下げ止まらぬユーロドル

著者:矢口 新
投稿:2015/01/08 12:04

根深いユーロ問題

ユーロ・ドルが9年ぶりの安値をつけている。1月25日に総選挙が行われるギリシャ問題が懸念されているが、22日に行われるECB理事会での追加緩和期待も大きい。

ありがちな展開は、ユーロ・ドルは5月からずっと売り込まれているので、期待通りの緩和があっても、またギリシャで国際機関に従順な緊縮財政勢力が勝っても、短期的には反発する公算が強いことだ。まだ、谷越えの兆候は見られないが、22日以前に入るかもしれない買戻しに注意を払うべき時期にきたかと思う。

とはいえ、長期的にはユーロの構造問題が解決しそうにはないので、ギリシャ問題は継続する見通しだ。また、他のユーロ諸国も通貨・金融政策を持たず、財政政策の自由も奪われている点ではギリシャと何ら変わらない。自国に適切な経済対策が採れないのだ。ユーロ問題の根は深い。

また、利上げが取り沙汰されている米ドルと、追加緩和が期待されるユーロとの金利差拡大も中期的なドル買いユーロ売りにつながっている。短期的な反発を、中長期のトレンド転換と見誤らないようにしたい。
配信元: 達人の予想