13日の取引終了後、16年3月期の第2四半期累計(4~9月)連結業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の155億円から148億円(前年同期比8.1%減)へ、営業利益を17億円から21億円(同36.2%減)へ、純利益を22億円から35億円(同16.8%減)へ修正した。売上高は、品質向上のため一部タイトルの発売時期を延期した影響がでているが、ダウンロード販売やロイヤルティー売り上げなど、利益率の高い分野が好調に推移、コスト低減が進んだことが利益を押し上げている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想