不安心理高まり続落、マネー潮流に波乱の兆し

著者:冨田康夫
投稿:2015/02/03 20:52

明日の東京株式市場見通し

 4日の東京株式市場は、調整局面が継続する可能性が高そうだ。

 今年に入ってからの相場展開は、外部環境にプラス要因とマイナス要因が錯綜し極めて予測しにくい状況にある。3日の相場も前日の欧米株高とセットで原油市況が底入れ気配を漂わせる一方、円高が進行し、その傍らで債券価格が急落するといった不安定感を浮き彫りにする状況で、株式市場との相関も従来のセオリーから外れ定かではない。

 マネーの潮流がこれまでと変わってきていることは確かで、この不透明感が投資家心理にとってマイナスに作用するとみられる。

 テクニカル的にも日経平均株価は目先25日移動平均線を下回ってきており、当面は1万7000円ラインを下値攻防ラインとして意識する可能性がある。今週は週末に米雇用統計発表を控えるが、米景気に対する信頼感も以前ほど強固とはいえず、それだけに注目度は高い。裏返せばそれまでは積極的に買いを入れにくい環境ともいえる。

 現状で最も相場との連動性が強いのは為替市場だ。欧米株の動向以上に、日米金利動向とそれに付随するドル・円相場の推移は注視が怠れない。

3日の動意株

 アドテック<6840>=一時ストップ高。
同社はメモリー製品を手掛けフラッシュメモリー販売を主力とするが、前週末30日に、Wi-Fi機器の設置・保守など電気通信事業を中心に展開するバディネット社を完全子会社化すると発表、新規事業分野への参入を材料視する買いに同日人気化し、今週に入り投機資金の攻勢が加速し前日もストップ高を演じていた。業績は前14年3月期から回復色をみせており、今3月期は高採算の産業機器向けを軸に利益を上積みし、営業利益段階で前期比5.2倍の5億2000万円を見込んでいる。

 いなげや<8182>=後場上げ幅を拡大。
同社は午後2時、15年3月期の連結業績見通しについて、売上高は従来予想の2400億円(前期比4.2%増)を据え置きつつ、営業利益を同27億円から30億円(同12.1%増)へ、純利益を同12億円から13億円(同10.5%増)へ上方修正したことを好感した買いが入っている。各種営業施策の実施や総菜を中心とした生鮮強化の改装効果などが寄与した。

 MonotaRO<3064>=大幅続伸。
1月29日取引終了後に発表した15年12月期の連結業績で、売上高556億1700万円(前期比23.8%増)、営業利益60億300万円(同38.8%増)と大幅増収増益を予想したことをきっかけに人気化。1月23日現在の信用倍率は0.88倍と売り超過、2月2日申し込み現在の貸借倍率は0.14倍と大幅な貸株超過になっており、買い戻しが株価上昇に拍車を掛けている。

 クボテック<7709>=ストップ高。
同社は2日に、CFRP(炭素繊維強化プラスチック)製としては世界最大級となる外径2メートルのフライホイールの開発に成功したと発表。これが材料視されているようだ。この大径CFRP製フライホイールは、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「安全・低コスト大規模蓄電システム技術開発」プロジェクトのなかで実施している「次世代フライホイール蓄電システム」の開発の一環としてクボテックが開発・製作したもの。劣化のない蓄電池として用途は幅広く、太陽光や風力などの不安定な発電システムと組み合わせて電力系統を安定化させるといった用途や、鉄道システムの電力有効利用などにも役立つものとして期待される。

 応用技術<4356>=一時ストップ高。
同社は2日の取引終了後、14年12月期の単体業績予想の修正を発表。売上高を従来予想の24億5000万円から25億800万円(前の期比15.3%増)へ、営業利益を1億6000万円から2億1300万円(同60.2%増)へ、純利益を9500万円から2億200万円(同82.0%増)へ上方修正、これを好感している。ソリューションサービス事業は、大手企業からの受注が好調に推移、エンジニアリングサービス事業も防災・減災や施設の長寿命化計画、環境関連業務などで引き合いが活発化している。

 アイスタイル<3660>=大幅高。
同社は2日取引終了後に、15年6月期第2四半期累計(7~12月)の連結決算を発表。営業利益は3億3000万円(前年同期比3.1倍)となり、通期計画の2億5400万円を超過した。第2四半期の連結売上高は44億1000万円(同32.0%増)で着地。化粧品・美容の総合サイト「@cosme」の広告販売が計画以上で推移したほか、小売事業も順調に伸びた。なお、通期業績見通しは従来計画を据え置いている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想