「お盆休みで閑散も、上方の窓がターゲット」

著者:黒岩泰
投稿:2012/08/13 09:06

「お盆休みで閑散も、上方の窓がターゲット」

 先週末の米国株式相場は小幅高。ダウ工業株30種平均は42.76ドル高の13207.95、ナスダック総合指数は2.22ポイント高の3020.86となった。欧州危機への警戒や中国経済指標を嫌気して軟調に推移する場面もあったが、欧米中銀に対する金融緩和期待は根強く、主要株価指数はプラス圏に転じた。また、シカゴ日経平均先物(円建て)は8925円。大証終値と比べて55円高の水準で取引を終了している。したがって本日の東京株式相場は堅調スタートを想定。再び8900円台乗せから始まると思われる。

 先週末は8月限ミニ先物・オプションSQ算出日であり、SQ値は8914.81円に決定した。その後、日経平均はこのSQ値を下回り一時下落幅を拡大させる場面もあった。

 しかし、下方の窓(8812.42円-8851.59円)に到達しなかったことで、この窓が強い支持帯として機能していることを示唆。逆に買い安心感につながる格好となっている。

 価格帯別出来高でもヤマの上側に位置しており、需給面で上昇しやすい状態。短期的には“低いところ”である上方の窓(9136.02円-9159.46円)を埋めやすく、場合によっては勢い余ってさらに上方の窓(9207.56円-9344.53円)を埋めることになるだろう。ここから350円程度の上昇余地があり、売り方は警戒しなくてはならない。

 本日は先週末のSQ値(8914.81円)が意識されると思われるが、すでにこの価格を“往来”しており、特別な意味を持つことはないだろう。むしろこのSQ値近辺が上昇の土台となることが予想され、ここから弾みがつくかもしれない。今週はお盆休みで閑散商いとなるが、先物主導で上昇する場面があれば、意外とスムーズな上昇が実現できるかもしれない。売り方はますます要注意である。
 だが、足下ではユーロ、ドルともに対円での弱含みの状態が続いている。ユーロに関しては欧州救済基金であるESMの発足が9月にずれ込んでおり、足下のスペイン、イタリアの長期金利が気になるところ。

 その一方で、米長期金利がやや上昇しているにも関わらず、ドル・円相場は低位安定したままだ。為替市場で金利裁定が働きにくくなっており、将来的なドル下落を予感させる動きとなっている。つまり、マーケットは為替の短期的な変動要因である“金利”よりも、中長期的な“ドル過剰”を警戒しているということだ。市場参加者は「いずれFRBはQE3(量的金融緩和第3弾)に追い込まれ、ドルを刷り散らかす」と読んでいるのである。正しい見方である。

 だから、一時的なユーロ下落は避けられないし、中長期的なドル下落も避けられない。今後は破綻国家アメリカがどのような舵取りをするかが問題であり、それによって属国日本の株価が大きく影響を受けるということだ。

 先週末の同じアジアの対米隷属国家である韓国の動き(大統領の竹島訪問)を見ても分かる通り、裏で支配している米国が日韓関係悪化を目論んでいる公算が大きい。日本が韓国と仲が悪くなれば、日韓貿易に支障を来すかもしれないのだ。結果的に日韓ともに米依存度が高くなり、米企業の利益につながるのだ。スマートフォンで言えば、サムスンを買わずにアップルを買う。車で言えば、ヒュンダイを買わずにGMを買う――そんな流れになるのである。

 もちろんこの構図は対中政策でも変わりない。尖閣問題で日中の関係が悪化すれば、巨大市場である中国経済は米企業の草刈り場となる。日本企業の進出・活躍余地がなくなり、結果的に米企業の利益につながるのだ。野田政権の消費税増税も含めて、宗主国米国に有利な売国政治が行われているということである。日本の未来はかなり暗いのである。
黒岩泰
株式アナリスト
配信元: 達人の予想