買い気旺盛でジリ高歩調、米金融政策関連の日程注視

著者:冨田康夫
投稿:2015/03/13 20:05

来週の株式相場見通し

 来週の東京株式市場は、米連邦公開市場委員会(FOMC)開催や、イエレン米連邦準備制度理事会(FRB)議長の会見など、金融政策関連の重要イベントを控えて、買いの勢いはやや穏やかになるものの、企業業績に対する期待感や公的年金や日銀による買い支えによる好需給を背景にジリ高歩調が想定される。ただ、13日まで3日間の日経平均株価の上昇幅は589円に達していることもあり、短期的な高値警戒感からの利益確定の動きは予想される。日経平均株価の想定レンジは、1万8900~1万9600円とする。

 市場関係者からは「昨年12月8日の高値1万8030円から、今年1月16日の安値1万6592円までの下落幅の倍返しに相当する1万9469円が短期的な上値の目標となる」との見方が出ていた。

13日の動意株

 キーエンス<6861>=急伸。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は12日、同社株の「オーバーウエート」を継続するとともに、目標株価を7万円から7万4000円に引き上げた。同証券では、「海外の伸びは想定以上」と指摘。特に、15年3月期は「通期で初めて海外向け売り上げが国内向けを上回る歴史的な年度となる」とみており、「今後は海外での売り上げ拡大が業績をけん引しよう」と予測している。同証券では、15年3月期の連結営業利益は前期比33.7%増の1747億円、16年3月期は今期予想比19.2%増の2082億円と連続増益を見込んでいる。

 ULSグループ<3798>=連日のストップ高。
政府が10日、マイナンバーの利用範囲を広げる「マイナンバー法改正案」を国会に提出したと伝えられたことを受けてITbook<3742>が急騰したが、同社もITbook同様にマイナンバー関連の小型株であることから思惑買いが入っているもよう。ULSグループは過去にも急騰した経緯があることから、値動きの良さに目をつけた短期資金も入っているようだ。

 アスコット<3264>=後場一段高。
同社はきょう、マンションの利点と戸建て住宅の利点を併せ持った住宅の「テラスハウス」事業を開始すると発表。同社は東京都心エリア中心に分譲マンション開発を行っており、業容拡大による収益貢献などが期待できるとして材料視されているようだ。同社はあわせて、テラスハウス事業の1棟目となる「アスコットテラス桜新町」(東京都世田谷区)の販売開始も発表している。

 ファナック<6954>=後場に上げ幅拡大。
きょう付の日本経済新聞で、「高収益ながら株主との対話に消極的なファナックが対話路線に転換する」と報じられたことが好材料視されている。記事によると、4月に株主との対話窓口となる部署を設け、増配や自社株買いも検討するとあり、路線転換は株価浮揚にプラスに働くとの見方が強まっている。

 ディップ<2379>=ストップ高。
同社は12日取引終了後、15年2月期の単独業績予想の修正を発表、売上高を190億円から195億3000万円(前期比49.7%増)へ、営業利益を40億円から48億600万円(同2.8倍)へ、最終利益を22億4100万円から28億5600万円(同3倍)へ修正しており、これがポジティブインパクトとなった。アルバイト求人情報サイト「バイトル」や派遣求人情報サイト「はたらこねっと」を運営するメディア事業が、求人需要の高まりや積極的な広告宣伝投資の奏功で会社側の想定を上回る伸びを示している。

 日本プリメックス<2795>=ストップ高。
約1カ月ぶりに昨年来高値を更新した。前日取引終了後、15年3月期末一括配当を普通配当20円に特別配当5円を加え、25円に引き上げると発表したことが好感されている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想