頑強地合い持続で反発、海外投資家の動向注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/04/06 20:30

明日の東京株式市場見通し

 7日の東京株式市場は、6日に下落幅を徐々に縮小した頑強な地合いが持続することを想定し、日経平均株価は反発を予想する。

 6日の東京株式市場は、前週末の米3月雇用統計の予想を大幅に下回る結果や、外国為替市場での円高進行を嫌気するかたちで売りが先行。日経平均株価は一時200円近く下落したものの、売り一巡後は次第に下落幅を縮小し、終値は前週末比37円10銭安の1万9397円98銭と小幅反落となった。さらに特徴的だったのは東証1部の売買代金が1兆6776億円と極端に減少し、14年12月30日の大納会以来の低水準となったこと。

 市場関係者からは「日本時間今夜の米株式市場の動向によって左右されやすい自動車、電機、機械といった輸出関連の主力銘柄には手控えムードが広がった。ただ、積極的に売る動きが見られないのも特徴。食品、小売りなど内需関連セクターが消去法的に買われた」との見方が出ていた。

6日の動意株

 クックパッド<2193>=大幅高。
国内で他の追随を許さない巨大レシピサイトを運営、海外でもM&Aを駆使して現地レシピサイトを傘下に収めるなどグローバル展開を加速させている。14年12月期連結決算は、8カ月の変則決算ながら、営業利益26億7900万円と前年同期間との比較では実質大幅な伸びを達成している。また、前期と比較して4カ月分上乗せされるかたちとなる15年12月期についても「小売業界向け有料ネットチラシ事業の成長を足場に60億円を上回る」(国内中堅証券アナリスト)との見方があり、前期実績(8カ月決算)を単純に1.5倍した際に弾かれる40億円からみても伸び率の高さが際立つ。

 鳥貴族<3193>=7連騰。
同社は280円均一の焼き鳥店チェーンを展開。国産鶏肉を使用し各店舗で串打ちする品質面でのこだわりが人気を支えており、既存店売上高は2月まで12カ月連続の前年比プラス圏と好調。15年7月連結営業利益は会社計画9億7400万円(前期比41.1%増)に対し、市場には11億円前後への増額期待が出ている。また、テレビ東京の経済情報番組「カンブリア宮殿」で同社が9日の放送で取り上げられる予定にあることも注目されているようだ。

 東邦チタニウム<5727>=上げ足鮮烈。
同社が強みとする航空機向けスポンジチタンの在庫調整が進捗したことで、産業用チタンインゴットの出荷は回復傾向を確かなものとしている。航空機産業は今後中期的に米ボーイングをはじめ増産志向にあり、主力の若松工場の稼働率もフル生産態勢に戻るなど同社の活躍期待が高まっている。前15年3月期まで3期連続の大幅最終赤字だったこともあり機関投資家の持ち玉が少なく、これも株式需給面での上値の軽さつながっているようだ。

 省電舎<1711>=ストップ高。
前週末3日の取引終了後、Oak キャピタル<3113>が同社の事業支援を目的とした約15億円のエクイティファイナンスの引き受けを決定したと発表しており、財務体質強化によるバイオガス・プラント事業の強化に期待した買いが入っているようだ。省電舎が発行する第三者割当での第1回無担保転換社債型新株予約権付社債と第5回新株予約権をOakが引き受けるとしており、調達資金はバイオガス発電事業やバイオマス燃料事業に充当させるとしている。

 ウィルグループ<6089>=大幅高で5日続伸。
家電量販店向けにスマートフォンなどの販売支援やコールセンター向けオペレーター派遣を手掛けるが、旺盛な「iPhoe6」の販売需要拡大などが収益押し上げ要因となっている。比較的規模の大きい事業所向けに自社の正社員を派遣社員とセットで派遣する「ハイブリッド派遣」で業界他社と差別化を図っている。また、人材不足に苦慮する食品など製造業からの需要もここ膨らんでおり、収益成長を支える。

 シャープ<6753>=大幅反発。
各メディアが液晶事業分社化に向けた主力取引先銀行との協議や、官民ファンドの産業革新機構と出資交渉を進めると報じたことを受け、収益再建策の進展を期待した買いが先行している。銀行団との協議に合意すれば、5月に発表する経営再建策に盛り込む。中小型液晶パネル部門を分社化して事業会社を設立し、革新機構から1000億円規模の出資を受けたい考えなどと伝えている。

 ただ、会社側はこの日取引開始前に「当社が発表したものではない。液晶事業を含む抜本的な構造改革について様々な検討を行っているが、決定した事実はない。現在、新中期経営計画を策定中で、5月をメドに公表する」とコメントを発表している。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想