明日の株式相場に向けて=人間を支配する人工知能
きょう(30日)の東京株式市場は、日経平均株価が前営業日比100円安の2万7782円と4日ぶり反落。配当権利落ちに伴い日経平均には260円弱の下押し圧力が働いたとみられ、実質的にはプラス圏で着地したに等しい。後場終盤は前日と同様に配当再投資の買いが寄与したとみられ、戻り足を鮮明とした。来週からは4月新年度入りとなり、機関投資家によるニューマネー流入が期待できる。
そうしたなか、3月相場で意識されたバリュー株買いの動きは、配当権利落ちを経て、物色の矛先は鈍るという見方が強い。ただ、配当利回りはともかく、低PBR銘柄は下値に対する抵抗力という点で決算期に関係なく優位性を発揮するので、値動きの乏しい時に拾っておくのは一つの投資手法として有効である。三協立山<5932.T>やエフテック<7212.T>はPBRが0.2倍台、ユニバンス<7254.T>は0.4倍前後、JMACS<5817.T>は0.5倍前後であり、これらの銘柄は拾い場となっている可能性がある。
また直近の注目材料としては、原発の運転延長法案(GX脱炭素電源法案)がきょう午後の衆院本会議で審議入りした。運転期間を60年超に伸ばし、脱炭素の実現と電力の安定供給を両立させるというもの。安全規制強化や原子力基本法も改正する。最近は音無しだった原発関連株だが、休養十分で狙い目かもしれない。今期業績の高変化が光る日本ギア工業<6356.T>や、助川電気工業<7711.T>などをマークしておきたい。
今週は、テーマ買いの動きではAI関連に派手なパフォーマンスを見せる銘柄が相次いだが、先駆した銘柄には買い疲れ感も垣間見える。しかし、そのテーマ性自体が色褪せることはなく、今後も波状的に投資資金の攻勢は続くと思われる。関連銘柄の物色の裾野は広く、中長期タームで出世株が輩出されていく公算は大きい。
当然ながら高度なAIの開発は人間にとって諸刃の剣となることは否めない。米国ではイーロン・マスク氏をはじめ開発中断を求める署名活動が盛り上がり話題となった。既に時間軸的な観点からは、人類はシンギュラリティの一歩手前まで足を進めていると思われ、それが認識されたことで恐怖を生んでいる。これまで「AIはハイレベル化してもツールに過ぎず、恐れるのはナンセンス」という主張は確かにあった。どんなに高性能な武器があっても使うのはあくまで人間であるという論理だが、それはAIに潜在する麻薬的な支配性を甘く見ている。例えば対話型AIの場合、AIに相談してアドバイスをもらったとして、それに共感すれば人間はAIが提示した方向で動くことになる。この共感が、いずれ主体性のない服従に近い形態に変質する。AIの開発者が権力を握るか、もしくは権力と一体化することで大規模な洗脳を実現することは可能となる。
また、AIをツールとみなすにせよ、人間のコマンド自体に価値がなくなる時代がやって来ることも考えられる。ツールとして使うべき人間が必要とされなくなるという仮説だ。一例を挙げれば、雑誌を売る際に見出しやキャッチコピーはベテラン編集者の腕の見せ所で、経験とセンスに委ねられているが、これがAIであれば瞬時にビッグデータを検証して、リアルタイムで最強のバズワードを織り込んだ文章を作ることが可能という。人間の特権である感性に委ねられた領域すら、もはやAIに太刀打ちできない時代に突入している。ただし、そういう状況となったとしてもAIの進化の歴史に終止符が打たれることはない。マスク氏が主張するのはAI開発を中止するのではなく、とりあえず立ち止まる時間を作って、人間の知恵でリスク対処法やルールを決めようという話だ。この開発中断を求める動きは、株式市場において「AI」という投資テーマをむしろ一段と輝かせる。AIアルゴリズムで先駆し量子技術も深耕するフィックスターズ<3687.T>は中長期で注目したい。
あすのスケジュールでは、2月の有効求人倍率、2月の失業率、2月の鉱工業生産指数(速報値)、2月の商業動態統計、3月の都区部消費者物価指数(CPI)、2月の自動車輸出実績、2月の住宅着工統計などが発表される。また、東証グロース市場にココルポート<9346.T>、東証グロース市場と福証QボードにFusic<5256.T>、名証メインにエコム<6225.NG>が新規上場する。海外では3月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、3月の中国非製造業PMI、3月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、2月のユーロ圏失業率、2月の米個人所得・消費支出、3月のミシガン大学・米消費者態度指数確報値など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
