ユーロスイス急落の衝撃!

著者:小林芳彦
投稿:2015/01/16 13:14

3500ポイントの大暴落

昨日は、突然のスイス中銀の「ユーロスイス1.2000防衛なんてもうやってられん!」発言で1.2000を割って、ロイターが公表した0.8052まで破壊的な下落となったユーロスイス。スイス系銀行の値付けも止まり、スイスのレートが良く判らない状態となった時点でEBSで成立したようです。当然レートが止まってしまっているからスイスがらみのレートやエキゾチック・カレンシーのレートは瞬間無くなって、ロンドンセンターの銀行のディーリングルームは大混乱だったと思います。

何しろ世界の支店や顧客から回ってきているオーダーの執行をしなくてはならないのに時間が東京の18:30・・・・
冬時間で時差が9時間ですから朝9時半。出社してオーダーマンが世界から集まってきたオーダーを整理・確認してインターバンクのディーラーに既に回していたはずですが、レートがどこまで飛んでいるのか判らない状況ではどのオーダーが成立していて、どんなカバーをしなくちゃいけないのか確定できません。あんな状況ですから、世界中から「どうなっているんだ?」「どこまで値が付いた?」などなど電話も殺到したでしょう。
昔は怒号が飛び交っていたディーリングルームですが、今は機械ディール中心で静寂な状態と聞きますが、さすがに昨日は違ったでしょうね。

117.50レベルだったドル円がユーロスイス急落=ユーロドル急落=ユーロ円急落に連れて117.20割れへ。瞬間的に117.50台を回復したあと、116.63近辺に緩み117.20台回復、それから116.65近辺やって、午後7時半ぐらいに117.02あたりを回復。次第に落ち着きを取り戻しつつユーロ円の下落にも引っ張られ、更には個人的見解ですが、『閉鎖に追い込まれるファンドもあるだろうから、一番益が乗っている円売りポジションを巻き戻すのでは?との思惑から円売りの利食い売りが入った』のではないかと考えます。

ドル円は、116.30割れまで下げ、116.90手前まで上がった後、ロンドン安値の116.24まで下落。その後NYでは117.25まで買戻しが入りましたが、米10年債利回りが1.8518%ビッドレベルから1.7022%ビッドレベルへ大暴落(価格暴騰!安全資産の米債に資金が殺到)し、ドル円も116.60台→117.20近辺とラリーを行った後、どんどんと下値を切り下げ116.15まで下げてそのまま116.15で最安値引けしています。

エグいユーロドルは1.1750近辺から1.1580までメルトダウンし、その後1.1770近辺まで全値戻しを行ったあと、NYで1.1568まで下げ1.1631引け。ユーロ円はNYで135.00まで下げています。最初は135.80まで下げ、戻り137.70台をやった後136.00~136.88で激しく揉んで、NYに入り下げ基調を鮮明にして135.00まで下げて135.19引けでした。

NY勢は朝の4時半・・・この時間は最も対応できにくい時間で、急変で電話でたたき起こされても状況が全くわからず、判断できないでしょうね。ドルスイスも1.0220ロンドン高値から0.7360!まで下げたあとNYで0.9134まで戻し0.8350まで下って0.8390引け。ドルストレートで2860ピップス下げたのも酷いですが、ユーロスイスの約3950
ピップスに比べたらかわいく見えます。

スイス中銀が金に糸目を付けず絶対に守る、死守すると豪語したユーロスイスですが、昨今のユーロの下落ぶりはすさまじく、22日のECB理事会を待たずに利下げし、かつサポートを外したことで、ECBの国債を含めた量的金融緩和導入が更に現実味を帯びたと言えます。

サプライズじゃなくちゃ効果はないといいますが、昨日のはサプライズを通り越して相場を瞬間で凍りつかせ、スイスがらみのレートも無くさせ、市場は大混乱。目先は118円はおろか、117円台も重たくなって115円台後半から116円近辺で下値を固める動きが続くと思います。

キーポイントはクロス円の動き。ユーロ円の下げ基調が続けば、ドル円は上がれない状態が続き、嫌気が差したファンドがロングを手仕舞う流れが続いてしまいそうです。ユーロドルの動向=ユーロ円の動向にご注意ください。

今日は116.50-60から売り場を探します。115円台は利食い千人力で。よろしくお願いいたします。
小林芳彦
JFX株式会社 代表取締役
配信元: 達人の予想