目先的な目標達成で一服、中期上昇軌道は継続

著者:冨田康夫
投稿:2015/03/12 21:18

明日の東京株式市場見通し

 13日の東京株式市場は、きょう日経平均株価が2000年4月以来、約15年ぶりに一時、1万9000円台を回復したことによる目先的な目標達成感と、週末要因も重なって一服商状となりそうだ。

 ただ、今後も外国為替市場での円安進行などを背景とした企業業績回復期待や、公的年金や日銀による持続的な買い思惑が下支えとなった好需給が見込めるため、中期的な上昇軌道は継続するものと予想される。このところ、銀行、保険、不動産、医薬品、小売りなど内需系銘柄の水準訂正高の動きが顕在化しており、良好な循環物色は続いている。

 12日の東京株式市場は、朝方から買い優勢で後場に入って一段高となった。日経平均株価終値は、前日比267円59銭高の1万8991円11銭と大幅続伸した。

 あすのメジャーSQ算出について市場関係者は「既にロールオーバー(乗り換え)がかなり進んでおり、波乱となる可能性は少ないのではないか」としている。

12日の動意株

 川崎重工業<7012>=5日続伸。
この日は、新日鉄住金エンジニアリング(東京都品川区)から、同社が日本とタイで実施するオンサイトエネルギー供給事業向けに、8000キロワット級ガスタービン発電設備2台を受注したと発表しており、これを好感した買いが入っている。今回受注した設備は、同社独自開発の「M7A」を搭載するガスタービン発電設備で、J-オイルミルズ<2613>の千葉工場と横浜ゴム<5101>のタイ子会社が建設予定のガスタービンコージェネレーションシステムにそれぞれ設置されるとしている。

 日本カーボン<5302>=6日続伸。
自動車業界や航空機産業など炭素繊維の需要が多方面で高まりをみせており、市場関係者の間では関連有力株として同社株をマークする動きがある。超高温に耐える炭化ケイ素連続繊維の販売が好調、米ゼネラル・エレクトリック(GE)との連携でも思惑をはらむ。「昨年、同社とGEの合弁会社NGSアドバンストファイバーが炭化ケイ素連続繊維の生産拠点を富山市内に建て、生産能力増強に動いていることが注目されている」(国内投資顧問)という指摘。富山での工場建設で安倍政権が命題に掲げる地方創生関連としての切り口も併せ持つ。

 あい ホールディングス<3076>=堅調。
同社はきょう午後1時30分に、カード発行装置などの開発・製造・販売を手掛けるNBSテクノロジーズ(本社:カナダ)を約25億7400万円で買収すると発表。業容拡大などが期待されているようだ。同社は、NBS株式100%を保有するカナダの投資運用会社から全株式を取得し、19日付で完全子会社化する方針。これにより、カード発行機を即時発行小型機から大量発行大型機までフルラインアップで、製造から販売および保守までを一貫して手掛けることが可能になる。

 イハラケミカル工業<4989>=続急伸。
11日の取引終了後、第2四半期累計(11~4月)連結業績見通しについて、売上高を従来予想の210億円から220億円(前年同期比19.7%増)へ、営業利益を同22億円から28億円(同29.2%増)へ、純利益を同22億5000万円から26億円(同62.3%増)へ上方修正したことが好感されている。国外向け除草剤の前倒し出荷や円安効果、および試験研究費用の発生の遅れなどが寄与したという。

 ビーロット<3452>=ストップ高。
同社は11日取引終了後に、東京都中央区築地にある販売用不動産を19億7000万円で売却すると発表。これが買い手掛かりとなっているようだ。売却先は特定目的会社(詳細は非公表)で、売却予定日は3月24日。業績に影響を与える場合には速やかに開示するとしている。

 スノーピーク<7816>=ストップ高。
3月10日につけた上場来高値1万900円を上回った。同社は11日に、新たな直営店「スノーピーク昭島アウトドアビレッジ」が13日にオープンすると発表。同社初となるレストランが併設された店舗とあって、関心が高まるかたちとなっているようだ。また、4月上旬にプレオープンする大分県奥日田の新キャンプ場や、7日にオープンした「スノーピークストア 新ひたちなか店」への期待感なども継続しているもよう。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想