2015年、マーケットの主役は・・・?

著者:津田隆光
投稿:2015/01/08 21:16

1月相場はトリッキーな相場が常?

2015年が明けて一週間が経過しました。
年始早々のNY株式相場や為替相場の下押し基調は、ちょうど昨年の今頃に起こったアルゼンチン危機や中国の信用問題(シャドーバンキング問題)を連想してしまいますが、昨年と現在の相場環境に共通することが「材料が足もとで起こった新たな事象ではない」ということ。
昨年のアルゼンチン危機に端を発する新興国問題は、半年以上前のバーナンキ前FRB議長による議会証言に伴う、いわゆる“バーナンキ・ショック”が時空を超えて、まさに“連想ゲーム”のように波及したことがその要因となったのは記憶に新しいところ。
今回マーケットにおいて取り沙汰されているギリシャ問題に関しても今に始まったことではなく、これを以て本格的なリスク回避の材料にするのは、いささか違和感を持たざるを得ません。
もう一つの材料である原油安についても、先進国経済にとってこの時期の原油安はまさに僥倖と言ってよく、一部石油関連企業の業績悪化等が伝えられているものの、全体バランスでは世界経済の下支え材料と考えていいのではないでしょうか?

1月相場は例年トリッキーな相場環境と捉え、リスク管理に重点を置きつつ、悲観的材料に惑わされないようにしたいものです。

中央銀行に逆らうべからず!

そんな中、今年一年のマーケットを俯瞰する上で、座標軸としたい言葉が・・・【中央銀行には逆らうな】。
ウォール街の格言にも、“Don’t fight the Fed”(FRBとはケンカするな!) とあり、中央銀行によって決定された金融政策に逆らっても勝ち目はないという箴言とも取ることができます。
今年もその中央銀行の総裁・議長、つまりセントラル・バンカーの一挙手一投足が世界のマーケットを左右するといっても過言ではありません。
本日未明に公表された12月FOMC議事録を見てみても、

1.1-3月において利上げはしない
2.ドルは今後も上昇が予想されるが、ドル上昇に伴う米経済への影響は今のところ懸念なし
3.原油価格下落は米経済にプラス効果

と要約することができます。

特に1.の利上げ開始時期が焦点となっていますが、おそらくFRBお得意のビハインド・ザ・カーブ(=先延ばし)戦略によるバブル温存作戦が引き続き実行されると見るべき。
当然のことながら、短期的には乱気流相場に見舞われる可能性も視野に入れつつ、大きな流れ(ここでは中央銀行の金融政策のこと。) に逆らわない、ケンカしないことが肝要と考えますがいかがでしょうか?
津田隆光
マネースクエア チーフマーケットアドバイザー
配信元: 達人の予想