イベント通過で買い優勢、ECB緩和の織り込み進む

著者:冨田康夫
投稿:2015/01/22 21:41

明日の東京株式市場見通し

 23日の東京株式市場は、日本時間今夜開催の欧州中央銀行(ECB)理事会で決定される量的金融緩和の内容によって大きく左右される可能性が高い。既に米ウォール・ストリート・ジャーナル紙が、量的緩和について「月間500億ユーロ(約6兆8000億円)規模の国債買い取りを提案する」などと報じており、株式市場での織り込みはかなり進んでいるようだ。

 市場関係者からは「量的緩和の内容が、失望感を抱かせるようなものでない限りは、“イベント通過”による安心感から買い優勢となることが想定される」との見方が出ていた。

 22日の東京株式市場は売り買いが交錯し、日経平均株価は前日終値を挟んでプラス圏とマイナス圏を往来する展開となった。日経平均株価終値は、前日比48円高の1万7329円と小幅反発。東証1部の売買高は19億7108万株と今年最少となったものの、値がさ株の物色活発化により売買代金は2兆円を上回った。

22日の動意株

 スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>=後場一段高。
傘下のスクウェア・エニックスがこの日、アーケード完全新作を始動させると発表し、あわせてディザーサイトを開設しており、新作への期待が高まっている。ディザーサイトには現在、「2015.1.29」の数字と、紋章のようなマークだけが表示されており、かえって興味を抱かせる格好となっている。

 SmartEbook.com<2330>=一時ストップ高後に上昇幅縮小。
きょう午前中に店舗の電力使用量や温度などをセンターで監視するエネルギー管理システムがコンビニエンスストアの「NEWDAYS」に正式に採用されたことを発表、これが材料視された。ただ、買い一巡後は大口の利益確定売りがかさみ、300円前後まで上げ幅を縮小している。同社株は足が速く9日にも投資銀行業務を開始するとの発表を受けて一時ストップ高に買われる動きをみせたが、半面上ヒゲをつけやすい習性がある。

 ジャムコ<7408>=3日続伸。
東証2部指数は利食いの動きが足もと強まり、前日に続ききょうも下落しているが、そのなかで同社株は逆行する展開にある。旅客機向け化粧室で断トツの世界シェアを誇る同社は、米ボーイング社の増産の動きが強力なフォローウインドとなっている。ボーイング787型機では化粧室と厨房設備を独占供給、その実績を買われ次世代機777Xでも受注を獲得した。また、航空機メーカーとの取引はドル建て決済であり、昨今の為替の円安によるメリットも心強い。

 戸田工業<4100>=4日続伸。
同社は磁性粉末材料では業界トップ。スマートフォンなどモバイル端末向けNFC部材(近距離無線通信のアンテナフェライトシートなど)が堅調、収益回復を牽引する。また、苦戦を強いられてきたリチウム電池の正極材事業は、「2月以降独BASFとの合弁事業に切り替えることで改善が進む見通し」(業界担当アナリスト)という。15年3月期は営業損益段階で前期実績の8億円の赤字から脱却、市場では10~15億円の黒字転換を見込む声が強い。

 昭和真空<6384>=ストップ高。
同社は21日の取引終了後、15年3月期の連結業績見通しについて、売上高を従来予想の75億8600万円から77億3800万円(前期比59.0%増)へ、営業利益を同1億4800万円から5億3600万円(前期5億4100万円の赤字)へ大幅に上方修正したことを好感した買いが入っている。簿価切り下げ済みの真空関連装置用の仕掛り部品が今期の販売および販売見込みとなったことで、部品販売分野の売上高が増加し、粗利益率を大きく押し上げる要因になったとしている。

 ガイアックス<3775>=11日連続高で昨年来高値更新。
同社は20日に、マーケットプレイス「TABICA(タビカ)」ベータ版の提供を開始したことを発表しており、これが引き続き評価されている。「タビカ」はアクティビティやオプショナルツアーなど地域ならではの観光体験を掲載・予約できるサービス。従来の旅行会社が企画する「発地型観光」と異なり、観光客の受け入れ先の地域が独自のプログラムを作成し、現地集合・解散する「着地型観光」に着目したサービスとなっている。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想