【来週の注目材料】12月FOMCでの利上げ幅動向などにらみ、米雇用統計に注目
【来週の注目材料】12月FOMCでの利上げ幅動向などにらみ、米雇用統計に注目
12月2日に11月の米雇用統計が発表されます。11月4日に発表された10月の雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想の前月比+20.5万人を超える+26.1万人となりました。9月の数字が前月比+26.3万人から31.5万人に上方修正された上での、予想を超える伸びと、力強さを見せた形です。
一方で失業率は3.7%と9月及び市場予想の3.5%から悪化しました。労働参加率が0.1%低下したうえでの失業率悪化(一般的に労働参加率が上昇すると失業率が悪化、低下すると改善しやすい)となっており、厳しい結果という印象です。NFPは事業所調査ベース、失業率は家計調査ベースの調査で、元となるデータが違うこともありますが、両指標でまちまちな結果となっています。なお、家計調査ベースでは就業者数が前月比-32.8万人と9月から減少。失業者が+30.6万人となっています。
4日の雇用統計発表前後の動きを見てみましょう。ドル円は1ドル=147円80銭前後で発表を迎え、NFPの強さに、発表直後に148円台へ上昇。148円10銭台を付けました。しかしすぐに売りが入ると、発表前の水準を割り込み、146円60銭台まで大きく値を落としています。
ユーロドルは0.9790前後で発表を迎え、発表後のドル買いに0.9750台までユーロ安ドル高となります。ドル円同様にすぐに切り返すと、すぐに上値を試し、0.9940前後まで。その後の押し目も限定的で、同日NY市場午後には9.9960台まで上値を伸ばしました。
NFPよりも失業率の方が相場に影響を与えるというわけではありません。それまでのドル高に対する調整が入りやすくなっていたことが一つの要因。また、12月の米FOMCでの利上げ幅について、現状維持(0.75%)か縮めるか(0.5%)で見方が分かれているところだけに、FRBの経済見通しで採用されている失業率の方が反応しやすかったなどがドル売りの要因となったと見られます。なお、FRBが四半期ごとに公表する経済見通し(SEP)ですが、GDP成長率、個人消費支出(PCE)デフレータ及びコアデフレータ前年比、失業率、政策金利について見通しが示されています。
雇用者の業種別内訳も確認してみます。製造業は比較的堅調で+3.2万人となりました。サプライチェーン問題の緩和などもあり、今年に入って製造業の雇用は堅調な推移を続けています。サービス部門は+20万人。介護部門の人手不足などもあり、堅調な雇用を続ける教育・医療サービス部門は+7.9万人と、9月の+9.1万人と比べると若干鈍化も堅調な数字。アフターコロナでの雇用回復が著しく、今年前半の雇用統計でも大きな伸びを示していた娯楽・接客部門は+3.5万人。9月の+10.7万人から鈍化して全体の伸びを抑える形となりました。飲食部門がわずか+0.6万人にとどまり、9月の+6.9万人から鈍化したことが背景にあります。
そのほか気になったのが、9月に雇用減を記録した小売業と運輸倉庫業。こちらは+0.7万人と+0.8万人とプラス圏を回復も弱めの数字になっています。インターネット販売大手アマゾンが今後数カ月の新規採用を凍結するなど、年末商戦スタートを前に厳しい状況が意識されています。
こうした状況を踏まえ、今回の予想ですが、NFPが前月比+20万人。失業率が10月と同じ3.7%の予想です。コロナ前の状況でいうと、20万人超えは好結果の一つの目途となっていた印象だけに、悪い数字ではありません。失業率も前回0.2ポイントの悪化となったとはいえ、歴史的にみると相当に低い水準です。予想前後の数字が出てくると12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%利上げ見通しは変わらずとなりそうですが、25%ぐらい残っている0.75%利上げ見通しの払しょくは難しいと思われます。
ただ、上述のアマゾンの新規雇用凍結、ツイッターの大量解雇、9月に新規雇用凍結を発表したメタ(Facebook)の1.1万人解雇の発表など、新興ハイテクの雇用がかなり厳しい状況になっています。雇用の伸びが予想ほど伸びない可能性は十分にありそう。この場合、0.5%利上げ見通しが強まるだけでなく、ターミナルレート(利上げの終着点となる金利水準)の見通し引き下げにもつながり、ドル売りとなりそうです。
