全体の戻りに紛れて来た!マイナンバー関連

著者:堀篤
投稿:2015/08/31 19:14

■小型株はテーマ性で

先週は、日経平均のあまりに大きな変動に、疲れてしまった人も多かっただろう。しかし、これほどの変動率は珍しいので、上手な人にとっては、濡れ手に粟、だったかもしれない。

そんな東京市場だが、相変わらず、日経平均先物やETFの売買が盛んで、中小型株は置いていかれているイメージがある。

確かに、市場関係者がいうように、中小型株の戻りは鈍い。
8月11日から25日までの下落、そのあとの28日までの戻り、という一面だけをとっても、そうだ。


8月28日と8月11日の終値の比較は、日経平均が-7.67%(14.8%下がって、7.47%戻り)であるのに対して、マザーズ指数は-14.18%(23.9%下がって9.7%戻り)だ。

しかし、その中で、比較的冷静なテーマ性を持った銘柄は、独自に動いている、という点が、今回の相場の面白いところだ。
指数に目を取られるよりも、個別のテーマにこそ、面白い動きが見られる。

その一つが、マイナンバー関連銘柄群だ。

■知らざる国会審議。FIDOが議題に!

28日金曜日、DDS(3782)は、静かにストップ高を付けた。
その他の銘柄も大きく戻りに入っていたので、目立ちはしなかったが、DDSの上昇には理由があった。

27日の参議院内閣委員会で、マイナンバーの話が取り上げられ、その中で、生体認証の話が議題に上がったのだ。
民主党の藤本議員が、向井内閣審議官とのやり取りで、マイナンバー普及の際のパスワードの危険性について言及したとき、DDSが代理店を務める生体認証システム規格である、FIDOの利用について、質問をしたのだ。

マイナンバーカードの、生体認証への対応について、向井審議官は、
「生体認証は急速に普及しており、積極的に対応したい」
と答弁し、また、FIDO対応の検討について、
「日本でもかなり大手の企業が参加をしており、検討する必要がある」と答えている。

NTTドコモや、Yahoo! japanが参画するFIDOは、生体認証において、デバイスと認証システムをつなぐ重要な規格で、あらゆる生体認証にも対応が出来る。
DDSは、このFIDOの日本代理店という立ち位置だ。
他に競合相手もなく、生体認証の仕組みが広がれば、それだけ、FIDOは有力な立場となる。

内閣委員会の翌28日、参議院本会議で、番号法の改正案が可決され、マイナンバーは、社会保険や金融機関での利用に、その活躍の場を広げることとなった。その報道で、その他の生体認証関連銘柄、マイナンバー関連銘柄も上昇したが、FIDOが真剣に政府に検討されている、という事実は、あまり知られず、しかしDDSは、静かにストップ高をした。

今後、10月以降の動きの中で、より注目を浴びる可能性が高いだろう。


3757 ラック
4769 インフォメーションクリエイティブ
3798 ULS
3742 Itbook
3782 DDS
9758 ジャパンシステム


上記は、「マイナンバー関連」と言われる銘柄の一部だ。
戻りが遅れているのはラック(3757)とジャパンシステム(9758)
FIDO関連はDDS(3782)
堀篤
日本マネジコ、東京スコットマネジメント代表取締役
配信元: 達人の予想