下値模索の展開が継続、原油にらみ神経質な相場

著者:冨田康夫
投稿:2015/01/13 21:25

明日の東京株式市場見通し

 14日の東京株式市場は強弱感対立のなかもやや売り優勢で、下値模索の動きとなる可能性が高い。いずれにせよ全体指数は先物主導で上下に振られやすく、引き続き個別株の空中戦が意識されそうだ。

 全体相場は原油市況の動向に欧米株、為替相場の動きを絡め一段と神経質な地合いで、この3要素に大きなプラス変化がない限り、積極的に上値を買うインセンティブに乏しい状況にあることは確か。国内材料はアナウンス効果の強い政策当局の動きでも出れば話は別だが、それ以外はスルーされやすい。

 一方、株式需給面では現状は国策が機能している。下値では日銀のETF買いなどが待っており、投資家はそれが分かっているだけに、一方的に売り込まれるような展開ともなりづらいだろう。くしくも13日の相場は後場になってマーケットに底流するそうした思惑を色濃く反映する動きとなった。

 もっとも日経平均1万7000円大台攻防は今の相場では少々荷が重い。7日と13日に打診した1万6800円近辺が当面の攻防ラインとして意識されそうだ。仮にここを下抜けると1万6000円台前半まで深押しの懸念も出てくる。

13日の動意株

 ドーン<2303>=ストップ高。
同社が9日の取引終了後に発表した第2四半期累計(6~11月)単独決算は、売上高2億3900万円(前年同期比9.5%減)、営業損益2900万円の赤字(前年同期2000万円の赤字)、最終損益2500万円の赤字(同1700万円の赤字)と営業・最終損益とも赤字幅拡大に終わったが、9~11月期では、営業損益は前年同期の700万円の黒字から1900万円の黒字へ、最終損益は同900万円の黒字から2200万円の黒字へそれぞれ大幅増益となっており、これを好感した買いが入っている。6~8月期は商品売り上げの増加があった一方、仕入れなどの製造原価が増加していたが、9~11月期は改善に向かった。

 ネクステージ<3186>=一時ストップ高。
同社は、引き続き前週末9日午後に発表した20万株(発行済み株式数の1.98%)、1億円を上限とする自社株買いと、15年11月期の営業利益20億7500万円(前期比2.7倍)見通しを好感した買いが継続。主力の中古車販売事業で引き続き販売シェアの拡大を最重要課題として積極的な出店を行う一方、ローコスト経営による収益向上を図るとしており、これを好感した買いが入っている。

 東京応化工業<4186>=引けにかけじり高歩調。
ハイテク株全般が売られるなか、逆行高となっている。大和証券は9日、同社のレーティングを「3」から「2(アウトパフォーム)」に引き上げた。今後1年程度の目標株価は4400円に設定した。半導体材料に牽引され「営業利益は16年3月期に1985年度以来の最高益に達する見通し」と予想している。「旧世代のKrFレジストの用途拡大」や「最先端のArFレジストの採用シェア拡大」などに注目している。

 小島鉄工所<6112>=急騰。
同社が9日発表した14年11月期の連結業績は、経常損益が4億2500万円と大幅赤字となったが株価は事前にこれを織り込んでおり、15年11月期見通しについて1000万円の黒字化を会社側は計画、これが目先筋の買いを誘導したもよう。東証2部指数は東証1部と新興市場の挟間で株価指標面などから上値余地が指摘されている。そのなか、東証2部のなかでも出遅れ感の強い低位材料株に、ここにきて大きく株価の居どころを変えるものが相次いでいる。

 ローツェ<6323>=ストップ高。
同社は9日取引終了後、15年2月期通期の連結業績予想の修正を発表、売上高は111億900万円から128億1400万円(前期比9.5%減)に、最終利益は4億3000万円から7億5500万円(同87.2%増)に大幅上方修正しており、これを好感する買いが流入している。台湾子会社の主要取引先からの受注および販売が第2四半期後半から増加に転じたほか、基板保管装置も好調に需要を取り込んでいる。

 キャンバス<4575>=ストップ高。
前週末にストップ高比例配分となった勢いが続いている。足もとの人気は、同社が8日取引終了後にライセンス契約先の米Stemlineが2015年中に抗癌剤候補化合物CBS9106の臨床試験実施申請を予定していることなどを明らかにしたことがきっかけ。また、Stemlineが16日にサンフランシスコで開催されるJ.P.モルガン ヘルスケア・コンファレンスで、CBS9106について何らかのコメントがなされる可能性に言及していることも思惑を誘うかたちとなっているようだ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想