MINKABU PRESS 山岡和雅
12月2日に11月の米雇用統計が発表されます。11月4日に発表された10月の雇用統計は、非農業部門雇用者数(NFP)が市場予想の前月比+20.5万人を超える+26.1万人となりました。9月の数字が前月比+26.3万人から31.5万人に上方修正された上での、予想を超える伸びと、力強さを見せた形です。
一方で失業率は3.7%と9月及び市場予想の3.5%から悪化しました。労働参加率が0.1%低下したうえでの失業率悪化(一般的に労働参加率が上昇すると失業率が悪化、低下すると改善しやすい)となっており、厳しい結果という印象です。NFPは事業所調査ベース、失業率は家計調査ベースの調査で、元となるデータが違うこともありますが、両指標でまちまちな結果となっています。なお、家計調査ベースでは就業者数が前月比-32.8万人と9月から減少。失業者が+30.6万人となっています。
4日の雇用統計発表前後の動きを見てみましょう。ドル円は1ドル=147円80銭前後で発表を迎え、NFPの強さに、発表直後に148円台へ上昇。148円10銭台を付けました。しかしすぐに売りが入ると、発表前の水準を割り込み、146円60銭台まで大きく値を落としています。
ユーロドルは0.9790前後で発表を迎え、発表後のドル買いに0.9750台までユーロ安ドル高となります。ドル円同様にすぐに切り返すと、すぐに上値を試し、0.9940前後まで。その後の押し目も限定的で、同日NY市場午後には9.9960台まで上値を伸ばしました。
NFPよりも失業率の方が相場に影響を与えるというわけではありません。それまでのドル高に対する調整が入りやすくなっていたことが一つの要因。また、12月の米FOMCでの利上げ幅について、現状維持(0.75%)か縮めるか(0.5%)で見方が分かれているところだけに、FRBの経済見通しで採用されている失業率の方が反応しやすかったなどがドル売りの要因となったと見られます。なお、FRBが四半期ごとに公表する経済見通し(SEP)ですが、GDP成長率、個人消費支出(PCE)デフレータ及びコアデフレータ前年比、失業率、政策金利について見通しが示されています。
雇用者の業種別内訳も確認してみます。製造業は比較的堅調で+3.2万人となりました。サプライチェーン問題の緩和などもあり、今年に入って製造業の雇用は堅調な推移を続けています。サービス部門は+20万人。介護部門の人手不足などもあり、堅調な雇用を続ける教育・医療サービス部門は+7.9万人と、9月の+9.1万人と比べると若干鈍化も堅調な数字。アフターコロナでの雇用回復が著しく、今年前半の雇用統計でも大きな伸びを示していた娯楽・接客部門は+3.5万人。9月の+10.7万人から鈍化して全体の伸びを抑える形となりました。飲食部門がわずか+0.6万人にとどまり、9月の+6.9万人から鈍化したことが背景にあります。
そのほか気になったのが、9月に雇用減を記録した小売業と運輸倉庫業。こちらは+0.7万人と+0.8万人とプラス圏を回復も弱めの数字になっています。インターネット販売大手アマゾンが今後数カ月の新規採用を凍結するなど、年末商戦スタートを前に厳しい状況が意識されています。
こうした状況を踏まえ、今回の予想ですが、NFPが前月比+20万人。失業率が10月と同じ3.7%の予想です。コロナ前の状況でいうと、20万人超えは好結果の一つの目途となっていた印象だけに、悪い数字ではありません。失業率も前回0.2ポイントの悪化となったとはいえ、歴史的にみると相当に低い水準です。予想前後の数字が出てくると12月の米連邦公開市場委員会(FOMC)での0.5%利上げ見通しは変わらずとなりそうですが、25%ぐらい残っている0.75%利上げ見通しの払しょくは難しいと思われます。
ただ、上述のアマゾンの新規雇用凍結、ツイッターの大量解雇、9月に新規雇用凍結を発表したメタ(Facebook)の1.1万人解雇の発表など、新興ハイテクの雇用がかなり厳しい状況になっています。雇用の伸びが予想ほど伸びない可能性は十分にありそう。この場合、0.5%利上げ見通しが強まるだけでなく、ターミナルレート(利上げの終着点となる金利水準)の見通し引き下げにもつながり、ドル売りとなりそうです。
MINKABU PRESS 山岡和雅
このニュースはみんかぶ(FX/為替)から転載しています。
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