循環物色で底上げ持続、テクニカル指標には過熱感

著者:冨田康夫
投稿:2015/02/23 20:01

明日の東京株式市場見通し

 24日の東京株式市場は、きょうまでの4日続伸によりテクニカル指標などで過熱感が高まっており、当然ながら利益確定の売りが予想されるものの、先高期待の買いエネルギーが持続する可能性が高く、日経平均株価は続伸が予想される。

 23日終値での東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は141.01%と140%台に乗せ、「買われ過ぎ」とされる120%を大幅に上回って過熱感が強まっている。ただ、金融支援問題で欧州連合(EU)とギリシャが4カ月延期でひとまず合意するなど、外部環境が好転していることに加え、外国為替市場での円高進行リスクが遠のいていることから、外国人投資家の買いを誘発しやすい地合いとなっている。

 さらに、市場関係者からは「業種別で見ても、循環物色の輪が日替わりのように広がりをみせており、この動きが小型株や低位銘柄にも波及して底上げムードが高まっている」との見方が出ていた。

 23日の東京株式市場は、前週末の米国株高を受けて終始強調展開ながら、朝方買い一巡後は上値も重くなった。日経平均株価終値は前週末比134円62銭高の1万8466円92銭と4日続伸した。

23日の動意株

 相鉄ホールディングス<9003>=大幅続伸。
安倍政権が成長戦略の一環に掲げる「観光立国」は、円安を追い風に、ビザ発給要件緩和や免税品の対象品目拡大など政策的な後押しが利いて思惑通り訪日観光客の増加に結びついている。ホテル事業を展開する私鉄各社にとっても収益拡大チャンスが広がっている。そのなか、同社は横浜ベイシェラトンなど高級ホテルを運営するほか、ビジネスホテルも昨年JTBから買収したサンルートなどが加わり、運営ホテル数が急拡大、インバウンド関連として改めて注目されているようだ。

 学究社<9769>=大幅高。
同社は20日の取引終了後、東京証券取引所の承認を得て3月13日付でジャスダック市場から東証2部へ市場変更することになったと発表した。同時に3月31日時点の株主に対して1対2株の株式分割を実施することを公表。また、今3月期末に1株20円(株式分割前ベース)の記念配当を実施、今期末の一括配当は前期比20円増配となる。この日は、これら市場変更や株式分割、増配を好感する買いが流入した。

 ステラケミファ<4109>=6連騰。
23日の日本経済新聞が、化学品製造を手がけるステラケミファは4月から、半導体基板の洗浄などに使うフッ素化合物の価格を最大で3割引き上げる、と報じたことを受け、さらに買い気が強まった。同社は200種類程度のフッ素化合物を手がけ、原料の無水フッ酸を中国から手当てしており、円安で輸入コストが上昇しているため。値上げは4年ぶりとなるが、大幅な販売価格引き上げで損益改善が期待されている。

 有沢製作所<5208>=急反発。
中国で高価格端末への需要シフトが進み、グローバルに市場拡大が続くスマートフォン向けを中心に電子材料が好調だ。主力のフレキシブルプリント基板材料が計画以上の引き合いで収益を牽引、15年3月期の連結営業利益は同22億円から26億円(前期比2.6倍)へ上方修正しているが、16年3月期も業績続伸が見込まれる。

 ACCESS<4813>=一時ストップ高。
同社は20日、ソフトバンク<9984>の感情認識パーソナルロボット「Pepper(ペッパー)」にチャット技術を用いたクラウド型メッセージサービス「Linkit(リンクィット)」が採用されたことを発表、これを好感している。今回、「ペッパー」の基本機能のひとつである、メッセージサービス「ペパメ」機能のプラットフォームとして、「リンクィット」が採用されている。「リンクィット」の採用により、「ペッパー」とスマートフォンやタブレットを介して、ロボットと人とのチャット形式でのコミュニケーションが実現している。

 フォーシーズホールディングス<3726>=一時ストップ高。
同社は20日取引終了後に、2月1日付で東証マザーズ市場から東証2部に変更したことを記念した株主優待を実施すると発表、これが好感されているようだ。対象は、3月31日時点の株主名簿に記載または記録された2単元(200株)以上を保有している株主。記念株主優待として、「10GFクリーム スキンリフォーム」(通常価格2万1600円)もしくは「ナチュラルソープ セット」(同8586円)のいずれかを贈呈する。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想