「前回安値を割り込めば、18500円の窓へ」

著者:黒岩泰
投稿:2015/08/22 06:44

「地政学的リスクも台頭」

 本日の日経平均は597.69円安の19435.83円で取引を終了した。米株安、円高を受けて大幅安からスタートしたあとは、さらに下値を試す展開。積極的に買う材料に乏しく、引けにかけてダラダラと下落幅を拡大させる展開となった。

 日経平均の日足チャートでは、大きな窓を空けて下落。一気に下落歩調を強めており、2万円の大台をあっさり割り込んでいる。目先は前回安値である7/9の安値(19115.20円)を死守できるかが焦点となっており、これを割り込んだ場合には18500円の窓に向けて一気に突っ込むことになりそうだ。

 チャートは完全に弱気形状となっている。特に本日は大きな窓を空けて下落、そして安値引けとなっており、底打ちの兆しが見られない。軸が大きく下向きに傾いている可能性があり、基本的には「底抜け」すると見ておいたほうが良いだろう。

 その要因として考えられるのが、中国経済の失速だ。結局、上海総合指数は4%超安。当局による株価下支え策の効果も減退しており、下値を試しやすくなっている。チャートからはもう一段の下放れが想定される状況であり、かなり危ない形状であるといえるだろう。週末に中国で何も対策が出なければ、日本株ともども「フリー・フォール(自由落下)」となる公算が大きい。一気に18000円台に突入、下方の複数の窓を連鎖的に埋めるというわけだ。

 こうなってくると、買い方はぐうの音も出ない。ただただ、株価の動きを見守るだけであり、場合によっては損失がどんどん拡大してしまうことになるだろう。週明けに何らかの買い材料が出て、底入れを果たせば何てことはないのだが、それでも戻ったところは売り叩かれる可能性が高い。なぜならば、今回の相場の下落要因は、「世界的な景気減速」であり、「中国発」であるからだ。もともと中国は高い経済成長を維持するために、「理財商品」などというハイ・リスクな金融商品を放置してきた。それが郊外のゴーストタウン化、不動産業の凋落を生み出しており、「バブル崩壊色」を鮮明にしているのだ。それを何とか中央政府が政策で支えていたのであり、その「化けの皮」がようやく剥がれてきたというわけである。中国の経済統計は、地方の合計が全体と一致しないという杜撰なもの。すでにバブルが崩壊しているのも関わらず、それを政府がひた隠しにしてきただけであり、株価がようやく実態を反映し始めたということになる。もちろん、中国の株式相場はある意味、政府の意のままであり、「官製相場」であるのだが、意図的な買い支えは持続不可能であり、最終的に崩壊するということを、歴史は証明している。これは中国の話であるが、もちろん日本株も同様。日銀が国債を積極的に買い取る事実上の「財政ファイナンス」を行っており、最終的にはこの債券バブルは崩壊する運命にある。安保法制のゴリ押しによって、安倍政権の支持率は凋落の一途。健康問題も含め、安倍首相に何かが起これば、「アベノミクス」は完全に崩壊する。お里帰りである「日経平均1万円割れ」も当然視野に入る場面であり、投資家はそれを前提にトレードしなければならない。いつまでも安穏としたバブル相場は続かないということだ。

 なお、北朝鮮は22日夕までに宣伝放送を中止、拡声器の撤去に応じなければ軍事行動に出ると警告している。北朝鮮はノドンなどのミサイルを準備したとも伝えられており、朝鮮半島情勢はかなり緊張している。28日まで米韓軍事演習が行われていることから、この日までは手出しができないとの見方もあるが、38度線をまたいで一触即発の状態。粛清を連発している北の暴君は何をするか分からない状態であり、「朝鮮紛争」が週明けの日本株に影響を与える可能性もある。注視しておきたい。(黒岩の眼より)

黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想