中小型銘柄の出番はもうすぐ?!

著者:堀篤
投稿:2015/09/07 09:40

■東京市場は、空売りの買戻し待ち

先週の東京市場は、結局、反発する動きはなく、中国経済の動きとG20動向、米国雇用統計の発表を前に、力なく下落した。
しかも、月曜日のNY市場は休場、ということを考えれば、この経過は、予想通りと言って良いだろう。

国内には、11月のゆうせい3社上場、10月以降下期でのGPIFなど公的資金による日本株比率上昇、といった予測をプラス面と捉え、それまでの辛抱だ、という議論もある。

しかし、冷静に考えると、それらの要因で東京市場が上昇するとは考えにくい。
簡単にいえば、その理由は二つだ。

第一に、ゆうせいなど3社の上場は、株式市場における需給面で大きな負担になる、ということ。
第二に、公的資金による株の買付けは、上昇波動をつくるときにその押し目で重要な役割を果たすが、下落時には、逆に空売りの標的になる場合がある。
9月1日時点で東証の空売り比率が41%と過去最高を記録しているが、その要因の一つが、ここにある。

したがって、短期的に、今東京市場に期待できるのは、「なんらかの要因」による空売りの買戻ししかなくなってしまった。


■G20で浮上した中国情報開示体制の恐怖

G20で中国経済の運営が困難となっているらしいことを、中国財務相自らが告白したことは、実は大きな問題だ。
「中国経済は今後5年、あるいは10年に渡り、困難な局面にある」と、中国財政相が、会議上で述べたとされる。
これまで、いくら指摘されても強気で通してきた中国の情報開示政策が、変わってくるのだろうか。もちろん、本当のことを知ることは重要なことだが、怖いことでもある。
私は、昨年から一貫して中国が自国経済の闇に「白を切り通すなら東京市場は上がるだろう」と言ってきたが、もし、そうでないなら、下手をすれば大変なことになる。
私の年初の予測では、終戦イベント後、中国問題によって日経平均は17000円まで下落する可能性がある、としたが、それでは済まない可能性も出てきた。

今週、市場にはさらなる恐怖心が現れる可能性がある。
東京市場が、中国市場の代替市場として扱われることがある今、このことは東京市場にとって、重大な問題となる。

この問題については、もはや、中国当局に、G20と政策連携し、協力して適切な経済・金融政策を打ち出してもらうことしか、解決策は無い。
G20が終了した直後から、中国政府は、自国の経済政策について、適切に運営されており、すでに目先の危機は去ったかのような声明を出している。
これを真に受けるような素直な人ばかりであれば良いのだが、正直な話、それでは経済の専門家や投資家は務まらないだろう。

中国政府には、新たな政策の方向性を、明確に打ち出してほしいし、そうなれば、東京市場では空売りの買戻しが一気に始まるかもしれない。
しかし、やっかいなのは、そこに中国が「人質政策」を取れる選択肢があることだ。

中国は自国経済を守るためと称し、更なる為替レートの一方的な引下げをするなど、協調性に乏しい政策を取る可能性がある。また、上海市場にこれ以上の「売り禁」的な措置を取れば、中国の投資家は、国外でヘッジをする。このことが、資源価格の下落や東京始め、他市場の下落につながるのだ。

中国は、いま、自国のみならず、他国に迷惑をかけない政策をとらなくてはならない。果たして、中国がそのような国際社会の要請にこたえるつもりがあるのかどうか、が、大問題となってきた。


■追証発生によって急落した中小型株は今週末に戻るか

先週の東京市場は、激しい攻防の末決壊し、個人投資家には大量の追証が発生し、中小型株まで広範に売りこまれる展開となった。
中小型株は、こういったときに、買い注文が入っていないので、下落率が非常に大きくなる。

しかし実は、細かく見ると、8月31日から9月4日の寄付きまでは、マザーズ指数は健闘している。ほぼTOPIXと同等もしくは微妙にオーバーパフォームしているのだ。しかし、4日日中の追証発生によって、結果としてはTOPIXより大きな下落率となっている。

先週一週間のこの動き、すなわち、マザーズ指数がTOPIXを上回って推移したことは、近いうちに、小型株が注目し直される可能性を予感させる。

それは、大きな懸念点が棚上げになり、かつ、ある程度織り込んだ後になるだろう。G20後に中国側からのなんらかのメッセージがあった場合は、そのタイミングが今週末頃になるのではないだろうか。

注目されるのは、まずはこの一週間、G20終了後の中国の動きと、そして、10日に予定されていると言われる「ゆうせい3社」上場の確定後の東京市場の動きだ。

その後、11日は米国同時多発テロ、15日はリーマンショック、と、米国の歴史的な日が続くのは何かの因縁だろうか。

今後の主な予定

9月10日 ゆうせい上場承認
9月16日~17日 米国FOMC(利上げ?)
10月1日~7日  中国国慶節休み期間
10月27日~28日 米国FOMC
11月4日 ゆうせい上場予定日
10月半ば~11月初旬 9月決算、3月決算(2Q)の業績予想修正
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想