高値警戒感から一服、買い疲れ感の見方も

著者:冨田康夫
投稿:2014/12/08 20:12

明日の東京株式市場見通し

 9日の東京株式市場では、前日までの7日続伸による高値警戒感に加え、買い疲れ感が出ているとの指摘もあることから、日経平均株価は一服商状となりそうだ。

 8日の東京株式市場は、寄り付き前に発表された7~9月期の実質国内総生産(GDP)の2次速報値が下方修正されたにもかかわらず、前週末の米株式相場の上昇と、外国為替市場での1ドル=121円台後半という円安・ドル高加速を好感して続伸のスタートとなった。日経平均株価は一時、1万8000円を上回り、約7年4カ月ぶりの高値水準となった。その後は、前週末終値を挟んでの一進一退の動きとなり、終値は同15円高の1万7935円となった。

 市場関係者からは「日経平均株価が、いったん心理的フシ目の1万8000円台に乗せたことで、一応の目標達成感が出ていることは確か。ここまで、外国為替市場での円安・ドル高が急ピッチで進行。それが牽引するかたちで株価も急上昇してきた。ただ、1万8000円を超えてきたことで、もう一段の上昇には、新たなプラス材料が必要となる。それが出現するまでは、横ばい弱含み推移にならざるを得ない」との見方が出ていた。

8日の動意株

 オーバル<7727>=大幅上昇。
安倍政権では今後5年間で燃料電池や燃料電池自動車(FVC)などを普及させる産業インフラ拡充を推進する構えにあるが、トヨタ自動車<7203>はその国策に先駆するかたちで15日、世界初の市販となるFVC「ミライ」を投入する。直近では、「ミライ」の年産能力を15年末に現在の3倍に引き上げると6日付の日本経済新聞で報じたことで、トヨタだけでなく水素ステーション関連の銘柄に物色の矛先が向いている。そのなか水素ステーション向けに高機能流量計測器を手掛ける同社にも、ビジネスチャンスが浮上するとの見方。浮動株比率などから品薄感が強く、値動きの軽さにつながっている。

 ガーラ<4777>=ストップ高。
前週末5日に、連結子会社のGala Labが開発いたしたスマートフォンゲームアプリ「Flyff All Stars」(フリフ オール スターズ)のAndroid英語版130カ国とiOS英語版149カ国でのサービス開始に先立ち、公式サイトで「事前登録キャンペーン」を開始したと発表しており、これを好感した買いが入った。「Flyff All Stars」は、Gala Labが開発したPCオンラインゲーム「Flyff Online」(フリフ オンライン)を題材にしたモバイルRPG。ユーザーがゲーム内のヒーローを集めて、パワーを増加させ、装備を改良し、冒険をするゲームだという。

 帝国電機製作所<6333>=続伸。
化学物質用キャンド(密閉)ポンプ最大手。東南アジア向け輸出が好調。また、中国子会社を通じ高速鉄道車両向けの需要を取り込んでいる。シェールガスプラント関連にも高い受注実績を持っており、米国シェール革命に伴い収益機会が広がっている。海外売上比率は64%に達しており、円安効果も考慮して15年3月期業績は大幅上方修正余地が指摘されており、株価はこれを織り込みに行く過程にあるようだ。

 ファルテック<7215>=急伸。
5日の取引終了後、東京証券取引所の承認を得て12月12日付で東証2部から1部市場へ指定されることになったと発表した。この日は、東証1部指定によるTOPIX採用に伴い、機関投資家の新たな組み入れニーズが発生することなどへの期待感から買いが流入している。

 ポプラ<7601>=一時ストップ高。
同社はきょう前場取引時間中にローソン<2651>と資本業務提携契約を締結したことを発表、これが材料視された。ローソンはポプラの筆頭株主から、ポプラの発行済株式総数の5%に相当する株式を取得し、商品の共同開発や共同仕入れ、店舗開発情報の共有、共同販売促進キャンペーンの実施、物流インフラの相互活用、人材の相互交流などで協業体制を築く構え。これによる業容拡大期待から短期筋の買いを呼び込む格好となった。

 関東電化工業<4047>=大幅高。
リチウムイオン電池材料の六フッ化リン酸リチウムの数量増加、半導体設備投資需要の回復を受けて半導体向け特殊ガスも好調で収益に寄与している。同社では「特殊ガスについては、大口径ウエハーを中心とした需給改善を背景に2割以上の値上げを求めていく方針」(業界アナリスト)とされ、中期的には値上げ効果による採算改善も期待できる状況だ。
冨田康夫
株経ONLINE:編集長
配信元: 達人の予想