そうしたなか、3月相場で意識されたバリュー株買いの動きは、配当権利落ちを経て、物色の矛先は鈍るという見方が強い。ただ、配当利回りはともかく、低PBR銘柄は下値に対する抵抗力という点で決算期に関係なく優位性を発揮するので、値動きの乏しい時に拾っておくのは一つの投資手法として有効である。三協立山<5932.T>やエフテック<7212.T>はPBRが0.2倍台、ユニバンス<7254.T>は0.4倍前後、JMACS<5817.T>は0.5倍前後であり、これらの銘柄は拾い場となっている可能性がある。
また直近の注目材料としては、原発の運転延長法案(GX脱炭素電源法案)がきょう午後の衆院本会議で審議入りした。運転期間を60年超に伸ばし、脱炭素の実現と電力の安定供給を両立させるというもの。安全規制強化や原子力基本法も改正する。最近は音無しだった原発関連株だが、休養十分で狙い目かもしれない。今期業績の高変化が光る日本ギア工業<6356.T>や、助川電気工業<7711.T>などをマークしておきたい。
今週は、テーマ買いの動きではAI関連に派手なパフォーマンスを見せる銘柄が相次いだが、先駆した銘柄には買い疲れ感も垣間見える。しかし、そのテーマ性自体が色褪せることはなく、今後も波状的に投資資金の攻勢は続くと思われる。関連銘柄の物色の裾野は広く、中長期タームで出世株が輩出されていく公算は大きい。
当然ながら高度なAIの開発は人間にとって諸刃の剣となることは否めない。米国ではイーロン・マスク氏をはじめ開発中断を求める署名活動が盛り上がり話題となった。既に時間軸的な観点からは、人類はシンギュラリティの一歩手前まで足を進めていると思われ、それが認識されたことで恐怖を生んでいる。これまで「AIはハイレベル化してもツールに過ぎず、恐れるのはナンセンス」という主張は確かにあった。どんなに高性能な武器があっても使うのはあくまで人間であるという論理だが、それはAIに潜在する麻薬的な支配性を甘く見ている。例えば対話型AIの場合、AIに相談してアドバイスをもらったとして、それに共感すれば人間はAIが提示した方向で動くことになる。この共感が、いずれ主体性のない服従に近い形態に変質する。AIの開発者が権力を握るか、もしくは権力と一体化することで大規模な洗脳を実現することは可能となる。
また、AIをツールとみなすにせよ、人間のコマンド自体に価値がなくなる時代がやって来ることも考えられる。ツールとして使うべき人間が必要とされなくなるという仮説だ。一例を挙げれば、雑誌を売る際に見出しやキャッチコピーはベテラン編集者の腕の見せ所で、経験とセンスに委ねられているが、これがAIであれば瞬時にビッグデータを検証して、リアルタイムで最強のバズワードを織り込んだ文章を作ることが可能という。人間の特権である感性に委ねられた領域すら、もはやAIに太刀打ちできない時代に突入している。ただし、そういう状況となったとしてもAIの進化の歴史に終止符が打たれることはない。マスク氏が主張するのはAI開発を中止するのではなく、とりあえず立ち止まる時間を作って、人間の知恵でリスク対処法やルールを決めようという話だ。この開発中断を求める動きは、株式市場において「AI」という投資テーマをむしろ一段と輝かせる。AIアルゴリズムで先駆し量子技術も深耕するフィックスターズ<3687.T>は中長期で注目したい。
あすのスケジュールでは、2月の有効求人倍率、2月の失業率、2月の鉱工業生産指数(速報値)、2月の商業動態統計、3月の都区部消費者物価指数(CPI)、2月の自動車輸出実績、2月の住宅着工統計などが発表される。また、東証グロース市場にココルポート<9346.T>、東証グロース市場と福証QボードにFusic<5256.T>、名証メインにエコム<6225.NG>が新規上場する。海外では3月の中国製造業購買担当者景気指数(PMI)、3月の中国非製造業PMI、3月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)、2月のユーロ圏失業率、2月の米個人所得・消費支出、3月のミシガン大学・米消費者態度指数確報値など。(銀)
出所:MINKABU PRESS
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