建国記念の日前に売り優勢、円安効果は期待外れ

著者:冨田康夫
投稿:2015/02/09 19:05

明日の東京株式市場見通し

 10日の東京株式市場は、手掛かり材料に乏しいなか、翌日が「建国記念の日」の祝日で休場となることから、利益確定の売りが出やすい地合いが予想され、日経平均株価は反落となりそうだ。

 9日の値動きを見た市場関係者からは「外国為替市場で、1ドル=119円台へと円安・ドル高が加速したにもかかわらず、日経平均株価はほぼ寄り付き天井で大きく伸び悩んだ。現在考えられる最も強力な株価牽引材料である円安進行も、株価を上昇させるインパクトは以前に比べやや弱まっているようだ」との見方が出ていた。

 きょうも日経平均株価は1万7800円寸前で失速しており、終値でこの壁を突破するには、新たな買い支援材料が必要となりそうだ。当面は、決算発表で好内容が評価できる銘柄を個別に買い進む傾向が強まる可能性が高い。

 9日の東京株式市場は朝高後に急速に伸び悩む展開。ただ、下値の買いは厚く、後場は値を保ち大引けにかけて締まった。日経平均株価終値は、前週末比63円高の1万7711円と続伸した。

9日の動意株

 NTT<9432>=大幅反発。
同社は週末取引終了後に発表した、14年4~12月期連結決算は売上高が前年同期比2.0%増の8兆1825億2700万円と増収を確保したものの、最終利益は同7.1%減の4499億4100万円と低調だった。子会社のNTTドコモ<9437>が新料金プラン導入に伴い業績を悪化させたことが影響した格好。ただ、東西地域会社などの地域通信事業の営業利益は3割強の伸びを示しており、買い戻しを促す展開となっている。

 宮地エンジニアリンググループ<3431>=急伸。
同社は6日の取引終了後、15年3月期連結利益の増額修正を発表した。売上高は240億円(前期比9.0%増)で据え置いたものの、営業利益は7億円から9億5000万円(同33.8%減)へ、最終利益は5億円から8億5000万円(同8.4%減)へそれぞれ上方修正した。コスト削減の効果に加え、設計変更による契約金の増加などが利益を押し上げる見通しだ。

 プレシジョン・システム・サイエンス<7707>=急動意。
同社はDNA抽出装置などのバイオ関連機器を手掛けるが、再生医療にかかわるバイオベンチャー株は売り物が枯れ、足もと動意含みとなるものが増えており、同社もその流れのなかで短期資金の流入が観測されている。昨年11月には改正薬事法と再生医療新法が施行、iPS細胞を使う再生医療を安全かつ迅速に広げるための基盤整備が進むなか、昨年9月の「加齢黄斑変性」の患者に対する網膜細胞の移植手術に続き、今年年央にも2例目のiPS手術が実施される見通しにあり、相場テーマとして再生医療が再び脚光を浴びる可能性がある。

 東洋建設<1890>=急伸。
同社は6日取引終了後、15年3月期の連結業績予想の修正を発表。売上高を1420億円から1510億円(前期比4.3%増)へ、営業利益を41億円から50億円(同24.2%増)へ、最終利益を18億円から30億円(同50.2%増)へそれぞれ大幅上方修正しており、これを好感する買いが集中する格好となった。子会社の業績好調に加え、営業利益は工事採算の改善により前回予想を9億円上回る見込み。また、為替差益の発生などで営業外損益が改善していることにより、最終利益は増額幅が広がり前回予想を12億円上回る見通し。

 鈴縫工業<1846>=後場急伸。
午後2時に15年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の135億円から142億円(前期比2.2%減)へ、営業利益を同4億4000万円から7億1000万円(同8.7%減)へ、純利益を同2億円から3億5000万円(同5.4%増)へ大幅上方修正したことが好感されている。労務費や資材の動向などが不透明だったことから、期初に慎重な予測を行ったが、コスト管理の徹底で建設事業の工事採算が改善したことから予想を引き上げるという。

 アトラ<6029>=ストップ高。
同社は6日取引終了後に、15年12月期通期の単独業績見通しを公表。営業利益を2億4800万円(前期比3.2倍)としていることが買い手掛かりとなっているようだ。売上高は20億7500万円(同39.3%増)を予想。ほねつぎチェーンやほねつぎ介護デイサービスのフランチャイズチェーン(FC)を積極的に展開するほか、鍼灸接骨院の口コミ・予約システム「HONEY-STYLE」利用院やアトラ請求サービス会員の獲得に向けてサービス内容の拡充を図るとしている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想