―出場国最多で全104試合と大会規模は史上最大、関連消費支出の拡大に期待膨らむ―
サッカーのワールドカップ(W杯)北中米3カ国大会の開幕が迫っている。試合が行われるのは日本時間では未明・早朝の時間帯が中心となり、国内経済へのインパクトという点で「時差」のハンデを抱えることになる。それでも日本代表が目覚ましい戦績を収めれば、サッカー人気が一段と高まり、関連消費が盛り上がりをみせることになると期待されている。
●世界全体で経済効果12兆8000億円との試算
サッカーW杯の北中米3カ国大会の「キックオフ」は6月11日。開幕カードはメキシコ対南アフリカだ。決勝が予定される7月19日までの間、カナダとアメリカ、メキシコの16都市で熱戦が繰り広げられる。出場国は過去最多の48チームで、総試合数は104と前回カタール大会までの64から大幅に増加。史上最大規模の大会となる。国際サッカー連盟(FIFA)と世界貿易機関(WTO)の分析によると、経済効果は世界全体で801億ドル(約12兆8000億円)に上る。
日本代表は現地時間6月14日にオランダとの初戦を迎える。日本時間では15日月曜日の午前5時のキックオフだ。ビジネスパーソンにとって通勤時間前となり、通常ならば 外食店にとって集客を期待しにくい時間帯である。ただし過去に深夜帯で開催されたW杯における日本代表の試合では、生中継で観戦しようと、有給休暇を取得した人や始業時間をいつもより遅らせた人が現れた。日本代表の勝利を願うべく、仲間と一つの場所に集いたいとの気持ちを抑え込むことができないサッカーファンはきっと多いに違いない。
今回のW杯について日本国内での放映権は電通グループ <4324> [東証P]が獲得した。その放映権については円安の影響で350億円規模に膨らんだと報じられている。国内独占代理店となった電通グループから放映権を取得する形で、地上波ではNHKが開幕戦・決勝など33試合、日本テレビホールディングス <9404> [東証P]傘下の日本テレビが15試合、フジ・メディア・ホールディングス <4676> [東証P]傘下のフジテレビが10試合を生中継で放送するという。英DAZNグループが運営するスポーツ動画サービス「DAZN」は全104試合をライブ配信し、日本代表の試合に関しては無料で視聴できるようにする。
●「過去最高成績」ならサッカー熱は一段と上昇
W杯の運営には放映権収入とともに、グローバル企業のスポンサーシップも重要な役割を担っている。FIFAの主要パートナー企業には、サウジアラビア国有石油会社のサウジアラムコや独アディダス、米国のコカ・コーラ
これらの企業は相応の費用を支払い、自社のブランド力の更なる向上を図ろうとしている。そもそも巨大スポーツイベントには権利関係、ライセンスの問題が付きものだ。W杯期間中のパブリックビューイングや、キャンペーンなどを告知するプレスリリースが増加しているかと思って調べてみても、スポンサー企業によるものを除くとほとんど目にすることはない。パブリックビューイングについては、FIFA側の事務局に対する申請が必要で、営利目的の場合はライセンス料の支払いが必要となる。ある上場企業の広報担当者は「W杯が一つのビジネスチャンスであるのには変わりがないが、法務リスクのある話。ライセンス保有者との調整を含めて慎重に対応しなければ、権利侵害を厳しく追及されかねない」と声を潜める。
とはいえ、スポンサー企業でなければ直接的な経済効果を享受できないのかというと、決してそうではない。当然ながら日本代表が勝利という結果を出し続けた際には、メディア報道などを通じ従来のファン層以外からの注目度が一段と高まることになる。日本代表は前々回のロシア大会、前回のカタール大会でベスト16まで勝ち上がった。ベスト8以上で過去最高の成績となる。「サムライブルーの成長は日本のサッカー人口の拡大に大きく寄与してきた。W杯を通じてサッカー熱が一段と高まれば、必然的にユニフォームやシューズなどの売り上げ増加につながる」(小売大手の広報担当者)と、関連消費支出の拡大に大きな期待が寄せられている。
●ゼビオHDなどスポーツ用品に注目
これらの観点を踏まえ関連銘柄を整理すると、まず スポーツ用品を販売する企業群が挙げられる。具体的にはゼビオホールディングス <8281> [東証P]やアルペン <3028> [東証P]、ヒマラヤ <7514> [東証S]だ。物価高による購買意欲の低下が業績下振れに直結する業界ではあるものの、3社のPBR(株価純資産倍率)はいずれも1倍を大きく下回っている。
コアサッカーファンの連帯意識は、時間帯を問わず外食・宅配需要の押し上げに一定程度寄与しそうだ。株式市場においては、スポーツバーのハブ <3030> [東証S]がかねてから関連銘柄と注目されている。今年はサッカーW杯だけでなく、野球のWBCなど「スポーツイヤー」であることもあって、昨年末以降に物色人気化し1月に株価は6年ぶりの高水準に浮上した。飲食店の出前と酒類のネットスーパーを手掛ける出前館 <2484> [東証S]のほか、コカ・コーラ ボトラーズジャパンホールディングス <2579> [東証P]、北海道コカ・コーラボトリング <2573> [東証S]などの拡販効果も注目される。
スポーツシューズに関しては前述の通り、FIFAパートナーにアディダスが加わっている。先般のロンドン・マラソンで同社のシューズを利用したケニアのセバスチャン・サウェ選手が人類史上初の2時間切りの世界新記録を打ち出したことも話題となっている。アディダスブランドに目が向かいがちな状況下で、競合企業にとっては自社ブランドのスパイクを愛用する選手が高いパフォーマンスを発揮し、露出が増えることが販売面でのカギを握ることになりそうだ。
サッカースパイクの世界ではアディダスやナイキ
●リーフラスは東証重複上場の準備開始
スター選手の活躍に感動し、サッカーへの興味を持つ子どもが増えた場合、その受け皿となるのがサッカー教室だろう。ゲーム消費の活性化にもつながる可能性がある。スポーツ施設で国内トップのコナミグループ <9766> [東証P]はサッカースクールを運営。家庭用・モバイルゲーム「eFootball(旧ウイニングイレブン)」シリーズは累計販売本数・ダウンロード数が1月時点で合計9.5億を超える。
学習塾運営企業でサッカースクールを展開する企業には明光ネットワークジャパン <4668> [東証P]に加え、流動性は乏しいがクリップコーポレーション <4705> [東証S]がある。日本各地でスポーツスクールを運営するリーフラス
サッカー人気の上昇による業績押し上げ効果が期待される企業の一つとして、サニーサイドアップグループ <2180> [東証S]をマークしたい。企業PRや販促支援事業を主軸に、スポーツマーケティングも展開。元日本代表の中田英寿氏が執行役員を務め、アスリートのエージェント・マネジメントなどで競争力を発揮している。26年6月期は2ケタ増益で連続最高益更新を計画。PER(株価収益率)は11倍台だ。2月につけた年初来高値1024円を奪還できるか注目される。このほか、MTG <7806> [東証G]は「SIXPAD」のCMにポルトガルの名プレイヤー、クリスティアーノ・ロナウドを起用した過去を持つ。
株探ニュース
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